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『ロックマン』から連なる、本家にも負けず劣らずの歴史と人気を誇る2Dアクションゲーム『ロックマンX(X)』シリーズ。本家には“サッカー”や“レース”といった“ジャンル違いの外伝作品”がいくつか存在しますが、『X』シリーズにもRPGである『ロックマンX コマンドミッション(コマンドミッション)』がPS2とゲームキューブ向けにリリースされています。
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こういった作品は、“本編の要素を別のジャンルでいかに再現するか”という点が課題になりがちです。しかし、今回紹介する『コマンドミッション』は『X』らしさを引き継ぎつつ、他のRPGシリーズと比べても遜色ないクオリティを誇るタイトルでもあります。
闘え!エックス―シリーズ唯一のRPGにしてクオリティの高い異色作
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本作は、『X』シリーズの21XX年から時を経た22XX年、イレギュラーハンターである主人公エックスが、レプリロイドの性能を高められる“フォースメタル”採掘のための人工島「ギガンティス」で起きた武装集団「リベリオン」による反乱の制圧に向かうところから始まります。
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ゲームは3Dのマップ探索を基礎にしたランダムエンカウント方式を採用しており、敵との戦闘ではスピード(素早さ)とコマンド内容で行動順が変化する、流動性のあるバトルが展開。
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コマンドに関しては通常攻撃、ガード、アイテムに加え、毎ターン溜まる「武器エネルギー(WE)」という特殊なゲージを消費し、追加攻撃からバフ・デバフなど様々な効果を持つ「サブウェポン」をターン経過無しで使ったり、ゲージを全て消費して「アクショントリガー」なる必殺技を発動したりできます。
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他にも使用ターン・回数が限られた強化形態「ハイパーモード」、敵のライフが一定以下になると繰り出せるトドメの総攻撃「ファイナルストライク」といったシステムが実装されているのも特徴です。
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こうして羅列すると複雑そうに見えますが、実際の戦闘進行はいたってシンプル。基本的に通常攻撃やガードでターンを回し、WEゲージがいっぱいになったらアクショントリガーを発動して一気にダメージを稼ぐ…というのがセオリーです。ボスや雑魚敵にはギミックが搭載されているものが多く、いかに事前の準備などで対策し、上記の立ち回りを確保するのかが肝となってきます。
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また、本作では武器と防具を兼ねる「メインウェポン」、多種多様な効果で戦術の幅を広げる「サブウェポン」に加え、「フォースメタル」を装備可能。
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この「フォースメタル」はアクセサリー的な役割を持ちますが、強力なものほど「浸食値」なるパラメーターが大きく設定されており、この値がキャラクターの「抵抗値」を上回るとペナルティが発生してしまうのです。キャラクター毎に装備スロット数と抵抗値が異なるのもあり、性能面での個性が際立ちやすく、奥深いパーティ構築を楽しめます。
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『X』らしさに着目すると、説明書に記載されている主要なボスが8体だったり、体力の主な回復方法がサブタンクだったりするだけでなく、お馴染みの仲間キャラクター「ゼロ」がハイパーモードで「ブラックゼロ」になったり、「アクセル」が「アクショントリガー」で今まで倒したボスに変身・攻撃したりと、本編の要素が各所で拾われています。
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ストーリーについては、15~20時間もあればクリアできるRPGとしてはお手軽なボリュームです。 “フォースメタル”を始めとするオリジナル設定が登場しますが、年代と舞台が切り離されているのもあって、目につくような『X』本編と矛盾したり干渉したりする部分は無く、本作オリジナルキャラクターは、特に初期のパーティメンバー「スパイダー」や「マッシモ」は、「ゼロ」や「アクセル」に負けないくらい印象深い活躍を見せます。
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クリアとは関係ないやり込み要素も充実しており、ラスボスと同等か、下手したらそれ以上の隠しボスや、条件を満たして達成するアチーブメント的な機能も実装。
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様々な要素を通し、キャラクターCGを眺められる「フィギュア」や「デザイン画」などを収集することもできるため、“コンプリート”まで含めるとそれなりの時間を要します。
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あえて欠点を挙げるとするなら、エンカウント率が高すぎる、戦闘中の演出が長い、ストーリー後半における本作オリジナルのパーティメンバーの活躍が少なすぎる…といった部分が気になりましたが、最初の2つに関してはまだ調整のハードルが低そうなので、ぜひ現行機種で遊べる復刻版を出して改善して欲しいところです。
また、同じカプコンで見るとハンティングアクションの『モンスターハンター』から派生したRPG『モンスターハンターストーリーズ』も評価が高く、初代が現行機種に移植され、続編もリリースされていることを考えると、本作にもスポットライトが当たってもいいのでは…とも思います。
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これにて『ロックマンX コマンドミッション』の紹介は以上となります。これまで『ウルトラマンネクサス』『クロックタワー3』と、2024年という時期や同年に起きた出来事と縁のあるタイトルを紹介してきました。
出来ればもっと作品を紹介したい…気持ちはあるのですが、録画中にトラブルが発生。筆者のPS2は薄型のSCPH-70000モデルなのですが、フレキシブルケーブルがゲームディスクを傷つけてしまう不具合が起き、『クロックタワー3』のディスクを傷物にしてしまいました。
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執筆時点で再発防止のため、急ごしらえの針金細工でケーブルを固定していますが、古い機器にはこうしたトラブルはつきものなので、なおさら“名作を出来るだけ現行機種でも遊べるようにして欲しい!”という気持ちも強くなった次第です。
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これからPS2実機で名作をプレイしよう!と思った方がいれば、ディスクの管理はもちろん、本体のメンテナンスもしつつ、遊ぶことをオススメします。