先日の「Summer Game Fest」でも発表された、シリーズ最新作となるユービーアイソフトのアクションADV『プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠』。並行してUBIイベント会場にてデモ版をプレイした筆者(下記リンク)ですが、その後プロデューサーのAbdelhak Elguess氏にインタビューを行う機会も頂きました。

――本日は、貴重なお時間を頂きありがとうございます。どうぞよろしくお願い致します。本作を実際にPCとニンテンドースイッチ両方で試遊し、どちらも素晴らしいプレイフィールでした。私はXbox360版をプレイした経験のほか、初代SFC版は知っているのですが……今回の最新作については、スクロール式のマップしかり、初代を意識したゲームデザインなのでしょうか?
初代をただ置き換えた、という意味ではありませんが、我々開発チームにとってシリーズタイトルが持つDNAのようなものを尊重する気持ちがありました。サルゴンが使用する時間操作能力の「タイムパワー」というのはその最たるものですね。それに加えて、新しいアイデンティティとなるような要素を取り入れたいと思い開発を進めてきました。
――新しい要素というのは私も試遊時に感じました。ただシステムを据え置きでグラフィックだけ置き換えた……ということでは決してなく、キャラクターの動きが素早くハッタリの効いた切れ味があったり、スペシャル技などの派手なエフェクトだったり、より現代にあわせたアプローチをされていますよね。
その通り。ゲーム業界は常に進化しており、私達はそこで得た知見を、戦闘、移動/探索、謎解きといった本作のゲームデザインに取り込みました。

――なるほど……ここでお聞きしたいのですが、そんな本作はどんなプレイヤーをメインターゲットにしているのでしょうか?
メトロヴァニアが好きな人、何より『プリンス・オブ・ペルシャ』のファンですね。本作は彼らのようなプレイヤーに向けて作ってきました。もちろん「はじめてプレイする」といった新規プレイヤーに対しても、ぜひ遊んで貰いたいです。シリーズは知らないけれど、本作をプレイしたら楽しかった……そんな風に思ってもらえたら嬉しいですね。ただしプレイヤーには、本作における歯ごたえのある戦闘を愛してもらう必要があります(微笑み)。
――シリーズファンを唸らせつつ、新規層も開拓していけたら、という感じですね。たしかに戦闘は最高に楽しかったです。さて、先の質問から少し派生するのですが、本作のストーリーについては如何でしょうか?例えとして正しくないことは承知しつつも、アラビアンナイト……いや違う中東の雰囲気を前に出すと言いましょうか、尊重した要素はあるのでしょうか?
基本的には主人公サルゴンが若者らしく新しいことを学んでいく、という物語の骨子があり、他にも個性豊かなキャラクターが登場することでストーリーが彩られる現代的なアプローチをしています。なお中東部分については、当時のペルシャは文明の交差点だったということで、ゲーム内のアーキテクチャ、サルゴンや他の戦士たちのデザインに、そういった様々な文明の影響を受けているのは見て取れると思います。ただしそれらはあくまでペルシャをベースにしたもので、アラビアンナイトではありません。

――失礼しました……!ところで、戦闘システムについて伺いたいことがあるのです。シリーズファン問わず、アクションゲームがあまり得意でないプレイヤーに対して、ゲーム側は何か「救済措置」のようなものは用意しているのでしょうか?
例えば、本作の戦闘で最も重要な要素は「パリィ」がありますが、それが苦手な人は設定項目からパリィの入力受付時間の長さを変更することができます。反射的な操作が求められるパリィに苦戦する場合は、入力受付時間を引き伸ばすよう変更すると良いでしょう。もちろんさらなる難度を求める玄人は、逆に時間を短くできるようにもなっています。これ以外にもカスタマイズできるパラメータがいくつかありますね。
――なるほど、苦戦しているプレイヤーに助け舟を出しつつ、同時に挑戦を求める層にも対応しているわけですね。そうなると……難易度によるゲームモードの選択としてはイージー、ノーマル、ハードそしてカスタムとなる訳ですが、例えばカスタムモードを選ぶことによってゲーム内報酬や実績が取得できない等ありますか?
いえ、カスタムモードを選択してもプレイヤーは他と同じようにリワード等が得られるようになっています。

――素晴らしいですね!さて話は少しズレつつも、敵と戦っている時に気づいたのですが、もしかしてマップ内の罠ギミックは敵にもダメージを与えるのでしょうか?敵をトゲ罠に向かって吹き飛ばしたら追加ダメージを受けているように見えたので。
もちろん、敵にもダメージが入ります。お馴染みですね。そういった罠の活用以外にも、敵の弓矢による攻撃を捕まえて無効化したり、敵を掴んで他の場所へ吹き飛ばしたりなどなど戦い方にはバリエーションがあります。
――あと個人的にタイムパワーの能力は、有効活用できれば攻撃の手数を増やして戦闘を有利に進めるのでは?と感じました。
その通り。こちらの弓攻撃と組み合わせてコンボを繋いだりと、タイムパワーも十分強力なオプションになります。
――しかし私はボス戦の時、敵の攻撃を捌くのと、少しでもダメージを与えることに夢中になって、すっかりそのこと忘れて苦戦していました……
はっはっは(満面の笑み)

――個人的にものすごく気になっていることを伺いたいのですが……本日の試遊で、ニンテンドースイッチ版を携帯モードでプレイさせてもらったところ、見間違いでなければ60fpsでヌルヌル動作していたのですが……!?
よく気づきましたね。ニンテンドースイッチをはじめとする全プラットフォームでの60fps実現は、プログラミングチームやアーティストチームを含む多くのスタッフによる努力の賜物です。これは簡単なことではありませんでしたが、我々は開発初期段階の時点で、「このゲームには60fpsが必要なんだ」と決めていました。最適化を始め多くの苦労がありましたが、チームは高いモチベーションでこの60fpsに取り組みました。そのうち「60fps」という言葉が、ややジョークめいた標語としてチーム内で掲げられたり。
――「60fps!」と書かれたシャツを着用するスタッフさんもいらっしゃったのでは?
ふふふ、実際私の写真を加工して、60fpsと文字を添えた画像をパソコンの壁紙にしたりするスタッフもいましたね(ニヤリとする口元)
あっはっはっはっは(両者ともに大笑い)

時に笑いありで穏やかに進行したインタビュー。改めてこの場を借りて、貴重なお時間を頂けたことを御礼申し上げます。ともあれ、今回伺った話でシリーズファンはもちろんのこと、興味を持った新規プレイヤー層にもしっかりアピールできるゲーム内容であることがわかりました。
そんなアクションADV『プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠』は、Windows PC (Epic Gamesストア / Ubisoft Store) /PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/ニンテンドースイッチ向けで、2024年1月18日にリリース予定。またサブスクリプションサービスUbisoft+でもプレイ可能とのことで、さらなる詳細はこちらの公式ウェブサイトをご確認ください。