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オープンワールド。いまでこそ多くのタイトルが採用しているゲームデザインですが、2000年代に入る前は “世界がどこまでもシームレスにつながった世界を、プレイヤーがどこまでも移動して探索していける”ゲームとはほとんど前例がなく、まったく未知のものだったのです。
そんな前例を早い段階で生み出したひとつが、1999年にリリースされた『Outcast』でした。本作はオープンワールドアクションアドベンチャーとして開発されており、当時としては大変に野心的なタイトルだったと言えるでしょう。ただ、いま名前を検索しなおしても “カルト的”と評されており、残念ながらオープンワールドを広めた『GTA』シリーズのような立場とは違うものになったようです。
そんな伝説の一作の続編『Outcast 2 - A New Beginning』が、東京ゲームショウ2022にて試遊が公開されていました。時は過ぎ、過去を高く評価された末に、23年ぶりの続編に結実したということでしょうか。オープンワールドが当たり前になった時代で、果たしてその姿はどんなものなのか。その模様をお届けします。
どことないB級さに、逆に懐かしさがある
まず全体の印象はといいますと、「まるで90年代のFPSの世界観が、ものすごいハイクオリティで蘇ったようだ……」ということでした。つまり、あの時代によくあった、比較的荒いSFの世界観が2020年代にそのまま出てきたかのようなのです。言葉を選ばずに言えばB級感がすごい。いまのゲームが世界観や物語、登場人物の造形までリアリズムを詰めているのと比較すると、荒さに懐かしさすらあります。
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『Outcast 2 - A New Beginning』は前作に引き続き、カッター・スレイドを主人公として物語が進みます。基本はTPSであり、複数の武器を使い分けて交戦したり、近接攻撃や回避攻撃を使い分けて戦うもの。キャラのモーションや操作の手ごたえはリアルというよりもいい意味での軽さがあり、かといってカートゥーン的なデフォルメされたものでもない。そこも往年のゲームらしい雰囲気があります。
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広大な世界をウィングスーツ風にして飛び回り、異星人の村でミッションを受けてクリーチャーを討伐するプレイなど、現代的なオープンワールドやTPSらしさを踏襲しています。でも、どことないB級感があって意外にも他のタイトルに似ていない。「過去のタイトルが現代的になった」とも違う印象があり、そこに不思議な魅力があるように思えました。
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今どき異星人の村に地球人が乗り込むみたいなSFのゲームでも、多様性の時代であり、価値の異なるさまざまな人々との理解を求めるみたいなリアリズムを入れるわけじゃないですか。本作はそういうリアリズムから遠く、「本当にオープンワールドのゲームが作りたくて、そのために便宜的にSFの設定を入れた」90年代らしさが続いている感じなんです。そういう意味でもなにか懐かしい手触りがありました。
『Outcast 2 - A New Beginning』は、PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに発売予定です。