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【特集】シナリオライターが遊ぶ『Mass Effect』―シェパード少佐の伝説はここから始まる。銀河を股に掛けた壮大なRPG

ゲーム史に名を残すスペースオペラ

連載・特集 特集

ビデオゲームに秀逸なシナリオが盛り込まれ、それを読み解くことも遊びの一部として受け止められるようになった現代……本連載記事では、古今東西のビデオゲームを紐解き、優れたゲームシナリオとは何かを考えていきます。第12回は『Mass Effect』を取り上げます。

※本記事には『Mass Effect』のネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

秀逸なCRPGを作り続けてきたカナダのデベロッパー・BioWareによる三部作のSF RPG。それが『Mass Effect』シリーズです。本作は軍人・シェパードとなり、異星人たちと助け合いながら、銀河を揺るがす凶悪を倒す……というコテコテのスペースオペラであり、多くのファンやフォロワーを生み出しました。

筆者はそんな『Mass Effect』の三部作が一本になった『Mass Effect Legendary Edition』シリーズから、一作目となる『Mass Effect』をプレイしました。伝説が始まる予感をひしひしと感じさせる立ち上がりとともに、一本で充分に完結しているスペクタクルがある作品であり、決して色あせない魅力に包まれていました。本稿ではそんな『Mass Effect』をシナリオ面から見ていきます。

2183年、超光速航行技術(FTL)の実現によって宇宙に進出した人類は、太陽系文明の中心地である「シタデル」において、確固たる地位を確立すべく政治闘争に明け暮れていました。宇宙連合軍のシェパード少佐は、ただの回収任務だというのに船内が物々しい雰囲気であることを察知します。そして少佐は惑星エデン・プライムにてビーコンを回収後、奇妙なビジョンを視ることになります。

その後、連合軍の特別階級であったサレンという人物がシタデル評議会を裏切り、伝説の機械生命体リーパーを蘇らせようとしていることが判明。シェパード少佐はノルマンディー号に乗り込み、銀河の果てまでサレンを追い詰める任務を負います。

多少クエストが前後することはあれど、基本的には一本道のRPGであり、シェパード少佐たちはサレンの野望を止めるためにずんずん進んでいきます。ゲーム部分はシンプルなTPSなので流石に多くを語るものではありませんが、世界観を補強するためのロアはとても豊富で、尚且つ有機的にストーリーやキャラクター描写に絡んでいます。

銀河にぽつんと浮かぶ楽園のような宇宙ステーション、シタデル。アサリ族が彼の地を発見する以前から、謎の昆虫種族「キーパー」がシタデルを管理していました。彼らが何のためにシタデルを管理しているのかは皆目わかりませんが、無害であることは確かなようです……健気で可愛いですね。

そんな具合に、あらゆる種族にロアが付き、彼らの大まかな特色や、育ってきた星の環境、文化や宗教がわかります。それらは現実の史実にいた人々を参考にしつつも、架空の宇宙空間でしか有り得ないような飛躍も混じっており、読んでいるだけで愉快な気分になれます。上記のキーパーのように、まさかの展開に繋がったりもするので、なるべく読み洩らさないようにしたほうがいいでしょう。

シェパード少佐は銀河の命運を握り、幾度となく選択を迫られますが、その多くは次作以降の『Mass Effect』シリーズに反映されていきます。偏ったメディアからのインタビューにおざなりに答えたかと思えば、愛すべきクルーの生死を決めなければならなくなったりと、やはりリーダーというのは忙しい!

このゲームのロールプレイ要素の根幹には、モラルというシステムがあります。穏健な言動をすればパラゴンが、攻撃的な言動をすればレネゲイトという数値が上がりますが、この数値は天秤になっているわけではなく、それぞれに値がスタックしていきます。

ゲーム全体を通して善人面をしたり、ヒールとして振る舞ったりする必要はなく、その都度相手によって態度を変えることも可能なので、そのあたりの柔軟さはむしろ人間味があって面白いなと感じました。

美しき銀河を旅し、異星人と交流や衝突を繰り返し、英雄として帰還する……およそスペースオペラに求められるものがすべて詰まった一作だったように感じます。

綺麗に終わったにも関わらず、初代のエンディングの直後、流れるように『Mass Effect 2』を起動するほどの魔力がありました。早速続きを遊んでおります……今度はいったいどんな苦難が待ち受けているのか!? では、また全クリ後にお会いしましょう!


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《各務都心》

各務都心

マーダーミステリー『探偵シド・アップダイク』シリーズを制作しているシナリオライター。思い出の一本は『風のクロノア door to phantomile』。

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