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目まぐるしく移り変わる世の中、ゲーム業界も光の速さで進歩し、どれが自分に合うゲームなのか見極めるのは誰にとっても悩みどころです。懐の予算や遊ぶ時間と向き合いながら、いますぐ新作ゲームの情報が知りたい。そんなときのための「爆速プレイレポ」でございます。
今回は、個人ゲーム制作者のKEIZO氏が開発し、2022年10月13日からSteamで配信された『ASTLIBRA Revision』をプレイして気になる内容を紹介します。
『ASTLIBRA Revision』とは
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本作は、およそ14年という膨大な歳月をかけて開発されたフリーゲーム『ASTLIBRA』を基に様々な改良が施され、推定プレイ時間は約60時間という大長編の横スクロールアクションRPGです。
魔物に故郷の村を破壊され、幼馴染の少女と逃げ出した主人公は巨大な怪物に追い詰められてしまい、生命を奪われる寸前のところで目の前が真っ黒に。見知らぬ森の中で目を覚ました主人公は、人語を解するカラス・カロンと共に、消えた幼馴染と故郷を探して魔物がうろつく危険な世界へと旅立ちます。
本作の特徴としては、無料版の『ASTLIBRA』を高解像度化し、ワイド画面にも対応。どこか懐かしい往年の名作のような雰囲気を残しつつ、現代技術によるクオリティの高い表現を実現しています。あくまでストーリーメインという銘打ちですが、シームレスに展開する激しいバトル、自由で奥深い成長要素も注目の内容となっていました。
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また、本作は日本語・英語・中国語(簡体字)に対応しており、キー表示を含めたフルコントローラーサポート。豊富に用意されているスキルや機能をワンツータッチで簡単に実行できます。
悲劇と喪失……そして始まる1人と1羽の物語
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はじめに、本作のオープニングは比較的長いという注意の下、プレイヤー側に様々な選択肢が提示されます。主人公が魔物に襲われ、そして目覚めた世界。なにかと世話を焼くカラスのカロンと出会い、一緒に逃げていたはずの幼馴染を探して森の外を目指し、8年後の本編に至るまでの過程を描くものです。
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これといって重要なシーンや要素はなく、体感としては5分か10分ほどなので、スキップしても問題はありません。あとから視聴もできるとのことですが、そこまでせっかちでなければ、本作のストーリーを丁寧に楽しむためにも見ておきましょう。
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そうして本編が開始されると、8年が経って身体もがっしりした主人公のもとへ、これまで1人も見かけなかった他の人間の痕跡を発見したとカロンが叫びます。どこまで行っても同じ道と景色が続く深い森の中を、主人公たちはずっと彷徨っていたようです。
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ここからゲームの本格始動とばかりに、基本操作や各種機能の説明などが立て続けに表示され、少し行った先の道でさっそく魔物の群れと出くわします。故郷を魔物に焼かれたというのに、まるで危機意識のない丸腰の主人公に、すかさずカロンが“その辺りで一番堅そうな棒”を持ってきてくれました。
それでも、最初の武器にしては攻撃力30とまずまずな性能であり、相手は最弱筆頭のスライム。実際、真正面から斬り込んで難なく討ち取れましたが、スライムに小突かれるだけで25前後のダメージを受けてしまいました。
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筆者の現役時代のクセが抜けきらず、ひとつ上の難易度を選択したせいか、たかがスライム相手にも油断できません。幸い、木の棒は見た目通りの長いリーチがあるので、距離を取って戦えば被弾は抑えられます。
その後も片っ端から倒していくと、すぐにレベルアップ。本作では、パラメータを割り振って強くなる現代的なシステムとなっており、レベルが上がるごとに一定数のポイントを得て自由に強化できます。上昇する割合も各々で異なり、振りすぎると伸びしろが鈍くなったりと、このあたりはイマドキらしくて手に馴染む感覚でした。
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きょうも楽しいレベル上げ!
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スライムを棒で叩き潰しながら進んでいくと、誰かが建てた標識を発見し、ついでにガウという黒い剣士の男と遭遇。この近くで幽霊が出るという季節外れな世間話も交えて夜を明かすと、ガウが忽然と姿を消し、最寄りの“ペッコチラ村”に辿り着きます。
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事情を抱えて困り果てる村娘のほか、武器屋や道具屋といった店が点在し、いつものRPG的な村の風景。なんでも、この村の奥にある洞窟には“アストレイアの天秤”なるものが存在し、どんな病もたちまち治す夢のような薬草も生えているといいます。村娘の妹は重い病気に罹っており、薬草を探して洞窟に入った父親が戻らないと嘆いていました。
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あまり湿っぽい話は苦手ですが、そこは主人公補正の代償か、お人好しな主人公が勝手に引き受けてしまいます。おわびに盾をもらいますが、肝心の洞窟へ乗り込むにあたって松明が必要と聞き、そのためにスライムの大群を突破する必要が出てきました。
この時点で武器は相変わらず木の棒、盾はお下がりという始末で、スライム相手に四苦八苦するのがせいぜい。洞窟には強い敵がいるだろうとカロンからも忠告され、レベル上げ、および装備の充実が課題となります。木の棒でスライムと死闘を繰り広げるのは、単純に手間なので、結局は自分のためでもあるのです。
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筆者はこういう作業的なプレイが大の苦手なのですが、本作の場合、それほど苦に感じることはありませんでした。むしろ、お世辞抜きに楽しいと思ったぐらいです。〇ボタンをポチポチ連打するだけの典型的なJRPGとは違い、本作はアクションRPGとして、バトル面も相当に手の込んだ作りとなっています。
楽すぎず難しすぎない操作、硬すぎず柔らかすぎない敵。たまに必殺技やシールドバッシュを交ぜて戦うと、視覚的に映えるだけでなく、効率的に大量のダメージを与えることができるので合理的なプレイになります。それでいて敵の攻撃もけっこう痛いので、適度な緊張感も絶えずあって退屈しません。
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無痛の努力と目に見えるリターン
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前述の通り、本作はレベル上げをしているという感覚はなく、“ああしたりこうしたり”しているうちに気が付いたら必要なものが貯まっているという構図でした。敵を倒すと、お金や経験値の他に“フォース”と呼ばれる別のポイントも手に入り、レベルや装備とはまた違う第三の成長システムで使うことができます。
レベルが上がりお金にも余裕が出てきたら、お店で装備を購入。ただ、本作では装備品の購入にあたっては代金だけでなく素材も要求されるので、それも集める必要があります。素材は敵からのドロップとなりますが、激レアというほどでもないのでそのうち集まるはずです。まずは、みっともない木の棒に代わる武器を揃えていきましょう。
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試しにこん棒を作ってみると、単純計算で3倍近い攻撃力でスライムを粉砕。敵を硬直させて被ダメージも上昇させるブレイク状態にさせやすくなり、どんどん狩れます。筆者のお気に入りはナイフで、こん棒より威力は低いですが、その代わりに振りが速いので結果的にスライムも素早く倒せました。装備品には熟練度も設定されており、使えば使うほど、どんどん強くなってバトルで有利になるでしょう。
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スライムを難なく倒せるようになり、ストーリーを進めると、さらに機能が解禁されていきます。主人公とカロンが合体して攻撃する憑依スキル、アイテムを合成して強力なアイテムを作り出す合成システム。中でも憑依スキルは通常攻撃で必要ゲージを溜めてから、締めに繰り出す戦法がしっくりきました。
このあたりになると戦い方も板についてきて、必要なものは合成で用意するのが当たり前になっていると思います。本作のプレイの基本部分は身に付いており、余ったお金で回復を大量購入、あとはミスをしない程度の些細な問題でしょう。
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どんなに備えても敵の攻撃が痛いことに変わりはなく、セーブをすると倒した敵が復活するのもあり、ボスよりも謎解きの道中の戦闘の方が面倒でした。それでも敵を倒すこと自体は楽しいままで、一掃するたびにレベルも上がって確実に成長していきます。
ゲーム内のキャラだけでなく、敵のハメ方などに気付く自分自身もまた強くなり、不思議と飽きる気配がしない本作の魅力はそういう部分にあるのかもしれません。
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5時間かけて第1章を終え、無事にボスも倒し、一区切りついたところでプレイを終わらせることができました。まだまだ60時間あるうちの序盤ということで、ストーリーは謎に包まれていますが、なんとなく臭うところもあります。
あと、本作のキャラクターは女子が多いようなので期待していたのですが、いまのところ主要人物の大半は顔すら出てきません。おそらくはこれから少しずつストーリーに絡んでくるのでしょうが、なんとも焦らされている気分です。
本作のキービジュアルにもいる露出系の女性がどういう形で関わってくるのか、それだけでも、もったいぶらずにチラチラしてほしいものです。
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『ASTLIBRA Revision』は、Steamにて2,570円で配信中です。ローンチセールでは10%OFFの2,313円で購入できます。
タイトル:ASTLIBRA Revision
筆者がプレイした機種:PC(Steam)
発売日:2022年10月13日
記事執筆時の著者プレイ時間:5時間
価格:2,570円