PLAYISMは、panstaszが手がける2DホラーRPG『恐怖の世界』をSteam/PS4/ニンテンドースイッチ向けに配信開始しました(Steam版は早期アクセスから正式版へ移行)。
本作は、伊藤潤二やH.P.ラヴクラフトなどの作品にインスパイアされたコズミックホラーローグライトRPG。プレイヤーは、さまざまな不気味な事件や怪異が起こる日本の田舎町・塩川町を舞台に、キャラクターを選択して調査していきます。旧き神が目覚め、狂気が渦巻く世界へと変貌していこうとする滅亡を防ぐためには、さまざまな謎や怪異へと挑まなければなりません。
ゲームはMSペイントで描かれた1bitの世界が特徴。上がり過ぎればゲームオーバーとなる「破滅値」の管理や恐るべき怪異とのバトル、プレイのたびに変化する悪夢のような出会い、そして容赦のない選択肢を乗り越え、事件の元凶を解き明かしながら、さまざまな事件やその裏に潜むモノと対峙していきます。
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Game*Sparkは、『恐怖の世界』正式リリースと日本語収録にあわせて同作開発者へのインタビューを実施。本作の開発経緯や日本を舞台にした理由など、さまざまな質問にお答えいただきました!
『恐怖の世界』開発者インタビュー
――自己紹介をお願いします。
Pawel Kozminski氏(以下、Pawel):どうも。1980年代の日本の小さな港町を舞台にした1bitホラーアドベンチャー『恐怖の世界』の開発者Pawel Kozminskiです。
(※編注: 正確なポーランド語表記では、氏名の「l」「z」「n」にクレスカが付く)
――『恐怖の世界』の開発経緯について教えてください。
Pawel:小さいころから兄の影響でボードゲームが大好きでした。兄はボードゲームを作るのが好きなのもあり、子供のころはいつも一緒に兄の小さな自作ボードゲームで遊んでいました。そんな兄の趣味に倣って、自分でも伊藤潤二先生の作品にインスパイアされたカードゲームを作ろうと思ったんです。
最初は趣味程度の小さなゲームだったのですが、カードを印刷して、切って、テストプレイして……その繰り返しに疲れてしまって、いっそPCのゲームとして作り直したほうが早いのではと思ったんです。でも、実際やってみたら全然そんなことありませんでした!
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――『恐怖の世界』では、最初から日本を舞台にした作品にすることを決めていたのでしょうか。
Pawel:はい、そうです。結果的に私が書きたいような、怖い話にはぴったりな舞台になりましたね。
――2017年に発表された『恐怖の世界』は日本でも注目されてきた作品です。これまでどのような反響があったのでしょうか?
Pawel:嬉しいことに、今までたくさんのフィードバックをいただき、このゲームをより大きく、より良いものへと改善していこうとするための力を与えてくれました。ファンの反応でゲームへの自信も付いたので、皆さんからの反響にとても感謝しています!
――ドアを開けるようなインタラクティブなゲーム要素など、色々な点でプレイヤーに体験させる没入感を与えてくれていると思います。「怖い」と感じることはもちろんですが、ゲームとしての面白さや飽きさせない工夫などについて教えてください。
Pawel:早期アクセス中にいただいたプレイヤーの皆さんからのフィードバックによるものが大きかったと思います。プレイヤーの感想を参考にすることで、できるだけ楽しく、そして怖いゲームにできたと思います。QoLの改善やゲーム内の内容をさらに補足するためのアイデアなど、ゲームの質や面白さをアップする手助けをしてくれました。
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――ゲームの制作に関連して、日本に観光に来たことがあるのでしょうか?例えば寂れた農村や学校のような、ゲームに関するような場所を観光したり、実際に参考にしたのでしょうか?
Pawel:ゲームのプロモーションのために、これまで東京ゲームショウやBitSummitなどのイベントを参加しに何回か日本に行きました。でも、イベントが終わってから1日か2日ほど経ったらすぐ帰るのがほとんどでした。今年は少し長めの旅行ができたので、ようやく日本の探検ができました! 田舎町にも行きましたよ。
日本の自然はとても素晴らしいのですごく楽しめたのですが「ジョロウグモ」は巣をもう少し高く作ってほしいなと思いましたね。私は身長が高いので、いつも観光中に頭上を気にすることになっていました。
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――『恐怖の世界』でインスパイアされた伊藤潤二先生の作品では、どの作品が好きでしょうか?
Pawel:伊藤潤二先生の作品は、どれも素晴らしいものばかりですが、ひとつだけおすすめするとしたら「漂着物」という短編をおすすめしたいです。シンプルなアイデアと先が不安になる結末もとても印象深く、読んでからしばらく心に残りました。
――伊藤潤二先生やラヴクラフト氏以外だと、どのような作品(映画・漫画・小説など)から影響を受けているのでしょうか?
Pawel:70年代から80年代の日本映画にかなり影響を受けています。特にホラーやオカルト映画の影響が大きいですね。たとえば「死霊の罠」や「犬神の悪霊」などの作品はもちろん、「狂走情死考」のような、少し前のドラマやピンク映画もとても参考になりました。
こういった作品を見ることで興味深い構図や衣装、当時のテクノロジーや建築、そして文化的な言及など、すべてより没入できる世界を作るための資料になりました。
――魅力的なグラフィックやチップチューンのBGM、ユーザーインターフェースなど『恐怖の世界』は世界観の調和が素晴らしいと思います。開発チームでどのような話し合いをしながら『恐怖の世界』の世界を形作っていったのでしょうか?
Pawel:ゲームの見た目に関して言えば、私自身のグラフィックアーティストとしての才能の限界に挑戦した結果だと思います。私はあまり絵が上手いわけではありませんが、『恐怖の世界』では、すべて自分でやることが大事だと思ったからです。1bitでの表現についても、低解像度ながら漫画のような雰囲気を上手く表現できている、唯一無二の絵柄だと思います。
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――開発のpanstaszのあるポーランドにも、スラヴ神話など多くの民話・説話があり、多くの怪異なども語り継がれています。『恐怖の世界』後にそういった別の地域にフォーカスした作品を考えたりしているでしょうか? ホラーやオカルトジャンル好きの人間としては興味深いところです。
Pawel:はい、自分の国の文化を広めるチャンスがあるなら、是非ともそうしたいと思います。続編は世界中の人が驚くようなエキゾチックな時代を舞台にしたいと思っていますが……今はまだ詳細を話すには早いですね!
――『恐怖の世界』はテキスト量も多く、世界観的な単語や雰囲気に合わせたローカライズは大変だったと思います。ローカライズ作業に関して、苦労した点やこだわった部分を教えてください。
Pawel:『恐怖の世界』の翻訳は「雰囲気を守ること」が最優先でした。ローカライズは長くて忙しい共同作業でしたが、素晴らしい翻訳者のみなさんと緊密に協力しながら、テキストの持つ緊迫した雰囲気を、できるだけ守ろうと重視しました。その結果として、どの言語でも背筋が凍るゲーム体験を実現できたと思います。
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――ついにバージョン1.0を迎えた『恐怖の世界』ですが、正式リリース以降もゲームの世界が広がるアップデートをしていくのでしょうか?
Pawel:もちろんです!リリース後も無料のアップデートやカードパック追加のほか、Mod機能に対応してプレイヤーのストーリーをゲーム内に実装できるようにしたいと思っています。今後は塩川町の歴史や町を囲む山、そして“謎の科学実験”がより重要になります。
――日本語で遊べることを多くのプレイヤーが待っていました!ぜひともこれから遊ぶ方々へメッセージをお願いします。
Pawel:『恐怖の世界』は、きっと楽しく、そして夜眠れなくなるほどに遊べるゲームになっていると思います。遊んでいただければ、ゲームに注がれた愛情と努力なども目に浮かんでくると思いますよ。プレイヤーの皆さんも、一緒に世界を食いつくそうとする古き神を食い止めましょう!
『恐怖の世界』は、PC(Steam)/PS4/ニンテンドースイッチ向けに配信中。PS4/ニンテンドースイッチ版はパッケージ版も発売中です。