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Impulse Gear Founder/『Farpoint』Director Seth Luisi氏
――どのような経緯で『Farpoint』を開発するに至ったか、その経緯を教えてください。
Impulse Gear Founder/『Farpoint』Director Seth Luisi氏(以下、Seth氏): この会社を設立する前、私はソニー・インタラクティブエンターテインメント(以下、SIE)に在籍していました。同社では在籍時から、VRのプロトタイプを開発してきたのです。これら最初期のVRを体験してから、Project Morpheusなどを触ったときに、「僕らがやりたいのはコレだ!」と言って独立を決めたんです。
――『Farpoint』開発にはどのくらいかかったのでしょうか?
Seth氏: 15人で1年かけて開発しました。
――ここまで本格的なFPSを1年で開発とは驚きです。プレイ時間はどの程度でしょうか?
Seth氏: シングルプレイヤーモードは8~9時間程度、全8レベルです。これに加えマルチプレイヤーでは4つのCo-opレベルがあります。また、正規版発売後もDLCを準備しています。実際、今回、E3ではDLCの新ステージを披露しています。このDCLではあらたに2つのCo-opレベルを提供しています。
■専用ガンコントローラを導入することで殆どのVR酔いは解決!
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――VR FPSと言ってまず課題となるのはVR酔いの問題ですがこの点について『Farpoint』はどう解決を図りましたか?
Seth氏: まずは、プレイヤーの動きです。可能な限り心地よく出来るように努力しました。でも、結局はコントローラーの動きが問題になることが分かったんです。コントローラを自分の手に持ってプレイさせることで、照準を合わせる行為と自身の体の動きを完全に独立させることが可能となります。これでかなり酔いの問題は解決できました。もし、これらの行動をコントローラ上で一体化してしまい、一方で照準あわせつつ、他方で体を移動させるために操作すると必然的に酔ってしまうのです。FPS用の専門コントローラによる腕の動きと、VR HMDの頭の動き、これらそれぞれの動きが自然な動きとなり、それが統合化されることでより心地よい体験にとなるのです。
■歩行速度には相当の配慮を
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――歩行速度なども注意を払わないと酔いの要因となりますよね?
Seth氏: ですので、我々は実際に開発スタッフの走行速度、歩行速度ならびにその中間などか数多くの移動速度について調べました。それを全てマッピングし、一番自然な速度で調整したのです。あるシーンにおいてはさらに調整を重ねました。ですので、特定のエリア、とりわけ屋内では屋外より、移動速度を意図的に遅くしています。部屋が狭いと体感値的に実際より早く移動しているような錯覚に陥ってしまう傾向にあるからです。
――だいたい1プレイに応じて何時間程度プレイするのが適切だと感じましたか?
Seth氏: ひとにより違いますね。VRをずっとプレイしてきた人の場合、『Farpoint』だと何時でもプレイできます。VR初心者でも30分は普通にプレイ出来ますね。その後は若干、目を休める必要がでてきます。
■VRアバターへの感情移入には新たな可能性を!
――VRで物語を語るということは?
Seth氏: 我々は物語を語る役割が出来るキャラクターをホログラムという形で導入しました。プレイヤーが進む先々で、ホログラムの記録が読みだされるのですが、そこにユーザーがなぜその場所にいて、どこに行くのかを明確にしています。実際に体験してみると分かるのですが、あたかも現実社会のキャラクターを観察しているようです。この他に、従来のゲームでも用いられたカットシーンも加えています。ただ、VRアバターを入れることで、物語がかなりパーソナルなものになりました。キャラクターがプレイヤーを見つめていると、プレイヤーはこれらVRアバターの微妙な表情の変化にする気づくことが出来るのです。これらの存在は、単にアニメーションがつけられた3DCGキャラクターではなく、さらにリアルで且つその場にいるような錯覚に陥ります。非常に興味深いです。
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――なるほど。
Seth氏: これは、如何にVR空間で物語を語るかという点において重要です。つまり、物語の先導役としてのVRキャラクターの存在です。開発をする過程で、これらのVRアバターが、単なる先導役以上に、感情移入出来るということが分かりました。ですので、これらのアバターの動きが如何にプレイヤーに対し影響を与えるのか現在研究をしている最中です。『Farpoint』ではこういったVRアバターに関して興味深い試みをしているので楽しみにしてください。
――今回、『Farpoint』の開発を完了しましたが、これを踏まえて皆さんにとっての次のステップは如何なるものになるでしょうか?
Seth氏: 我々としては、シューティングゲーム用の専用コントローラを非常に気に入っています。ですので、この専用機材の機能を最大限に拡大できればと思います。また、VRゲーム空間における動きについてももうすこし研究する余地がありそうです。
――現在、スマホ用VRやハイエンドVRまでありますが、今後はどのような領域に一番の関心を持っていますか?
Seth氏: 我々はこれから、一般的な長編アクションゲームとほぼ同等のプレイ時間を有するVRゲームをつくりたいです。単なるVR体験ではなくゲームとして本格的なものです。この目標を実現するうえでPS VRは優れた実績を持っています。
――最後に、SethさんのVR Lifeを教えてください!どのようなVRゲームをプレイしてきたでしょうか?
Seth氏: ほぼ、すべてのVRゲームをこれまでチェックしてきました。その中でも『Star Trek Bridge Commander』は興味深いです。ブリッジに指示を出しながら他のプレイヤーとインタションをするというのが主な活動なのにも関わらずここまで臨場感ある体験になることに驚きました。また『Robo-Recall』なども楽しくプレイしました。非常に物理的なバイオレンスでありながらロボットという切り口とんすることでここまで興味深いアクションになることに驚きました。
――ありがとうございました!
※文中の誤字を訂正しました。コメントでのご指摘ありがとうございます。