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『Halo 5: Guardians』は2015年秋に発売が予定されているファーストパーソン・シューティングゲーム『Halo』シリーズの最新作です。『Halo: Combat Evolved Anniversary』から開発を手掛ける343 Industriesの4作目、ナンバリングタイトルとしては2作目となります。
本稿では2014年12月29日から2015年1月18日にかけて行われたマルチプレイヤーベータのインプレッションをお届けします。
■原点回帰したe-Sportsライクなゲーム性
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『Halo 5: Guardians』では、ロードアウトシステムの撤廃、味方スパルタンの自動コールアウト(敵の位置や武器の取得情報を教えてくれる)、武器のリスポーン時間の表示など、e-Sportsを意識したゲーム性が随所に見られます。
その中でも特に注目したいのが、エイムの補正が極端に低いことです。『Halo: Reach』以降、エイムの補正が高まり、初心者ユーザーに優しいゲームへと舵を切っていた『Halo』シリーズ。しかし、その代償としてMLG(Major League Gaming)の種目タイトルから外されるなど、競技性が失われる結果となりました。『Halo』シリーズといえば家庭用ゲーム機にFPSというジャンルが展開されるきっかけを作ったタイトルとしても有名で、高額な賞金をかけた大会も作品ごとに開催されてきました。ゲームシステムが一新されたといえ、競技性にフォーカスしたFPSとしてリリースするというのは原点回帰とも言える調整です。
■優秀なスキルマッチングシステム
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「アイアン」「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」「オニキス」「セミプロ」「プロ」と自分の実力に合わせたスキルレートが最初の10マッチ終了時に表示されます。それ以降は勝利すればレートが上がり、敗北すれば下がる、といったシステムになっています。マッチの精度は非常に優秀で、オンライン対戦では近い実力のプレイヤーと、もしくはバランスのとれたチーム同士がマッチするので、1人でプレイしていてもスコアが50対49の手に汗握る試合が何度も体験できました。
『Halo』シリーズは難易度の高いゲームだからこそ、優秀なスキルマッチングシステムが必要不可欠です。『Halo 3』からプラットフォームがXbox 360に移行し、高スキルアカウントの売買がマイクロソフトポイントで行われていた問題がありましたが、現状の『Halo 5: Guardians』では全てのルールにスキルマッチングが適用されており、実力が伴わなければスキルレートの下降が顕著なので問題はないと考えられます。
■多彩でクールなアビリティを解説
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落下攻撃(Ground Pound)
高所から敵を叩き付ける『Halo』シリーズの立体的な戦闘にうまくマッチしたアビリティです。直撃させることで敵を一撃で吹き飛ばす逆転性の高いアビリティですが、使用後の硬直時間が長いため、使いどころを間違えるとピンチに陥るもろ刃の剣でもあります。
スパルタン チャージ
ダッシュが最高速度に到達したときに近接攻撃を行うとタックルに変化します。追尾補正がほとんどなく、直撃させるのは至難の業。ヒットするとノックバック効果がありますが、威力は近接攻撃と同じなので、積極的に狙いに行く利点はほとんどありません。ダッシュの使用制限がなくなったため、「敵を弱らせてからダッシュで殴りに行く」といったイージーな戦法を簡単に取らせたくなかったのでしょう。
オート スタビライズ
空中で照準射撃(Smart Scope)を行うと、数秒間、浮遊できるアビリティです。空中で無防備になるリスクはありますが、敵の位置さえわかっていれば一方的に攻撃することが可能です。この機能はコントローラー設定で自動化を解除できるので、お好みで使用するといいでしょう。
よじ登り(Clamber)
本作から段差をよじ登ることができるようになりました。スラスター パックやスプリントと組み合わせて、マップをスムーズに移動することができます。それにともなって、シリーズ伝統の「しゃがみジャンプ(ジャンプ中にしゃがむと足の曲がった分、高い場所に乗れる)」が落下攻撃のボタンと干渉するため、使用できなくなっています。
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スラスター パック
前後左右へ加速ができるアビリティです。敵への追撃やグレネードの緊急回避、ダッシュと組み合わせた高速移動など、応用性の高いアビリティとなっています。慣れてくると、背後から来た敵の頭上を乗り越えて暗殺、といったトリッキーな動きもできるようになります。
ダッシュ(Sprint)
前作『Halo 4』ではダッシュの使用時間に制限がありましたが、本作ではそれがなくなっています。バランス調整として、ダッシュ中はシールドの回復が行われず、足を止める必要が出てきました。シールドがなくなった際に、必ず味方の援護に頼る必要が出てきたので、より連携が重要になっています。
スライディング
姿勢を低く保ち、若干スピードの上がるスライディングが追加されました。ブレイクアウト(5ラウンド先取、1ラウンド1ライフのチーム戦)のような一挙一動が勝敗を分けるルールでは大いに役立つでしょう。
■ファン待望のスペクテーターモードが導入
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『Halo』シリーズ初のスペクテーターモードが導入されました。1人称、3人称、フリーカメラで敵味方全員の動きを30秒ほどのディレイで観戦することができます。完全なリアルタイムでの観戦はできませんが、巻き戻しや一時停止が可能なので、スペクテーターモードとシアターモードのハイブリッド機能と言っていいでしょう。プライベートマッチでどれほどのディレイで観戦できるのかが気になるところです。
■『Halo』はスポーツ系FPSとして次のステップへ
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『Halo』シリーズはダッシュもなければ特殊なアビリティもない、シンプルかつバランスのとれたFPSとして人気を博しました。それが『Halo: Reach』以降、大胆なゲームシステムの変更が行われ、アクティブユーザーは減少。Xboxの看板を担うタイトルとしては、成功と言い難い結果になりました。
ダッシュやアビリティ、レティクル、それに伴うゲームスピードの上昇、それは既存のファンにとって受け入れがたいものだったのでしょう。しかし、近年のFPSトレンドはまさに『Halo』が進化しようとしていた方向性そのものでした。『Halo 5: Guardians』ではストイックなゲーム性はそのままに、マンネリ化しつつあったゲームシステムを近年のFPSトレンドに合わせて進化させています。
『Halo 5: Guardians』は、今後の正式リリースに先駆けて、まさに完璧なタイミングで次のステップへのスタートを切ったと言っても過言ではないでしょう。