
Bethesda Game Studioが開発した『The Elder Scrolls V: Skyrim』の大型Modとして、2016年8月に英語版がリリースされた『Enderal』。『オブリビオン』の有名Mod『Nehrim』で知られるSure AIが、実に3年半もの期間を投じ、『スカイリム』のコア部分のみを残して全く別のRPG作品といっていいほどに作り直した新たなModです。ゲームプレイ時間は30~100時間、無料のModにもかかわらずフルボイス、完全オリジナルストーリーに独自のシステムまで備えた大ボリュームの内容。本記事ではその導入方法からゲーム序盤部分までのプレイレポをお届けします。
■まずは公式サイトからModファイルをダウンロード
『Enderal』をプレイするにあたり、必要なものは専用のランチャーとゲームデータです。公式サイトからダウンロード可能で、合計8GB超のサイズ。ミラー先によって差はありますが、筆者がダウンロードした際には3時間ほど要しました。インストールは基本的に専用のランチャーを使って行うことができ、ゲームデータを「Skyrim」のデータを含むフォルダのルートに置いて、「Install Enderal now」を押してスタート。これ以降、ゲームの起動もアップデートもすべてランチャー上で行えます。準備が整ったらいよいよゲームを開始しましょう。

なお、本作は英語・ドイツ語のみ対応です。ゲーム序盤から重要なストーリーが展開するため、英語が少しでも理解できるといっそう楽しめるはずです。
■ある夏の吉日…
!注意!ここよりゲーム序盤のストーリーネタバレを一部含みます。閲覧にご注意ください。
ゲーム開始直後、プレイヤーは、いかにもな丘の上にある家へと向かい、外で薪を割っている父親と会話をします。しかし、うまく話が噛み合っていません。主人公は記憶喪失なのでしょうか? 会話をしていると、母と姉(か妹)がいる模様。夕食が大きなエルクだというので見に行きますが、家の中には誰もいない…何故? と思っていたところに、父が口笛を吹きながらやってきます。再び父に疑問をぶつけてみると、「あぁ、忘れてた。もう死んだんだった。お前が殺したんじゃないか。忘れたか?」と突然衝撃的な展開に。
「お腹が空いたからエルクを捌いてくれ」と言われるも、会話の選択肢は全て「僕は殺してない、やったのはマスクの男だ!」というもののみ。さらに父は「忘れるな、お前が殺したんだ!」と、そのまま父はどんどん豹変していき、家の中で火柱を立たせながら、素手でエルクをむしり取って食べ、同じ言葉を連呼します。いきなりの狂気じみた展開に驚きを隠せませんでした。
そしてその瞬間――!


悪夢から覚めて起き上がると、横にはSiriusという男性。物腰の柔らかく、先ほどのシーンとはうってかわって落ち着いています…が、ここは船の底。会話で徐々に明らかになりますが、どうやら主人公とSiriusは盗賊をしており、船に忍び込んでいたよう。ここでお待ちかねのキャラクターメイキングです。
■絶妙な調整がなされたキャラメイクシステム
4種の種族から選び、性別、肌の色や目の色、顔のパーツの配置などを好みに変更していきます。同様のシステムは、0~255のようにかなり細かく設定できるものが流行ですが、「変更可能な箇所を多く、しかしパラメーターは少なめに」というのがコンセプトなようで、程よい絶妙な間隔で位置を変更することができ、延々とイケメンや美女、クリーチャーを作って遊んでしまうほどキャラクターメイキングを満喫している筆者としても大満足です。手軽にこだわったキャラメイクができるので、是非一通り試してみてください。


■完全にストーリーに組み込まれたチュートリアル
プレイヤーとSiriusは、船底に降りてきた船員から隠れるため、ランタンの炎を消して静かに待機します。が、そんな上手くいくわけもなく、漂っていた匂いのせいで船員は予想していない行動に出てしまい、主人公たちは見つかる前に船員を倒すことにします。倒した後は「船員を殺す」「船員を縛って着港したら逃げる」といった選択肢があったため、殺さずに縛って転がしておくことにしました。
しかし、突如現れた不思議な女性に阻まれ気絶。目が覚めると、Siriusは甲板で船長に命乞いをしている最中でした。残念ながら目の前でSiriusは殺されてしまいますが、主人公は目が覚めたことに(運良く)ようやく気が付かれ、「新しい人生」を共に送ることに。

再び意識が戻ると石に囲まれた場所に移動しており、「Meditation(瞑想)」を使うと、波打ち際で再び目を覚まします。ヒントには「記憶を解放して自身を強くする」と書いてあるので、瞑想して旅立った先の精神世界と考えるとしっくり来ますね。
次の目的地に辿り着くために山を登りますが、途中に骸骨と武器やアイテムがいくつか転がっているのでいただいていきましょう。これで筆者は右手につるはし、左手にナイフという重量的にアンバランスな二刀流になりました。登りがてら、滝に見える鮭もゲットしていくのもいいかもしれません。出現するPit Rat相手に戦闘の練習も可能。さらに少し進むと採掘が出来る場所や寺院などもあり、オープンワールドの醍醐味である収集も最序盤から楽しめます。なお、散策中にうっかり筆者は山の外に出たり、いくつかの場所でスタックしてしまったので、マップのバグには少し注意が必要かもしれません。

■瞑想で記憶をアンロック、そして強くなれ
瞑想システム自体はわかりにくそうに見えるものの、実は下から上へ向かって順番にアンロックをしていく単純なツリースタイル。Tempest(Warrior)、Focus(Mage)、Shadow of the Wind(Rogue)向けの3種類に分かれており、どのスタイルでいくかは悩むところ。ひとまずストーリーをなぞるようにRogueに1ポイント振ってみました。ハイブリッド構成もできるので、このあとどうやって解放していくか悩むのもかなり楽しくなってきます。

■成長システムで、じっくりとキャラクターを育てていこう
本作には、デフォルトではHキーを押すことで開けるヒーローページにて、習得したポイントや能力値を確認することができます。それぞれのパラメーターにカーソルをあてると、右部に各パラメータについての説明が出るため、わからない要素についても簡単に確認できます。レベルアップ時にポイントを取得でき、消費するにはそれぞれ対応した本などが必要になります。ただし、Memory Pointsに限っては、前述のMeditationから行ける場所で消費可能です。

■灯台下暗し。最初の謎解きは足元から
The Abandoned Templeに入ると、吊るされた骸骨と、地面に横たわった骸骨。そして顔の付いた何かの像があります。像はこのままでは動かないので何かを探す必要があります。実は骸骨の横に転がっているRune Keyがまさに鍵。少し見つけにくいかもしれませんが、これを拾って像にインタラクトするだけで下の足場が動いて階段に!

そのまま道なりに進んでいくと、美しいクリスタルがある部屋や、巨大な機械がある部屋に辿り着きます。その先の水車をバルブで持ち上げるギミックを越え、Mud Elementalという少しタフな敵と対決。意外に固いので引きつつ殴って少しずつダメージを与えて倒します。その先にある光の射し込む洞窟の出口の先は、タイトルでもあるEnderalの地。この後も様々な敵やギミックが登場し、ある種プレイヤーの機転が利くかどうかを試されているようなものもあります。



■Enderalは光のダイナミクスが美しい
本稿を書き始めるにあたり、『Enderal』は何を中心にして紹介すべきか非常に悩みました。実績のあるスタジオが開発した大作Modということ、美麗なグラフィック、情景に最適なBGM、先の読めない大ボリュームのストーリー、各所に散りばめられたギミックなど、紹介できる要素はいくつもあります。しかし、ゲームとしての完成度が高いのはもちろんですが、美しい景色に加え、山頂から顔を覗かせる日差し、陰鬱として足元すら見えない洞窟、その中で輝きを放つクリスタルなどは圧巻の一言。洞窟や屋内から外に出た時にため息が漏れるほど、光のダイナミクス表現に秀でたものがありました。


Sure AIを知っている方もそうでない方も、Skyrimでうっかり膝に矢を受けてしまった冒険者であれば、新しい大作オープンワールドRPGを試してみる気持ちで一度プレイしてみてはいかがでしょうか。