E3 2013: 「殺し」ではなく「盗み」−新生リブート『Thief』ライブデモプレビュー&開発者インタビュー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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E3 2013: 「殺し」ではなく「盗み」−新生リブート『Thief』ライブデモプレビュー&開発者インタビュー

次世代コンソールおよびPC向けに発売が2014年に定まった、同名の古典的ファーストパーソンステルスゲームのリブート作『 Thief 』。E3 2013のスクウェア・エニックスブースにあるクローズドシアターで本作のゲームプレイライブデモを体験し、開発者インタビューでも話を

PC Windows

『Thief 4』として最初にアナウンスされたのが2009年、長い沈黙を経て、今年3月にGame Informerマガジンのカバー特集でついにその姿をあらわし、次世代コンソールおよびPC向けに発売が2014年に定まった、同名の古典的ファーストパーソンステルスゲームのリブート作『Thief』。E3 2013のスクウェア・エニックスブースにあるクローズドシアターで本作のゲームプレイライブデモを体験し、開発者インタビューでも話を聞くことができました。

『Thief』の開発を担当するのは、同じくクラシックフランチャイズのリブート『Deus Ex Human Revolution』ですでに実績を残しているEidosモントリオールスタジオ。新たな『Thief』は、オリジナルシリーズの前日譚や続編という位置付けではなく、フランチャイズのDNAを残しつつ、再改革を目指したものということです。


デモでは、Master Thief(練達の盗賊)である主人公ギャレットが、ノースクレスト屋敷に忍び込み、“ハート オブ ライオン”と呼ばれる貴重な財宝を盗み出す、ゲーム序盤のミッションを紹介。プレアルファ段階のPlayStation 4バージョンを使用とのことで、まだ粗い部分もあるようですが、次世代機の重厚なグラフィッククオリティーで描画される真夜中のエンバイロメントに圧倒されます。


ステルスゲームプレイシステムの要となるのは、「闇」、「音」、そして「フォーカス」の要素。敵から見つかるのを防ぐため、ギャレットは常に闇を有効に活用する必要があり、光と闇のバランスを表示するLight/Shadow Sphereと、画面の周囲が黒くなるエフェクトを確認しながら、慎重に移動。松明などの火は、シリーズの象徴的武器であるウォーターアローで消すことができます。

敵に察知されないためには、足音を聞かれないようにするのも重要。ギャレットが歩く地形によって足音が変化し、例えば水の上を歩くと大きな音を発してしまいます。


画面左下にあるフォーカスゲージは、ギャレットの能力を瞬発的に高める際に消費するもので、弓の命中精度を高めたり、闇から闇へと素早く移動したり、隠された罠を見つけたり、障害物を透過して敵を探したりと多彩な使い方が可能。しかし、ハードコアなステルスゲームファン向けに、これら特殊能力やUIをオプションで無効にすることもできるのだとか。

弓矢にはウォーターアロー以外にも、火を放つもの、ロープを発射して高い場所に移動できるもの、物音を立てて敵の注意を引くものなどが存在し、状況や環境に応じて使い分けます。ミッション中のオブジェクティブを成功させたり、敵から鍵やアイテムを盗んだり、鍵のかかった扉をピッキングすることでXPが入手。XPは様々なスキルの成長に関わってきます。


ギャレットの体力やフォーカスは自動回復しない仕様。体力はステージ中で見つかる食料で、フォーカスはポピーという植物を拾って回復。開発者いわく、各ミッションは正面突破的な攻略も可能とのことですが、屈強な戦士ではなく盗賊であるギャレットは近接戦闘が余り得意でなく、どのような形であれ「暗闇」を利用した攻略が基本となるようです。

今回のデモでは、ギャレットが目的の財宝を盗みだすのに成功すると、暴動イベントが発生して辺りに火の手があがり、ここから脱出劇が展開。アイテムを盗んで終わりでなく、逃走する必要があるのは、『Thief』らしいゲームプレイだといえます。


フランチャイズとして受け継がれる徹底した暗闇のステルス要素に、現代的な要素が付加されたことで、旧『Thief』シリーズファンと、最近のステルスゲームをプレイしてきた新規ファンに、どう受け入れられるかが気になるところ。その辺りも含めて、プロデューサーのStephane Roy氏に、リブート『Thief』についてインタビューを行いました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆


――それでは、まず最初に簡単に自己紹介をお願いします。

Stephane Roy氏: 私はStephane Roy、このアメイジングなゲームのプロデューサーです。今回『Thief』のフランチャイズに関わるのは始めてですが、ステルスゲームの開発経験は始めてではなく、過去に『Splinter Cell』シリーズを手がけました。

――最近は、『Assassin's Creed』や『Dishonored』、あるいは『Hitman Absolution』 など色々なステルスゲームがありますが、そういう中で『Thief』というフランチャイズは、まだ日本で知らないユーザーもいると思いますので、他の作品とどう違うのか、またどのような特徴があるかを教えてください。

Stephane Roy氏: 『Dishonored』も『Assassin's Creed』も“Kill(殺し)”がすべてです。一方『Thief』は、タイトル名が物語っているように、“盗み”がメインの目的、コアになっています。それが他のタイトルとまったく違う部分です。

――『Thief』はシリーズ4作目として最初に発表されてから、かなり時間が経過しています。これまでどのように開発に取り組んできたかを教えてください。

Stephane Roy氏: 一番最初にゲームを発表してから、ユーザーにどのような体験をさせたいかをメインに考えてきたのですが、『Thief』という名前をパッケージに載せるのはやはり大きな意味があることで、シリーズのコアになっている部分を尊重しなければならないと考え、ファンに長年愛されていた部分を深く理解することに時間を使いました。前作が発売されたのは10年前で、現在は求められているものやプレイされているゲームが異なるので、昔の『Thief』のゲームプレイをリスペクトしつつ、現代風に作り変えるというバランスを強く意識して取り組んできました。開発の中で方向性も定まり、皆さんにご覧いただけるレベルまで作りこみも出来たので、このように発表しました。また、今回の発表に対し、皆さんからどういうフィードバックをいただけるか楽しみにしています。


――プラットフォームに次世代機を選んだ理由を教えてください。

Stephane Roy氏: 先ほどの質問の答えとも重なりますが、『Thief』というものを表現したい、こういうことをやりたいというのをホワイトボードに書いて、次に何が来るかというのを見ていた中で、時代の流れで次世代機が来たのです。前作の発売から大きな技術的な進化があり、ユーザーの皆さんにグラフィックス的な面でも没入感を与えられますから。ヘッドフォンをしてゲーム画面を見ている時に、他のことを一切忘れられるような作品になるよう挑戦しています。

――ゲームプレイに関して、“物を盗む”のがテーマということですが、例えばどのような物が盗めるのか、例を教えてください。

Stephane Roy氏: 盗めるのは基本的にはお宝ですが、大きく分けて2種類があります。ひとつは、お金に換金して、ギャレットの武器や弓矢をアップグレードすることができるお宝です。もうひとつは特別なお宝で、各ミッションの終了後にコレクションとして残されるものです。たとえばソーダの缶がステージ中に5つ存在するとして、コレクションに4つしかなければ、1つを見逃してしまったことが分かります。それがリプレイ性にも繋がっており、“Master Thief”を目指すなら全部のお宝を集めたくなるでしょう。

――それでは最後の質問で、過去の『Thief』シリーズから受け継がれた要素やシステムは他にもあるでしょうか?

Stephane Roy氏: 3つ例をあげると、まず過去のシリーズから受け継いでいるのはBlackjackという、敵を気絶させる小さな棍棒です。次に弓矢。これは今や多くのビデオゲームに出てきますが、もとより『Thief』シリーズの象徴的な武器です。もうひとつは、『Thief』のアートワークを見ても分かるように、ギャレットの目が青くなっている、機械的な“目”の存在。過去の作品とまったく同じものではないですが、ストーリーに関わってきます。

――ありがとうございました。

《Rio Tani》
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