Meridiem GamesとAstrolabe Gamesは、Space Colony Studiosが開発を手がける新作ビジュアルノベル『機動戦艦ガンドッグ 太陽系物語』をPC(Steam)/PS5/PS4/ニンテンドースイッチ向けに2025年2月20日リリースしました。
本作は、人類が宇宙に進出した未来を舞台にした作品。先の戦争で仲間を失った末に木星軌道パトロール艦「ガンドッグ」に赴任した主人公が、銀河の果てを目指す任務へと参加する中で体験する物語が描かれます。艦内では複雑な人間関係があるだけでなく、予測もできないような“未知の脅威”も待ち受けています。
2023年に発表された『機動戦艦ガンドッグ 太陽系物語』は「黄金世代への敬意」を掲げ、レトロ風のグラフィックやUI、ゲームシステムなど、多くの点でどこか懐かしさを感じさせます。また、画面表示でモノクロ風やカラー画面への変更も可能など、さまざまなオプション設定も用意されています。
本稿では、同社の「太陽系物語」シリーズ第1作目となる『機動戦艦ガンドッグ 太陽系物語』の魅力を紹介していきます!なお、記事内はネタバレ要素を極力避けていますが、スクリーンショットなどの閲覧にはご注意ください。
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不思議な“懐かしさ”抜群の新作ゲーム!
本作の物語は、主人公が過去に所属していた軍事チームでの、戦争の体験を振り返るプロローグからスタート。ここで主人公の名前と性別を入力した後は、新兵として戦闘兵器「アーマードフレーム」で出撃するという任務の、最悪とも言える顛末を見届ける形になります。
本編のストーリーは戦争終結から約5年後、主人公が木星軌道パトロール艦「ガンドッグ」へと赴任した初日から始まります。はじめはチュートリアルとして、画面右側の「調べる」「使う」「移動する」といったコマンドの使い方を学んでいきます。「調べる」「使う」などは、画面上のオブジェクトを指定する必要があります。
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その後は、艦長に謁見するために艦内を移動中、任務で長い間離れ離れになっていた恋人のカサンドラ・クイン(キャシー)と再会。彼女に案内される形でガンドック艦内の各エリアを巡り、さまざまなキャラクターとの出会いを経て、艦長からガンドックの正式クルーとして任命されます。
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ゲーム内オプションでは「スタジオオリジナル」「ショウワオマージュ」「ビビッドモード」の3種類が選択可能。「スタジオオリジナル」はシンプル描写のキャラクターになり、「ショウワオマージュ」ではやや時代の進歩を感じる絵柄に、「ビビッドモード」ではその絵柄に色が付く違いがあります。
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レトロ風の絵柄はもちろん、過去の回想や思いもしなかった恋人との再会、クセの強いガンドッククルーなど「なんか懐かしい!」となる世界観は魅力抜群です。
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丁寧に展開していくストーリー
ゲーム内で主人公は警備士官としての役割を果たすため、ガンドック艦内で起こる多くの事件に巻き込まれることになります。ゲームの流れとしては目的を達成するために、艦内を移動して調べたり、キャラクターと会話したりしながら、必要な情報を集めていきます。
ストーリーに詰まった場合でも、メニュー画面の「目標」タブからやるべきことは確認できますし、「移動」タブからは艦内の各所に移動できるので、大筋の物語としては迷うことはないと思います。移動に関しては、実際に各部屋を移動していくのも“それっぽさ”を感じられてオススメです。
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また、ストーリー中に発見したことで劇中の台詞などが変化するのも嬉しい部分です。しっかりとプレイヤーの行動がフィードバックされていくので、事件に対峙する際には、どんなわずかな手掛かりや謎を見つけていこう!という気持ちにさせてくれます。
イベント進行でほとんどの場所が変わるなど、とにかくテキスト量が多いので、各場面で取れる行動を“総当たり”してみたくなります。親切なヒントや便利機能などを含め、ただ懐かしい雰囲気なだけでなく、遊びやすさもしっかりと備えている印象です。
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セーブスロットが非常に多いので、会話の選択肢や展開ごとにセーブデータを作れるのも評価したいポイント。もちろん既読スキップやテキスト速度といった設定もあるので、自分のペースで読み進めることもできますよ!
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「太陽系物語」シリーズの今後にも期待!
同社が作り出す「太陽系物語」シリーズの始まりの物語を描き出している『機動戦艦ガンドッグ 太陽系物語』。主人公やキャシーをはじめとしたキャラクターやパトロール艦ガンドック、アーマードフレームなどのデザインや設定はもちろんですが、お約束たっぷりのSF感が楽しめる展開も印象的です。
描写の変わるグラフィックの切り替え機能などを含め、懐かしい雰囲気へのこだわりは特筆すべき部分。その上でただ古そうなだけでなく、しっかりと物語を楽しめるシステムなども搭載しているので「令和の最新懐かしビジュアルノベル」と言うべき、今後に期待したいシリーズが登場したと思います。
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ただし、現時点では、いくつかゲームの進行が止まる不具合なども報告されています。リリースから複数の修正パッチをリリースして対応しているのですが、まだプレイ中に突然動作がおかしくなることや、一部のシーンのローカライズでやや違和感が発生するなど、いくつかの気になる点があります。リリース時の投稿でも、エラー表示への対処方法も紹介しています。
レトロ感満載のゲームには満足なのですが、個人的にひとつだけゲーム内に欲しかった要素があります。探索画面中には「その部屋にいるキャラクターのバストアップ」を表示してほしかったのです!!だって、何度も女の子を調べてテキストの変化を楽しみたいじゃないですか……!!!!
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『機動戦艦ガンドッグ 太陽系物語』は、グラフィックや世界観、演出やゲームシステムなどを含め、さまざまな点で“レトロ風SFビジュアルノベル”というジャンルを見事に作り出しています。それぞれのキャラクターも挨拶の時点である程度性格がわかりますし、ストーリーの中で見えてくる変化や心情もちゃんと描かれています。物語の変化もしっかりと楽しんでほしい部分です。
もちろん全く知らないストーリーなのですが、遊んでいて「そうだよね、こういう展開だよね!」となるシーンも多く、とても良い意味でお約束を堪能できます。公式映像やスクリーンショットを見て気になった人ならば、きっと満足できる内容を楽しめる作品ではないかと思います!
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