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Steamで基本プレイ無料の早期アクセスが開始されているTeam Jade開発『Delta Force(デルタフォース)』に、2月21日からキャンペーンモードの“ブラックホークダウン”が配信されました。
このモードでは、1993年10月3日にソマリアでアメリカ軍とソマリアの民兵による15時間にわたる激しい戦闘が繰り広げられ、そのきっかけとなった2機のブラックホークが撃墜され、アメリカ兵18名が死亡、73名が負傷するという結末を迎えた“モガディシュの戦闘”を描いた2001年の映画『ブラックホークダウン』を追体験できます。
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本作のブラックホークダウンはもともと2004年にPC/PS2/Xboxでリリースされた『Delta Force: Black Hawk Down』をリブートしたものですが、難易度が鬼ムズのゲームモードです。理不尽とも言えます。現代のゲームとしてはクソゲーに片足以上が踏み込んでいますが、戦争はクソゲーと教えてくれる非常に正しく素晴らしいゲームデザインであるとわかります。
本稿では実際にプレイしたレビューをお届けいたしますが、お読みいただく前に皆さんにお伝えしなくてはいけないことがあります。筆者は1面すらクリアできていません。都合の合うフレンドがおらず、マッチングしてもソロ部屋ばかりに放り込まれてまともにプレイできず、一人で挑み続けては敗れ続けたからです。
難易度が……難易度が高いんだ……
ただ筆者は先行プレイイベントに招待していただき、そこでは1面、3面、7面をプレイしているので一応は全体の流れは分かります。その点はご了承ください。
モガディシュの戦闘が起きるまで
まず本作の“ブラックホークダウン”を語る前に、“現実のブラックホークダウン”を解説します。
1991年、ソマリア政府が崩壊し、部族間の戦争と深刻な飢餓が発生しました。1992年、アメリカと国連が食料配給の人道支援を開始。1993年にソマリア政府の再建と民主化を目指す活動を開始します。
この時期、ソマリアのモハメド・ファラ・アイディード将軍が国連の介入に強く反対し、93年6月5日に将軍派がパキスタン国連兵士24名を殺害、8月8日にはアメリカ軍警察官4名も犠牲になります。
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10月3日、報復としてアメリカ軍はレンジャーとデルタフォースによるアイディード将軍の2人の副官を捕獲する作戦をモガディシュで開始。
想定では比較的簡単な捕獲作戦のはずが、ソマリア民兵がRPGで米軍のブラックホークを撃墜したことで、捕獲作戦が救助作戦に一変してしまいます。結果として15時間に及ぶ激しい戦闘が繰り広げられ、18人のアメリカ兵が死亡し、73人が負傷。ソマリア側では数百から数千人の死傷者が出たと推定されています。
戦闘後の映像で、アメリカ兵の遺体がソマリアの街を引きずられるというシーンが国際的に放送され、アメリカ世論に衝撃を与え、当時のクリントン政権が1994年3月までにアメリカ軍を撤退させました。これ以後、アメリカの対外介入政策に慎重な姿勢をみせるようになるというのがあらましです。
原作映画とゲームCGが入り乱れる豪華演出
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“ブラックホークダウン”モードは全7ステージで構成された一本道キャンペーンです。最大4人でプレイできる協力型PvEとなっており、フレンドを招待してロビーを作成するか、野良とクイックマッチをするか、ソロでプレイするかを選べます。
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各ステージ開始時にどのクラスを使用するか選択できます。クラスは4つあり、各クラスごとに装備のプリセットが用意されています。銃のカスタマイズといったことはできません。『デルタフォース』のマルチプレイヤーにいるオペレーターのような特殊なスキルなどはなく、あくまでも架空のアメリカ兵としてこの地獄を戦い抜くことになります。
各ステージにはクリアタイムや評価制度があり、グループとソロそれぞれの世界最速タイムが表示されるタイムアタック要素もあります。
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ゲームが始まるとなんと映画版『ブラックホークダウン』の映像がそのまま使われるという非常に贅沢な演出が始まります。そして映画を再現したCGムービーに切り替わり、捕獲作戦を実行するためにビルを占拠するためにブラックホークから降りたところからスタートします。
理不尽を追求して生まれる“ブラックホークダウンらしさ”
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キャンペーンモードではプレイヤーのHPバーは表示されず、シルエットの色で大まかな体力を推測します。また、戦闘中にダメージを受けると足を負傷して移動速度が著しく低下するといったペナルティもあります。フレンドリーファイアもあるので誤射にはくれぐれも気をつけなくてはなりません。
レビュー中はソロだったから撃つ味方もいませんでしたがね!
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記事冒頭でもお伝えしましたが、本作の難易度は著しく高いです。まず敵の数が多い。そりゃ推測数百から数千人の死傷者が出るわけです。先行プレイ中、弾薬が尽き始めたのでそろそろ補給ポイントかなと思いきやなかなか弾が見つからず、プライマリ武器が使用できなくなりセカンダリ武器のピストル一つで戦う羽目に。そして気がつくのです。
このゲームに補給はない!!!
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一度弾を撃ち尽くしたらあとは敵に見つからないことを祈るしかありません。といってもこのゲームのAIは割と雑で、壁越しにウォールハックしてきたり、全て倒し終わったと思った背後から湧いてきたりと、その後に待っているのは死です。
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そして弾薬以上に悩ましいのが回復手段です。当然ながら回復薬も補給できません。一応、医療兵クラスは他クラスより持ち込める回復薬が多く、他プレイヤーに手渡すことも可能ですが、心もとないことにはかわりありません。
戦闘をするうえで欠かせない弾薬と回復薬が補給できないことが、このゲームの難易度を果てしなく高めています。
一方で蘇生は無限にできます。先行プレイ中の筆者チームは回復薬が底を尽きながらも無限蘇生によってなんとか生き残ります。ソマリアで勃発するゾンビvs数の暴力。
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そんなゾンビも全員倒されてしまったらステージのスタート地点からやり直しです。チェックポイントなんてものはありません。全滅したら1からという無慈悲な仕様が追い討ちをかけてくるのです。今どきのゲームとしてはクソゲーと言われてもおかしくない仕様です。
でもこの難易度だからこそいいのです。これほどの難易度をクリアしたときは脳汁がドバッと出ます。前回よりも進めただけで脳汁じゅわぁです。
また、理不尽と言っても過言ではない難易度ですが、敵の配置などは毎回固定されているので、実はソウルライクな覚えゲーという側面もあります。そもそも2004年のゲームをリブートしたので、根本的な部分はあえて2000年代のゲームらしさを残していると、ゲームディレクターのShadow Guo氏も答えています。
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なにより、このゲームは本当に起きた悲惨な史実を追体験するゲームモードです。ゲームで死んでもやり直せますが、実際には18名の兵士が命を落としています。Guo氏も“ブラックホークダウン”は簡単なゲームであってはならないと考えており、この難易度も納得です。それこそが“ブラックホークダウン”らしさとも言えるのです。つまり現実の戦争はクソゲーなんです。
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4人プレイ推奨なのにマッチングがしづらいのは致命的
最後にゲームレビューとして見ると看過できない要素が2点あります。一つは最適化不足な点です。なぜなら『デルタフォース』本体と『ブラックホークダウン』は別クライアントなので、『ブラックホークダウン』起動中は裏で『デルタフォース』も起動している2ゲーム同時起動状態になり、負荷がとても高いからです。
そしてマッチメイキングがうまくいっておらず、いくら待っても4人埋まらなかったり、マッチが始まったと思ったらエラーが出たりといった不具合も報告されています。筆者もこれに苦しめられてソロで挑む羽目になりました。
“ブラックホークダウン”を追体験するゲームモードとしては、素晴らしい緊張感と難易度の高さを実現しています。あとはもっと気軽にマッチメイキングができれば遊びやすいのですが、この点を改良してもらえれば9点をつけていました。非常に惜しい。
Game*Spark レビュー『Delta Force(デルタフォース)』ブラックホークダウンモードPC(Steam/Epic Games Store)2025年2月21日リリース
あとはもっと気軽にマッチメイキングができれば……
GOOD
- 決して優しくない鬼畜難易度が雰囲気バツグン
- 良い意味で現代のゲームらしくない
- これが無料?!
BAD
- マッチメイキング
- 最適化不足