最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない！」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回は2023年3月2日にインディー開発者・タカヒロウ氏（@moaijp）よりニンテンドースイッチ向けにリリースされた『紙がない！』について生の内容をお届けしたいと思います。
『紙がない！』とは
本作は、インディー開発者のタカヒロウ氏が発売する新感覚アクションゲームです。プレイヤーが使うコントローラーは、なんとトイレットペーパー。ニンテンドースイッチのJoy-Conを芯の穴に差し込み、板の上で転がしてプレイします。
タカヒロウ氏はこれまでにも、実際にある剣を引き抜くことを目指す『伝説の剣』や、巨大ハサミ型コントローラーを使って敵を倒す『シザザザザーン』などユニークなコントローラーを用いた作品を制作してきました。
同氏の作品は特殊コントローラーを使用する作品が多く、イベントで出展されているものを遊ぶという形で遊ぶものが多かったのですが、この『紙がない！』はどの家庭にもある身近なもので特殊コントローラーを作って遊ぶことができます。
身近なものを用意すれば遊べる！コントローラーを準備しよう
「紙がない！」……朝起きてトイレに座った筆者は、空になったトイレットペーパーホルダーを見て思わずそう叫んでしまいました。
トイレの上に置いてあるはずのストックも切れており、大ピンチ。いますぐ買いに行かなくては！
というわけで、近所のドラッグストアにトイレットペーパーを買いに行きました。ダブルロールになっているタイプのものです。これをトイレにセットする……のではなく、ゲームに使いたいと思います！これが『紙がない！』を通じて体験する、新しいトイレットペーパーの使い方。
『紙がない！』に必要なものは、LRそれぞれ1本ずつのJoy-Conと丸めたティッシュ2枚分、そしてトイレットペーパーとそれを転がすための平らな板です。板はダンボールがおすすめで、なるべくへこみや折れのないものを使うと良いでしょう。転がる感度はゲーム内で調整できるので、大きさはある程度バラツキがあっても問題ありません。
芯の中にJoy-Con（L）を入れ、そこから丸めたティッシュを押し込みます。振ってみてJoy-Conが動かないように固定されていたら準備完了。Joy-Con（R）も使うため、手の届きやすい場所に置いておきましょう。
トイレットペーパーを転がして操作！難しくも楽しい仕上がりに
本作の目的は、トイレットペーパーを転がして操作し、紙がなくて困っているステージ最下部の男性のもとにたどり着くというものです。プレイヤー自らがトイレットペーパーになり、未曾有のピンチを救ってあげましょう。
道中には針やノコギリなどの障害物が設置されており、当たるとミスになってステージのはじめに戻されます。トイレットペーパーが真っ二つになったり、バラバラになったりといった様子がシュールです。
プレイした印象は、操作が難しくスリルがあるということです。トイレットペーパーには慣性がつきやすく、転がる勢いによって軌道も変わるので、角度を適切に調節する必要があります。移動する障害物を避けなければならない場面も存在しますが、トイレットペーパーは急に止まれません。勢いがつきすぎていると思わぬ挙動をしてミスすることがあるため、先の地形を見越しながらうまく調整する必要があります。
とはいえ、慎重に遊んでいても時折操作をミスしてロケットのような勢いで障害物に突っ込んでしまうことも……。転がすという不安定な操作だからこそのスリルがあり、思わず熱中して声が出てしまいます。
特に良い点は、アクションゲームとして堅実かつ面白い作りになっていること。特定ルートを巡回するノコギリをうまく避ける必要があるところや、ジャンプ台使ってうまく地形を乗り継ぐステージ、レーザーのギリギリの合間を縫って進むところや扇風機に乗って浮かぶステージなどギミックが豊富であるため、次のステージが楽しみです。チュートリアルを仕掛けでそれとなく示したり、無理のないレベルデザインになっているステージも多く、堅実な作りであるところも熱中できるポイントです。
『紙がない！』は、本体から切り離せるJoy-Conの特性を利用して、トイレットペーパーを転がすという特殊な操作方法で楽しめるアクションゲームに仕上がっていました。個人的な印象ですが、こういった奇抜な要素が目立つゲームはいわゆる“一発ネタ”のものが多く、話題性や初回プレイでのインパクトを重視したものが多いと思っています。
しかし『紙がない！』は話題性やインパクトを確保しつつも、豊富なギミックや丁寧なレベルデザインでアクションゲームとしても堅実で面白いのも良い点です。欠点としては、板を長時間持っていると二の腕の筋肉が疲労してくること。腕を痛めないよう、適度に休憩を挟みながら遊ぶのが良いでしょう。「変なゲーム」を手軽に味わいたい人にはぜひおすすめしたいタイトルです。なにより、遊んだ後はお尻を拭くために再利用できるのでとってもエコですよね！
