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ニュージーランドのGrinding Gear Gamesが現在開発しているハクスラアクションRPG『Path of Exile 2』。現地時間3月18日にアメリカのロサンゼルスにてメディアとコンテンツクリエイター向け体験会が開催されました。
Game*Sparkはゲームディレクターのジョナサン・ロジャース氏に単独インタビューを行い、『Path of Exile 2』の開発経緯や、6月に予定していたクローズドベータテストが延期した理由、日本語対応などについて質問してきました。
新登場の「Ranger」を入れて製品版のクラスは全12種に
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――今回のデモでは「Warrior」「Ranger」「Sorceress」を選べましたが、製品版でも最初は3職からスタートでしょうか? またクラスは合計12職という発表が過去にありましたが変更はありませんか?
ジョナサン・ロジャース氏(以下ロジャース):合計クラスに変更はなく12職のままです。ただしすべてがすぐに選べるわけではなく、最初から選択可能なのは8職になる予定です。
――昨年Game*Sparkが招待いただいたイベントでは「Druid」をプレイしたのですが、今回は選択できなかったのが少し驚きでした。 なぜ3職のみ用意したのでしょうか?
ロジャース:今回のデモでは限られた時間でゲーム最序盤のAct1をプレイしていただくという制限があり、その中でもっともゲーム体験が優れているクラスを考慮した結果が「Warrior」「Ranger」「Sorceress」でした。 「Druid」などの他クラスは真価を発揮するにはもう少し時間をかけてスキルツリーを伸ばす必要があるので、今回は除外しました。
――全12職の中からゲーム・ディレクターのロジャース氏のお気に入りクラスを教えて下さい。
ロジャース:好きなクラスはたくさんありますが一番の思い入れがあるのは「Monk」です。 『Path of Exile 2』の開発中に、どうやっても前作と戦闘が似てしまうという悩みがありました。 ところが「Monk」を開発するにあたり、ドッジロールなどの新しいアビリティを追加してみるとそれまでの問題が一気に解決し、以降の開発の方針が定まりました。「Monk」以降にも好きなクラスはたくさん生まれましたが、そういった思い出があるので、どのクラスよりも「Monk」がお気に入りとなっています。
『PoE2』がDLCから単独作品に独立した経緯
――やはり前作との差別化は難しいところがあったのですね。 それではなぜ『Path of Exile 2』は元々の『Path of Exile』のDLCという計画から、スタンドアロンな続編へと変化したのでしょうか?
ロジャース:おっしゃる通り、元々は1つのゲームに2つのモードがある共有ゲームとして開発していました。しかし、スタジオ内で開発について懸念する人が増えてきてしまったのです。
例えば誰かが、「エネルギーシールドのような単純なものにいくつか変更を加えました。今後は少し違う仕様となります」と言ったとします。すると、別の誰かが「この変更は現在の開発ビルドを破壊してしまうから採用できないので打ち合わせしましょう」というようなやり取りが増えてきたのです。
そして、多くの同様の苦情を受けたとき、問題の根底に「ゲームが基本的に以前と同じものである」という皆の前提があることに気づきました。
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ところが『Path of Exile』は長年のアップデートによりエンジンが複雑化しています。 そこで、誰もがコンテンツ全体を破壊することを心配する必要がなく、できるだけ良いものを設計できるようにしたかったのです。
そのため、『Path of Exile 2』をDLCとして開発し続けることが、私たちの設計の自由度を妨げていると感じ、独立した作品に方向転換しました。 2つを分離する決定を下してからは、全てがより良くなり開発環境が大いに改善したと思います。
ーー『Path of Exile 2』の対応コンソールは旧世代機から現行機に変わった理由もお聞かせください。
ロジャース:『PoE2』で重視した点がグラフィックと60fpsです。旧世代機に対応させるとグラフィックへと制限ができてしまいますし、旧世代機のCPUは『PoE2』を60fpsで稼働させるには非力でした。
――『Path of Exile 2』をリリース後も『Path of Exile』は3ヶ月ごとに新リーグを配信しますか? それともパフォーマンスアップデートのみになりますか?
ロジャース:どちらのゲームも同じスパンで新リーグを導入していきます。両者は独立しているので、『PoE2』のリーグが完了したら『PoE』のリーグをプレイしてもいいですし、同時進行も可能です。
『PoE』と『PoE2』は課金要素を共有
――公式サイトに両タイトルがゲーム内課金を共有すると記載されていますが、どのような仕組みでしょうか?
ロジャース:『PoE2』が元々は『PoE』の一環だったので両者のエンジンは共通しています。そのため、インベントリ拡張といったゲーム内課金要素の部分は流用できるので、『PoE2』で購入したものは『PoE』でも利用できるわけです。
ただし、『PoE2』限定のスキンといったものは『PoE』では利用できません。たとえば「Druid」は前作にはいないのでDruid用スキンは利用できないといった具合です。
――インベントリ関連ですが、今回のデモでは保管庫は封印されて利用できず、プレイヤーのインベントリにしかアクセスできませんでした。 製品版では保管庫はどのくらいの容量があり、プレイヤーのインベントリサイズは拡張できますか?
ロジャース:保管庫はデフォルトでは4タブ分の容量があり、ゲーム内課金で無限に増やせます。 プレイヤーインベントリそのものの拡張はできません。
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――私自身ハクスラが大好きで、ハクスラゲームを手掛ける様々なスタジオの方とよく話すのですが、どこのスタジオもインベントリと保管庫の容量確保に苦しんでいます。しかし『PoE』では問題がないのですね?
ロジャース:ユーザーの中には1人で何百枚もタブを購入されている方もいますし、データベースには10億個以上のアイテムが登録されていますが、私達のスタジオはうまく処理できていると思います。
ーー前作を未プレイの方々は『PoE2』に備えて今から『PoE』をプレイしておくべきだと思いますか? 引き継ぎ要素などもありますか?
ロジャース:『PoE2』からスタートで大丈夫だと思います。なぜなら『PoE2』の方が優れたゲームだからです。戦闘がより洗練されていてもっと楽しみやすくなっているからです。
ストーリーは前作をプレイしておくと理解しやすいとは思いますが、25年後のストーリーなので過去の出来事を知らなくても問題がないようになっていますし、『PoE2』だけで完結するようになっています。 ただし、前作ファン向けのファンサービスはもちろん用意してあります。
引き継ぎ要素は保管庫拡張などの課金要素だけです。
ーー『PoE』には「1000時間プレイするまでチュートリアル」というジョークがありますが今作ではどうなるでしょうか?
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ロジャース:仰るとおり『PoE』は10年の月日を経てゲームが複雑化したわけですが(笑)、本作は1からスタートさせることで、新しいプレイヤーにとってより簡単に学べるようになっていると思います。
重要な理由の1つは、ゲームの奥深さをそのままにアイテムシステムの仕組みなどを分かりやすくしたことです。ゲーム内でより多くの説明を見られるよう追加しました。例えば、会話やアイテムの説明欄でAltキーを押すと用語の説明を見ることができるヘルプシステムや、スキルの仕組みを説明する動画などがあります。
このようにプレイヤーにより明確に伝え、ゲーム内であらゆるものを発見できるよう努力することが重要だと思います。外部に頼る必要はありません。ゲームクライアント内で見つけられるようにすることが大切です。そうすればより分かりやすくなるはずです。
なぜクローズドベータは延期したのか
ーー6月に予定していたクローズドベータを延期されましたが、開発では何が起きたのでしょうか?
ロジャース:6月という期日までにコンテンツを用意することはできたのですが、ベータ版は製品版に近いクオリティに達している必要があると考え、現時点の開発ペースではその目標に届かないと判明したので延期を決断しました。
全てを理想のクオリティにするには予想を超える反復作業と多大な労力が必要で、この状態のままベータ版をリリースしても、開発陣でも分かりきっている問題を多くのユーザーから指摘されてしまい、どちらにも良い結果が残らないという未来が見えました。 代替案として、6月には非常に限られた人数向けのクローズドアルファテストを開催します。
6月には間に合いませんでしたが、年内にはベータテストを開催できると思います。
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ーー私自身プレイしてみて、特にUIの部分がこのままリリースされると厳しいなと感じる部分がありましたが、開発の方々はUIについてはどうお考えですか?
ロジャース:まさにUIが理想のクオリティから程遠いところにありまして、クエスト関連のUIは根本的な改善が必要ですね。まだお披露目していませんが、コントローラー向けの専用UIも用意しています。
ーー今回はAct1を体験させてもらいましたが製品版は全部でActをいくつ用意されていますか? また、エンドゲームコンテンツについてもお話いただけますか?
ロジャース:実は今回のデモはAct1だけでなくAct2もプレイできるようになっていて、この部分はかなり良い状態に仕上がっていますが、まだいくつかのバグやクラッシュなどがあります。
Actは合計で6です。その後はエンドゲームが始まります。ただし具体的な内容はお話できません。
ーー少しでもお話いただけませんか? たとえば本作でもVoidstoneは登場するかなど。
ロジャース:それについては別の機会にお話させてください(笑)。 でも、少しだけお話させていただくとしたら、『PoE』のエンドゲームコンテンツのコアな部分を大切にしつつ斬新な形で提供できるようにしています。
マップベースシステムは続投していて、プレイするたびにランダムマップが形成されます。 だから『PoE』プレイヤーにとっては慣れ親しんだものですが、同時に新しい変化がいくつも加えられています。
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気になる日本語対応
ーー本作はリリース時から日本語対応ということを表明されていますが、テキストのみですか、それとも音声もですか?
ロジャース:実はその点について、日本人のアナタ視点でお話を伺いたかったんです。
日本語対応の形式についてはスタジオ内でも議論が分かれていて、現時点では日本語テキスト/英語音声で行こうと考えていますが、最終決定ではありません。 私も音声は英語のままで行こうと考えています。
ただし、私自身はよく日本のゲームを日本語音声でプレイしています。なぜかというと、英語版の演技は日本語版ほどのクオリティに達しているとは感じられないからです。多分、日本語の演技監督が他言語の演技も直接監修はできないので、どうしても劣ってしまうのだと思います。
私自身が同じ立場に立ってみると、やはり日本語での演技が正しいのかどうか判断できないので、日本語のクオリティに自信が持てません。けれども、アジア圏のパブリッシャーのテンセントがサポートしてくれるので、日本語音声採用の可能性も捨てられません。
ーー私の意見では日本語音声は採用すべきです。例えばドラマや映画ですが、英語圏では現地の音声で聞きつつ英語字幕で鑑賞するというスタイルが定着しはじめていますが、日本では逆に日本語吹き替えの方が需要が高いです。
ロジャース:そう考えるとやはり日本のマーケットは非常に独特です。前作は決して日本で大ヒットしたとは言えないので、本作をもっと認知してもらうためにも日本語音声採用の件はもっと検討しようと思います。 貴重なフィードバックをありがとうございます。
ーー最後に日本の読者に向けてのメッセージをお願いします。
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ロジャース:『Path of Exile 2』が日本で存在感が大きくなることにとても興奮しています。前作は多くの日本の方々に受け入れられる出来栄えだったとは思っていません。その理由の一つが日本はPCよりもコンソールの方が人気だからです。そのため、日本の方々にも喜んでもらえるように、コンソール版のクオリティも非常に優れたものに作り上げられるように努力します。
ーーありがとうございました。
『Path of Exile 2』のクローズドベータテストが延期になってしまいましたが、現状ではテスターを満足させられないという判断は、実際にプレイしてみて正しいと思わざるをえませんでした。やはりUIの部分が洗練されておらず、このままでは不評を買ってしまうという決断は間違っていません。延期は残念ですが、より洗練された状態でベータテストが実施されることが楽しみです。
また、日本でもより受け入れられるには、日本語音声対応は重要なポイントと思います。 ロジャース氏もインタビュー後にテンセントの方と音声ローカライズについて話し合っており、今回の対談でロジャース氏の方針が変わってくれることを期待しましょう。
また、初代『Path of Exile』も、次期アップデート「Necropolis(ネクロポリス)」が発表され、まだまだ大きな盛り上がりを見せています。こちらは日本時間3月30日午前4時にローンチ予定です。
『Path of Exile 2』は、PC/macOS/Xbox Series X|S/PlayStation 5向けに現在開発中です。
¥275
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)