ハードコアゲーマーのためのゲームメディアGame*Sparkでは、日々、様々なゲーム情報をご紹介しています。しかし、少し目線をずらしてみると、世の中にはゲーム以外にもご紹介したい作品が多数存在します。そこで本連載では、GameSparkスタッフが、ゲーマーにぜひオススメしたい映画/ドラマ/アニメ作品を1本紹介していきます。
今回ご紹介するのは、マット・リーヴス監督による2008年の映画「クローバーフィールド/HAKAISHA」(Cloverfield)です。
何から逃げてるのかもわからない極限
ヒットメーカー、J・J・エイブラムスが率いるBad Robotが製作した本作は、全編がハンディカメラで撮影されたモキュメンタリー的作品(ブレア・ウィッチ・プロジェクトに代表される)。劇中でみられるすべての映像は、アメリカ国防総省がかつてセントラルパーク(ニューヨーク)と呼ばれた場所で発見したもの、という設定です。
「クローバーフィールド」はどんな映画なのか、というと、結局は怪獣映画である、と説明するのが一番正しいでしょう。しかし、いくらかのパニック/ホラー要素もあり、古典的な怪獣(もしくはヒーロー)映画でないことは確かです。予告編にも出てくる自由の女神の頭部が飛んでくるシーンは何度観ても強烈ですね。
全体的に暗く、何が起こってるのかわからない、何がいるのかもわからない(そもそも怪獣自体がそんなに出てこない)、そんな登場人物たちの焦りやもどかしさが、ありありと伝わってくるのは本作の注目ポイントでしょう。
映画の短さを忘れる緊迫感
「クローバーフィールド」の長さは、なんとおよそ84分(1時間24分)。最後のスタッフクレジットを除くと、本編は74分弱(1時間14分弱)ほどしかありません。にもかかわらず、本作を見ていると、そんなに短いとは思えないほどの緊迫感があります。
もちろん、面白い映画というのは往々にして観ているとあっという間に終わっているものですが、この作品には、陰謀も無ければ裏切りも、どんでん返しもありません。登場人物たちの目的は、あるはぐれた人物と合流し、ニューヨークから脱出すること、という明確なものなので、観ている我々もわかりやすいですし、かえって本作の緊迫感を増大させるエッセンスになっています。
また、本作が怪獣映画としてユニークな点は、「怪獣vs軍隊」といった"戦い"ではなく、「怪獣から逃げる」人々の物語という点です。コンセプトとしては、『巨影都市』に近く、怪獣が出現したとき、一般市民はどうしてるのだろう、という一端を見ることが可能です。
ただ、本作はその撮影手法の都合上、カメラ揺れが非常にひどいです。普段からFPSやTPSをプレイしている方にはおそらく問題は無いと思いますが、もしかすると酔ってしまうかもしれませんので、視聴する際にはお気を付けください。
ちなみに、関連作品として「10クローバーフィールド・レーン」と「クローバーフィールド・パラドックス」という映画が存在していますが、いずれも直接的に関連がある作品ではありません。とはいえ、共通する単語が出てきたりするので、世界をより深く知るためには、一度視聴してみることをおすすめします。
「クローバーフィールド/HAKAISHA」は、Netflix/U-NEXTで配信中(huluでは8月20日より配信予定)。他サイトでは、有料レンタル版が視聴できます。