Valveは、ゲームプラットフォームSteamにて10月3日から10月10日まで「NEXTフェス」を開催中です。イベント期間中は、今後登場するゲームの体験版の配信や開発者によるライブストリーミングが楽しめます。
しかし、配信される体験版が数百を超えるこのイベント、一週間という期間ではとても遊びきれるものではありません。そこで、Game*Sparkではイベントで体験版を配信中の作品から気になるものをピックアップして紹介します。
今回は、パブリッシャーOverseer Games、デベロッパーDigital Reef Gamesの『Aquatico』体験版を紹介していきます。
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海底都市の市長となり、人類に希望を与える『Aquatico』の世界
『Aquatico』は小惑星が地球に衝突、地上に住めなくなった人類は最後のチャンスとして海底へと新天地を求め、数々の危機を乗り越えながら海底コロニーを建設し繁栄を目指す都市経営ゲームです。
今回の体験版では遊べるマップの種類と利用可能な施設と機能に制限がありますが、本作の魅力を知るには十分なコンテンツが開放されています。また、日本語にもきちんと対応しています。
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まずは全ての基礎となる「海底基地の建設」からチュートリアルがスタート。画面右下から施設を選びRキーで向きの回転、左クリックで建築が始まります。食料採取、潮力発電所、酸素生成施設など最低限必要なライフラインに加え、画面上部のバーにあるアイコンの意味、新たな施設をアンロックするための研究など、一通り教えてくれるチュートリアルはかなり親切で丁寧。テキストだけでなくカーソルやアイコンの点滅が分かりやすく、次に行うべき操作に迷うことなくスムーズな進行が可能です。
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都市育成シムといえばリソース管理が命。開発・建築の順番をミスると負の連鎖でたちまち資源が枯渇し破滅へまっしぐらというのが定番ですが、『Aquatico』では海底都市の開発支援として資源や資金、ドローンに新たな住人などがちょいちょい送られてきます。それなりの物量なので、施設のアップグレードや研究開発費用に困ることはほぼありませんでしたが、あくまで短い時間で体験版を楽しんでもらうための機能の可能性も。製品版でもこの支援が受けられるかは不明です。
都市としての機能美をとことん求めるプレイヤーにはやりがい十分
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マップをグリッド表示に切り替えると、色分けされた海底資源が一目瞭然に。各ゾーンに適した施設を建設すれば生産効率が上がります。各施設の運用にはガソリンや電気といった維持コストが設定されており、パイプラインの接続が必須です。1つの建物にパイプのコネクト部分は1カ所という制限もあり、いかに無駄なく引くかがプレイヤーの腕の見せ所となります。
難点は肝心のパイプと建物自体が視認しづらいこと。深海ゆえに常に青みがかった色合いやキラキラ輝く魚にクラゲ、気泡のせいでグリッド表示でもパイプの位置を見失いがちです。オプション設定で画面の明るさや気泡の量を調整できますし、建物の外観にペイント可能ですが、どれも劇的な視認性の向上には至らず…。建築物を設置するときだけ明るくする、といった工夫は欲しいところです。
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体験版で人間の出番はなし、一番の働き者はドローンたち
同ジャンルの『Frostpunk』や『Endzone - A World Apart』『Banished』では労働力=住人でしたが、本作は水中を機敏に動き回るドローンが活躍。文明の発展にともない人間の存在が必須の施設もでてきますが、ゲーム序盤~中盤は採取も生産もすべてドローン任せ。文句も言わず資源をせっせと運ぶドローンの愛くるしさに比べ、住環境や食事のバリエーションに不満を抱き、ただ要求をエスカレートさせてくる人間といったら……。
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「海底探査基地」から住人達を海底探索のミッションに派遣し、深海に秘められた謎を解き明かすストーリー要素もあるものの、体験版では利用できません。都市経営シムの楽しみの1つは道行く住人の行動を眺めたり、クリックして欲求や不満を直接確認したり、といった“神様的プレイ”にあります。『Aquatico』では名前・性別・職業や数値で表す幸福度・健康値といったデータのみで少し味気ないのも残念です。
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『Aquatico』は都市経営シムとしては極めてスタンダードなタイトルと言えます。既存の都市経営シムで遊んだことがあれば直感的に操作できますし、体験版とはいえチュートリアルやUIの完成度は高く、初心者でも悩むことはないでしょう。プレイ時間の制限は特にないので、効率的かつ美しい海底都市を目指す都市経営シム本気勢こそ、パイプラインの引き方やシナジーを与える施設建築のトライ&エラーを、Demo版で予習しておくことをおすすめします。
『Aquatico』は2022年の第4四半期リリース予定です。
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