2024年3月30日、大阪の梅田スカイビルにて開催された「ゲームパビリオンjp2024」。開場から来場者も多く、盛況なイベントとなっていました。会場内で展示されていた作品から、本記事では「GEEKY Fab.」の展示をピックアップしてご紹介します。
Game*Spark掲載「ゲームパビリオンjp」取材記事はこちら!今となっては逆に珍しいハードウェア展示
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ゲームの展示会といえば文字通り「ゲームが展示されている」と思い込みがちですが、「Summer Game Fest」や「東京ゲームショウ」のような大きな催しであれば、ハードウェアや開発者向けのミドルウェア・開発機器も紹介されることが多々あります。
しかしゲームパビリオンjpのような規模のイベント、なおかつ個人出展でハードウェアを取り上げるケースは珍しく、筆者もイベントに参加してまず最初に向かうことにしました。
この展示ではセガサターンのマルチコントローラー/サターンコントローラーの他、スーパーファミコンのUSB基盤の販売も行われており、ドライバーで分解して入れ替えることでPCや他ハードでの使用を実現しているとのこと。筆者も展示のマルコンを操作させていただいたのですが、PCで操作していると思っていたゲームが、実はニンテンドースイッチで操作されていることに非常に驚きました。
気になる遅延はなし
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実際のところ「ゲーム機コントローラーのUSBキット」は過去を遡ればそこまで希少な物ではなく、古いユーザーにとってはDPP(ダイレクトパッドプロ)と呼ばれるDIYから始まり、メーカーからも各種コンバーターが数多く発売されていました。当初のWindows(Windows 98~Windows 2000辺り)ではUSBの伝送速度や(各種コンバーターの)ドライバーがそこまで良くないこともあってか、高速なプリンタポートを使用し、ドライバも提供されていたDPPは重宝されていました。
しかし、それはWindows 7以降USBの高速化やプリンター/パラレルポートの撤廃、PCネイティブでもXboxコントローラーなどが一般化する前の話です。当時は目に見えてDPP以外は遅延もあったり、PCネイティブをうたうコントローラーの数も少なく、ゲーミングポートと呼ばれるレガシーな接続を使用していたりしました。そんな筆者も当時はサイドワインダーでセガの『パンツァードラグーン』PC版をプレイしたりしていたのですが……これ以上続けると、コントローラーのエピソードだけで原稿が終わってしまうので展示の話に戻りましょう。
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今回の展示作品は同サークルのBoothでも販売されているのですが、ブースは盛況な上に、手作りなのもあってかサターンコントローラーは欠品状態とのことでした。会場展示だけ少し数が残っているとのことで、筆者もSteam Deckで使うためにサターンコントローラーの基板を購入。しかしながら上記の経緯もあり、この手のコンバートキットは遅延がどうしても気になるところ。そこで開発者に確認してみると「遅延はゼロです」との回答を得られました。同行していた20代学生にも展示の操作感を確認してもらいましたが、やはり遅延を感じることはなかったとのことで、年齢的な感覚のズレもなさそうです。
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しかしながら、展示での一番のメインはセガサターン用マルチコントローラーのコンバーター。こちらは根本の拡張ユニットを差し替えるだけの簡単な仕様になっています。元々拡張ユニットになっていたこともあって何かしらを予定されていたのですが、時の流れの中で忘れられた規格に……そう、『ナイツ』専用コントローラーではありません。
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こちらはアナログ/デジタルの切り替えボタンも対応している他、マルコンは現在主流のスティックの仕様ではないためドリフト現象も起きません。現状のコントローラー仕様を考えるとパッドのフルコントロールを要求するようなゲームでは厳しいかもしれませんが、格闘ゲームやシンプルな2Dアクションなどでのセガコントローラーの相性は格別です。筆者のようにセガサターンを眠らせているユーザーは在庫があれば試してみるのはいかがでしょうか?
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