※注意※
本記事には『不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録』に関する一部ネタバレが含まれます。
スパイク・チュンソフトは、ニンテンドースイッチ向けダンジョンRPG『不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録』を2024年1月25日に発売しました。本作は、遊ぶたびに地形が変わり、死ねばすべてを失いレベル1からふたたびスタートする「不思議のダンジョン」の最新作です。
実に14年ぶりのナンバリング最新作となる本作では「原点回帰」をテーマに、『シレン』シリーズ初代作の『不思議のダンジョン2 風来のシレン』をベースに考えて開発されています。最初の挑戦でボスに挑める「一発解き」も可能なことも、2023年11月に行われたメディア合同セッションでも明かされていました。
新要素として満腹度150以上になるとシレンがパワーアップする「ドスコイ状態」や、ダンジョンでの脅威「デッ怪」などが登場。プレイヤーに状況を共有できる「パラレルプレイ」や、色々な場面を想定した練習ができる「もののけ道場」などの新コンテンツも用意されています。
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本記事では『不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録』についてのレビューをお届けしていきます。
『不思議のダンジョン』としての面白さに満ちている
筆者は『シレン』シリーズをある程度遊んでおり、1月には姉妹媒体のインサイドにて初代作『不思議のダンジョン2 風来のシレン』を改めてプレイした記事を執筆しています。本シリーズは初代から緊張感と戦略に満ちた作品で、原点回帰となる『シレン6』を楽しみに待っていました。
このシリーズ最新作は、オープニングを経ていきなり本編のボスとの決闘から始まります。こちらもある程度のレベルや装備の状態で実際に戦いを挑めるのですが、力及ばず倒されてしまいました。先述のとおりこの段階で撃破も可能なので、これはいつかチャレンジしてみたいと思います。
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倒された試練は今回の拠点である「山あいの里」で目を覚まします。ここからは、ダンジョン内で死ねば道具を全て失いレベル1から挑むことになる「不思議のダンジョン」シリーズの基本や今回のストーリー説明などを受け、再び物語の目的であるダンジョンのボスを倒すための冒険が始まります。
本作は基本的に難易度が高めです。挑むことになる最初のダンジョンから「一度でボスまで辿り着かなくてはならない」というシステムで、基本的に途中で帰ることはできません。道中で買い物や最低限の倉庫などの村や集落はあるのですが、ボスを倒すまでは突き進まなければならないのです。
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つまり、どんな強い装備を手に入れても死んでしまえば基本的におしまいです。初代と同じく、いかにして持っているもの、拾えるものでクリアを目指していくかという緊張感に満ちています。生き残るためにあがくのが何よりゲームなのです。ターン制だからこそじっくり考えて行動し、その一手で起きる希望も絶望も味わえますよ。
本作からシリーズを初体験する方は、何もわからずに最序盤で倒されることを繰り返すかもしれません。それほど『シレン6』はプレイヤーに挑戦的です。しかし、決して理不尽なゲームではなく、繰り返して学んでいくことで必ずクリアできるゲームです。
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知識が問われる難易度と解放要素のバランスが絶妙
本作は、他シリーズ作品と比べてモンスターから受けるダメージが大きめです。初プレイ時は完全に油断していて、ダンジョン1Fで2体に囲まれて危うく殺されるところでした。このダメージは開発が意図しているもののようで、代わりにターンごとの体力回復も強化されています。
装備やレベルを整えるのはもちろん、躊躇せず【杖】【巻物】【草】を使うことを意識しなければ「不思議なダンジョン」では生き残れません。しかし、多くのアイテムは効果が不明の“未識別”で決して安心できないのです。さらに、本作では早い段階で地形無視や飛び道具反射の特性を持つ敵が登場するため要注意。うっかり踏めば危険な「罠」もダンジョン中に配置されています。
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それでいて決して理不尽な難易度ではなく、適切な判断さえできれば生き残れるのです。例えば「敵に囲まれない」「安全な場所で回復や整理を行う」「罠を発見する」といった基本を守れば、生存率は大幅にアップします。アイテムの効果や敵の行動パターンなどの知識もあれば尚良いでしょう。シリーズ経験者の筆者はギリギリの場面でも何度か生き残れて「知識って大事だな……」と思わされました。
ゲーム内では、ヘルプや出会ったモンスターの特徴がわかる図鑑【もののけ手帳】なども充実しています。また、公式サイトでは「今日から始める風来のシレン6」として、基本や応用などのさまざまなテクニックも紹介しています。“店での売買価格”でのアイテム識別方法など、シリーズ恒例のヒントも満載です。死んでミスを覚えることが一番の学習方法だと思うので、どんどん挑戦してみましょう。
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何度もゲームを繰り返していくことで、共に戦ってくれる【旅仲間】やアイテムを強化できる【合成】など、さまざまな要素が解放されていきます。解放要素はいずれも強力なものが多く、探索の大きな助けになります。イベント発生場所は全体マップで示されているので「なんとしても辿り着く!」という目標を立てていくのもオススメです。特に今回は【旅仲間】が強力なので、解放できれば大幅に最初のダンジョンクリアは狙いやすくなると思います。目標のために足掻くことで、知識は更に身につくでしょう。
どんなに知識があっても、装備が充実していても死ぬときは死ぬのが「不思議なダンジョン」です。しかしその背景に、ほぼ必ず原因となるミスや事故(切り抜けられるアイテムの使用を渋った、罠の確認を怠った、移動方向を間違えたなど……)があり、理不尽な死はほとんど起きません。死んでしまった原因を考えて知識をつけ、その知識を次に繋げていくゲームプレイこそ、“1000回遊べるダンジョンRPG”ならではの魅力なのです。
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新要素や調整は基本的に良好だが、「デッ怪」にはやや疑問
本作ではいくつかの要素において、過去シリーズ作品とは少し異なるバランス調整が行われています。まず感じたのが【草】を飲んだときの満腹度回復が5%から2%に減少したことです。満腹度がゼロになれば体力が減り続けるので【おにぎり】がないときに緊急で使用できたのですが、この調整はゲームプレイに大きな影響が出ています。
ただし、今作では【困った時の巻物】など代替になるアイテムも比較的出やすく、また、回復やステータス強化などのアイテムは前作に比べて安く購入できるようになっています。戦闘バランスを含めて、全体的には良好な調整が行われていると感じます。また、本作からの新要素はどれも個性豊かです。
◆「ドスコイ状態」
これはシレンの満腹度が150を超えるとなれる状態で、「最大HPと攻撃力強化」「壁を掘れる」「罠を無効化する」など大きな恩恵を得られます。代わりに一部の移動系のアイテムが使えなくなるというデメリットはありますが、それを差し引いても強いステータス効果です。
満腹度の最大値を上げることは、特定のアイテムを使うか【おにぎり】に余裕があるときしか狙えません。今回は食べるだけで「ドスコイ状態」になれる特別な【ちゃんこおにぎり】というアイテムもありますが、これも貴重なアイテムです。余裕があれば狙うべきだが食糧事情を考えなければならないという、判断が問われる面白い要素です。
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◆「神器」
ダンジョン内で手に入る、特別な効果が付いている装備です。ゲーム内の装備には色々な特徴があり、それは「印」という形で表現されています。神器は武器としての性能が高いだけでなく、本来その装備についていない「印」が付いていることもあるのです。「印」を合成させることもできるのですが、その上限回数(穴)が最初から多いものもあります。
早い話がレアアイテムなのですが、たった一手のミスですべてが破綻する可能性がある『シレン』では、純粋に強い武器や強い個性は大きな意味を持ちます。神器はマップ内でも光り輝いて落ちているので、見ただけでテンションが上がるのも嬉しいところです。
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◆「デッ怪」
ダンジョン内の一部エリアに発生する「デッ怪ホール」から出てくる巨大モンスター「デッ怪」は、正面や横からの攻撃を無効化してきます。そのうえ基礎攻撃力が高いという、まさに強敵です。背後や貫通の攻撃に弱い、一定時間で消えるなどの弱点も用意されています。
今回の大きな特徴のひとつである「デッ怪」ですが、探索においては厄介そのもの。マップ内で見つからないように行動するという面白さはあるのですが、問題点として「無理に倒すことにほとんどメリットがない」というポイントが挙げられます。一応「デッ怪ホール」を消したときにアイテムを入手できる、「デッ怪」を倒す実績があるといったプラス面はあります。
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『シレン』シリーズはマップを探索しながら敵や罠に備えるというゲームプレイが醍醐味です。敵を倒せば経験値も入りますし、上手く利用すればプレイヤーの得になるモンスターも用意されています。しかし「デッ怪」は倒しても経験値がわずかしか得られないのです。
これは筆者の考えですが、強敵であれば対処したときにはそれなりの恩恵があるものであってほしいと感じます。「デッ怪」にはその恩恵が少なく、発生したことでエリアの探索を諦めねばならないという状況が目立ちます(時間でホールは移動するので、探索自体はできないわけではありません)。
発生するエリアが限られていますし、運さえ良ければホールを消した際に有用なアイテムを得られる可能性はありますが、現時点ではどうやってもあまりメリットとデメリットが釣り合ってない要素なのではないかと思います。
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◆もののけ道場
モンスターや装備品、罠などを自由に配置・設定して遊べるモードです。マップはある程度決まっているので複雑なプレイはできませんが、さまざまな状況を想定した遊び方ができます。こちらはゲームを繰り返し遊ぶとアンロックされる要素です。
それらを配置するためには、モンスターや武器を発見しておく必要があります。色々なダンジョンを踏破したり、アイテムを見つけ出すことで大きく遊び方が増えていくモードだと思います。ただし、作ったものをオンラインなどで共有できないのは少しもったいない点ですね。
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◆パラレルプレイ
ダンジョン探索中に作成したセーブデータをオンラインで共有できるモードです。共有したデータは敵の配置やマップ構造なども同一なので、同じ状況を多くの人の間でプレイできます。作成したデータはIDで共有もできますし、アップロードされたデータをランダムで遊ぶこともできます。
このモードで獲得したアイテムなどは持ち帰ることができませんが、様々な状況での練習にもなりますし、他のプレイヤーがどのような装備をしているかなどを知ることもできます。仲間内で困難な状況を突破してみたりなど、このモードならではの面白さもあります。
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筆者のプレイスタイルや倒されたトラウマから、「デッ怪」は個人的に評価しづらい部分です。しかし「神器」のワクワク感や「パラレルプレイ」で得られる学びと繋がっているところなど、多くの新要素が冒険を楽しくする良好なシステムやバランスになっていると思います。
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やりごたえのある難易度は決して理不尽ではなく、上手く行けば最初のチャレンジでもクリアが可能な『不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録』。14年ぶりとなるシリーズ最新作は、そのやりごたえと緊張感、一手のミスで死ぬ無常感など、多くの「不思議のダンジョン」シリーズファンにとって非常に喜ばしいものだったと思います。
本作で初めて『シレン』に挑戦する方には、かなり厳しい難易度やシステムかもしれません。しかし親切なヘルプや公式ガイドもあり、比較的遊びやすくなっていると思います。この「遊びやすい」はクリアしやすいという意味ではなく、あくまで「クリアまでに必要な知識が入手しやすい」ということでもあります。難しすぎる!と投げ出さずに、何度も何度も死んで覚えて、その魅力を味わってみてください。
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本編(最初のダンジョン)クリア後には個性的なダンジョンが次々と解放されていきます。罠を回収・設置できるダンジョン、アイテムの識別が分かりにくいダンジョン、そして最高にやりごたえのあるダンジョンなどが目白押しなのも『シレン』シリーズの楽しさ。まだまだ長く遊ぶことができそうです!
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・「原点回帰」に偽りなし!ひたすらゴールを目指す『シレン』が楽しめる
・難易度は高いが理不尽ではない、攻略の“知識”を得る楽しさ
・新要素や解放要素などの段階やバランスが絶妙!
悪い点
・「デッ怪」は冒険と探索の面白さを損ねかねない
・シリーズファン向けな部分もあり、難易度的にとっつきづらい部分はあるかも