TGA2022にて発表された待望のシリーズ最新作『アーマード・コアVI ファイアーズ オブ ルビコン』を切っ掛けに、フロム・ソフトウェアの『アーマード・コア』(以下、『AC』)シリーズへの注目度がかつてないほどに高まっています。
しかしながら『アーマード・コア』シリーズは、過去作がPC向けにリリースされたこともなければ、新世代機への移植やリマスターもされておらず、現状プレイが難しい状態にあります。それでも『アーマード・コア』シリーズに触れてみたいユーザーは多いのではないかという考えのもと、今回の特集では必要なハードやシリーズ作の特徴、そして近似タイトルなどを挙げ参考になればと思います。
『アーマード・コア』が展開されてきたプラットフォームを俯瞰してみる
『アーマード・コア』シリーズは、基本的にナンバリングとそれに準ずる続編で構成されています。初代『アーマード・コア』はプレイステーション向けに1997年にリリースされました。『アーマード・コア』は、「アーマード・コア(AC)」を操る傭兵レイヴンとなり、様々な企業の依頼を遂行していくというものです。

ナンバリングタイトルが展開されたプラットフォームを挙げると、2000年発売の『アーマード・コア2』と2002年発売の『アーマード・コア3』、そして2004年発売の『アーマード・コア ネクサス』(ACNX)はPS2向け。2006年発売の『アーマード・コア4』と2012年発売の『アーマード・コアV』はPS3/Xbox 360向けにリリースされていました。特に『アーマード・コア4』は高速戦闘が、『アーマード・コアV』はオンライン対戦がメインに据えられており、他の作品とテイストが違います。


またPSP向けの移植作として『アーマード・コア3 ポータブル』と『アーマード・コア サイレントライン ポータブル』、そして『アーマード・コア ラストレイヴン ポータブル』があります。他にも、外伝作として機体アセンとAI制御がメインのPSP/PS2向け『アーマード・コア フォーミュラフロント』(以下、『ACFF』)もあります。


『アーマード・コア』ではナンバリングに準ずる直接的な続編/外伝もリリースされており、『アーマード・コア2』なら『アナザーエイジ』(AC2AA)が、『アーマード・コア3』なら『サイレントライン』(AC3SL)が、N系と呼ばれる『ネクサス』なら『ナインブレイカー』(ACNB)と『ラストレイヴン』(ACLR)が、『アーマード・コア4』なら『フォーアンサー』(ACfa)が、『アーマード・コアV』なら『ヴァーディクトデイ』(ACVD)がそれぞれ該当します。
初代PS向け
『アーマード・コア』
『アーマード・コア プロジェクトファンタズマ』
『アーマード・コア マスターオブアリーナ』
PS2向け
『アーマード・コア2』
『アーマード・コア2 アナザーエイジ』
『アーマード・コア3』
『アーマード・コア3 サイレントライン』
『アーマード・コア ネクサス』
『アーマード・コア ナインブレイカー』
『アーマード・コア ラストレイヴン』
『アーマード・コア フォーミュラフロント』
PS3/Xbox 360向け
『アーマード・コア4』
『アーマード・コア フォーアンサー』
『アーマード・コアV』
『アーマード・コア ヴァーディクトデイ』
PSP向け
『アーマード・コア フォーミュラフロント』
『アーマード・コア3ポータブル』
『アーマード・コア サイレントラインポータブル』
『アーマード・コア ラストレイヴンポータブル』
初プレイにオススメ出来る『アーマード・コア』とは?
前述の通り『アーマード・コア』シリーズはナンバリングだけで5タイトルありますが、それぞれ世界観やゲームシステムやバランス、ストーリーが異なり、仕様が一貫していません。ナンバリングにおいて世界観が連続して繋がっているのが明言されているのは初代と『2』のみですが、『2』は新システムが追加され、舞台が地球から火星へ移っていることからほぼ別物と言ってもいいでしょう。

最新作『アーマード・コアVI』も、現時点の情報だけでは明らかにこれまでのシリーズと設定や舞台が異なるために、「『アーマード・コア』に触れてみるなら世界設定などで興味を持ったタイトルのどれでも良い。むしろ、最新作を待つのが得策だ」と身も蓋もない意見となってしまいます。
その中で初めてプレイしてみても感触が良い作品であることを考えると、ある程度シリーズ作をリアルタイムで遊んできた筆者としては『アーマード・コア2』か『アーマード・コア3』が最適であると推します。なぜなら操作体系が2022年現在でモダンでない(『2』は左右スティックが使えない、『2』と『3』共に右スティックでエイム出来ない)ものの、60fps動作で難易度も低くパーツの性能も高めで、ストーリー性も強めな事に加え、メニューを含めた全体的なレスポンスも良いために遊びやすいからです。


一方で『アーマード・コア4』以降のタイトルは比較的モダンな操作となっています(右スティックでエイム出来る)。チュートリアルが導入されていることを含め操作性を考慮した遊びやすさを考えると、『アーマード・コア4』と『アーマード・コア フォーアンサー』も同じくらい初プレイに適したタイトルであることは確かでしょう(しかしながら、高速戦闘がフィーチャーされているために、過度に適応しすぎると最新作に対応できなくなる恐れがある)。


一方で、今回の発表で出戻ったプレイヤー向けに改めて注目して欲しいのが『アーマード・コア フォーミュラフロント』。AI制御によるACバトルがF1的に興行化されている外伝作であることは意識しておくべきですが、殺伐としすぎていない世界でのACという新鮮さや、アセンブルとAI調整に注力する面白さなど、これまでのシリーズ作と異なる魅力が詰まっているタイトルだからです(インターナショナル版では自分で操作もできる)。


入手が難しくなっている『アーマード・コア』過去作
ところで筆者は、『アーマード・コアVI』発表を境に、近所や少し離れたゲームソフトの中古品を扱うお店へ数日間通ったものの、日を追うごとに『アーマード・コア』シリーズの店頭在庫が早急に消えていく現象を確認しました(これは本当に驚いた)。
この状況から推測すると全国的に『アーマード・コア』シリーズの店頭在庫は発表から約1週間で大きく消えたと考えられます。中古通販でも同様で、前例無き価格高騰が起こっている状態で、現行機で遊べないことも含めて、かつてないほどシリーズのプレイへのハードルが上がってしまっています。加えてPS/PS2は出力がRCAやS端子のみで、現代のディスプレイへ接続するためにはHDMI変換器が必要であることなども忘れてはなりません(初期型PS3ならPS2互換があるためにHDMI接続も可能だが、数が少なく貴重である)。
これらのハードルを下げる事ができるのがダウンロード版ですが、配信タイトルはすべてではありません。初代『アーマード・コア』と、初代のミッションパック的ポジションの『プロジェクトファンタズマ』と、『マスターオブアリーナ』がゲームアーカイブスにて配信されています(PS3/PS Vita向け、PSPのみ非対応)。加えて、外伝的な『フォーミュラフロント』PSP版も配信中です。Xbox 360版では、2022年現在において『アーマード・コア フォーアンサー』が購入可能。しかし残念ながら後方互換へは未対応です。

現時点でダウンロード版が利用出来る『アーマード・コア』
『アーマード・コア』(PS3/PS Vita)
『アーマード・コア プロジェクトファンタズマ』(PS3/PS Vita)
『アーマード・コア マスターオブアリーナ』(PS3/PS Vita)
『アーマード・コア フォーミュラフロント』(PSP/PS Vita)
『アーマード・コア フォーアンサー』(Xbox 360)
初代『アーマード・コア』系列は、特殊なシステムが実装されておらず、『AC』が持つ魅力の原液をそのまま体験できますが、フレームレートが低いことや、スティックで操作ができないことなど相対的に現在からみると厳しさが残ることを考慮すべきでしょう(PS Vitaならスティック側に操作を割り当てられる)。

最終手段―『アーマード・コア』に近いゲームたち
『アーマード・コア』はカスタマイズ可能なロボットアクションの金字塔として、コアな人気を誇ったことからフォロワー作品がそれなりに出ています。どこまで行っても「似た仕組みのタイトル」でしかないため、近似タイトルを遊ぶことは気を紛らわせるためだけの最終手段ですが、本家にアクセスしにくい以上致し方ない部分もあります。
例えば、2019年にリリースされた『デモンエクスマキナ』は、河森正治氏デザインの「アーセナル」が登場することからも『アーマード・コア』のようなテイストが色濃く表れていますが、アセンブル要素がそれなりに省略されていることやハスクラ要素が導入されていることなどを含めて、似て非なるものであることを意識しておいた方が良いでしょう。
他にも、『アーマード・コア』と直接関係がなく、仕組みもそう似ているわけではありませんが、「レッツ パーティ!!!」のセリフと、同じくコアな人気で知られるフロム・ソフトウェアの『メタルウルフカオス』には、2019年にリマスター版『メタルウルフカオスXD』がリリースされています。(当初指摘されていた不具合や問題はアップデートで多少解決した)。ダークで無骨ではない珍しいフロム・ソフトウェア作品です。
『アーマード・コア』シリーズの過去作は、これまでPC/現行機にリマスターや移植、リメイクされてきたわけではないために、相対的にグラフィック(フレームレートを含む)や操作性に難があることや否めません。本記事では主に『アーマード・コア2』と『アーマード・コア3』を推薦していますが、操作性の面では決定的でないですし、どうしても今から過去作を遊ぶのであれば、むしろある程度モダンな作りとなっている『アーマード・コア4』系の方が最適かもしれません。

¥6,599
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
¥16,386
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)