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季節はめぐり春、夏、秋、冬。季節の数だけ景色がある。そして景色の数だけ、ギャルゲーもまた存在するのだ。ギャルゲーの主役といえばなんと言っても多種多様なヒロイン達……。この連載はギャルゲーのヒロインを百人攻略するという妄念に取り憑かれた男の飽くなき挑戦の記録である。
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『Screen』の攻略も三人目となり、中盤戦に突入。共通部分はほぼ読み飛ばしてプレイしているが、それでもテキスト主体のゲームはなかなか時間がかかる。本作では各ヒロインごとに数個のEDが用意されているので、共通部分を除いてもなかなかのボリューム感だ。元はPCのアダルトゲームだったものをわざわざPS向けに移植しているのだから、当時はなかなかの人気作であっただろうことが伺い知れる。
前回でも説明したが、このゲームは基本的にメインヒロインである義妹「高坂舞子」のストーリーを縦軸として進むので時間のある方は第五景から読み始めることをおすすめする。特に、今回攻略したヒロインは舞子との関わりがかなり密接となっている。
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舞子が上京を果たした当日、主人公、もとい書く彦と舞子は迷子と出会い、親探しをすることになる。「舞子」と「迷子」でややこしい。そのときに出会うのが「小和田優夏」だ。最初の出会いのシーンからして妹絡みである。
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街中で見かけた書く彦と舞子(と迷子)を親子連れと勘違いしつつ、絵のモデルにしたいと勧誘してくる彼女。そんな彼女に、どうしてか既視感を覚える書く彦。自分たちが親子連れではないこと、迷子の親を探していて絵のモデルどころではないことを説明すると、彼女も捜索に加わってくれる。無事迷子を親の元に送り届けたあともどうにも既視感が拭えず、彼女にあれやこれやと詮索をするも、どうやら本当に初対面らしい。はい、もちろん伏線です。
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ところでこれは情報なのですが、書く彦は高校の頃に「篠原美冬」という女性と付き合っていたが、なんか別れていた、ということを覚えておいてください。脈絡なく急にこんなことを言い出すのは不自然だよね。
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そんなこんなでいろいろありつつ優夏と学内で再会することになる書く彦。なんと彼女は同じ大学の一学年後輩だったようで、既視感を覚えたのはそのためかもしれないと自分を納得させる。もちろんそのためじゃないんですが、それはともかく、彼女はまだ熱心に書く彦を絵のモデルに誘ってくる。
彼女いわく、書く彦は学内では「硬派の書く彦」として知られ、隠れ女性ファンも多いのだとか。毎週ギャルゲーをやっては新しいヒロインを攻略してニヤニヤしている人間が硬派かどうかはちょっとわからないですが……。
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その後も、妹がナンパされているのを助けてくれたりと、ちょくちょく物語に登場してくるようになる優夏。個別シナリオではなく共通部だというのにかなりストーリーに絡んでくるので、彼女がなかなか比重の高いヒロインであることがわかる。
余談なのだが、ギャルゲーには「比重の高いヒロイン」と「比重の軽いヒロイン」がいる場合があるんですが、あんまり目に見える場所でそういうことを言うと刺されたりするかもしれないので、「あ、こいつ比重の軽いヒロインだな」と思ってもSNSなどで漏らさないほうがいい。
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会うたびに熱心に絵のモデルに勧誘されるので、ギブ&テイクでとんでもないことを約束させる書く彦。身の周りのお世話といっても「お弁当を週三で作ってきてもらう」ということなのだが、なかなかハードルが高く、そんなことを他人に要求できるのってヤバイ。ちょくちょくその片鱗をのぞかせてはいたのだが、このゲームの主人公はなかなか狂人なのではなかろうか。まあギャルゲーの主人公が狂人であるというのはよくある話なのですが……。
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手作り弁当を作ってもらう約束をして、これ見よがしに高校時代に付き合っていた篠原美冬先輩のことを思い出す書く彦。ところで二人とも名前に季節が入っていますね。優しい夏に美しい冬ですか、関係はないと思いますが。
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関係はないと思いますが。
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優夏は妹とも親しくなり、すっかりと「いつものメンバー」みたいになっていく。関わりを深めていく中で、彼女は絵がうまいだけではなく、学力もかなり高い天才肌だということがわかってくる。
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明るく楽しく知識もある優夏に骨抜きになっていく文章家(ぶんしょうけ)であったが、親友の省吾から不穏な情報を耳にする。実は優夏は男嫌いで有名で、笑顔で誰かと喋ることなど珍しい……というようなキャラだったらしい。では、あの初対面からグイグイ来ている感じだったのはなんだったのだろうか。伏線がやけに多いのでミステリー的に攻略が楽しいキャラだ。嬉しい。
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完璧超人のように思えた優夏であったが、実は「料理が下手」という弱点が存在した。それをいいことに「こんな料理じゃ絵のモデルはできないな」とつけあがる書く彦。そこには「あーだこーだと理由をつけてモデルを受けるのを先送りにすれば彼女ともっとお近づきになれるのかも?」という下心もある。
書く彦はまだ彼女になにかをしてあげたわけでもないのに頼まれている側という立場を利用して最大限暴虐に振る舞うので本当にどうかとおもう。普通に最悪じゃない?こいつ。あ、オレなんですが……。
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そんな書く彦を「なんだこんなカスと付き合っても人生の時間の無駄だから直ちに会話を切り上げ友人づきあいもやめ他の友人を探したほうが絶対にいい」と切り捨てずに、一緒にプールに行ったりもしてくれる優夏。ちなみにこの時代では、これぐらいの絵でも「巨乳キャラ」ぐらいに地の文で描写されていて驚いた。まあ作画の癖もあるだろうが、乳のサイズ描写は現代のほうが体感的に上がっている気がする。エビデンスとかはないです。
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そんなセクシー担当キャラの優夏なのでラッキースケベシーンもあります。ちょっといきすぎたラッキースケベで笑ってしまった。
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ラッキースケベをきっかけに力関係が逆転し、とうとう絵のモデルを引き受けざるを得なくなった書く彦。他に友人もおらず、むしろ冷たい印象を与えていたらしい彼女に「自分たちにだけ明るく振る舞うのは、絵のモデルを引き受けてもらいたい一心からなのでは……」と邪推する書く彦は不安に襲われる。そんなに嫌われたくないなら居丈高に手料理を要求しつづけ、味にもこだわるなどという非人道的な行為をすぐさまやめろと言いたいのですが……。
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そんな不安感に苛まれている書く彦に、ついに決定的な瞬間が訪れる。優夏が謎のイケメン風モブからプレゼントを受け取っているさまを目撃してしまうのだ。取り乱しその場から駆けだしてしまう書く彦。ちなみにこれを目撃したのは学内で見かけた優夏と男を尾行したくなったからなので、ほんとうに危ないヤツである。
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でも優夏ちゃんはすごく優しいのでそんな書く彦を追いかけてきてくれ、告白までしてくれました。あの男はいったい誰だったのかはわからずじまいだったが、よかったですね。
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なんかいまいち納得いかないが、そうして結ばれた書く彦と優夏。彼女の絵も無事完成し、なんかすごい絵だったのですごいモノローグで褒めることになった。またまた話が脇道に逸れるのだけれど、オレ、ゲームやアニメに登場する「天才的な才能を持った芸術家キャラ」がすごく好きなんですよね。なかなかゲームに本当の天才が描いた絵などを登場させることは難しいのでモノローグで処理されることが多く、褒め言葉のオンパレードで無理やり説得していく感じがたまらない。
実際に絵が登場することも時々あって、そういう場合は「グラフィッカーが想像する“天才が描いたっぽい絵”」が画面に映されることとなり、これまた味わいがある。「ゲームの中の天才ミュージシャンが作ったとされる曲」とかも大好物なので、この企画の中で出会っていけたらいいなあ。
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恋愛も成就し絵も大成功、順風満帆に見えた二人だったが、会う時間はなぜか少なくなり、優夏の顔にも覇気がなくなっていく。
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というのもなんと、優夏は絵が評価されまくったおかげで海外の有名画家の目に留まり、留学することになったのである。書く彦がそれを知ったときには、彼女の旅立ちはもう翌日に迫っていた。ってアレ、なんか既視感のある展開だぞ……?
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いろいろな思いを胸に、空港に優夏の見送りに行く書く彦。別れの際、二人は再会を約束し、彼女は旅立っていくのだった……。ここまでがノーマルエンドだ。賢い読者諸君はお気づきのように、これでは伏線がまったく回収されていない。伏線の回収はトゥルーエンドだ。
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トゥルールートでは、優夏がなぜか篠原美冬先輩の写真を持っているところを発見してしまう。頭がパニックになりながらも、とりあえず順々に問題を解決するべく、ひとまず美冬先輩の写真のことは置いといて優夏に告白する書く彦だったが、今度は妹問題を持ち出してくる優夏。
優夏は、舞子が書く彦に思いを寄せていることに気付いており、そんな舞子のことを裏切ることはできないと感じていたのだ。ノーマルルートではあんなにあっさりくっついたのにね!
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いろいろなことにけじめをつけるべく、妹の前で、お付き合いの報告をする書く彦と優夏。かなり激しめのショックを受ける舞子。しかも優夏は、実は書く彦の元カノである篠原美冬先輩の腹違いの妹だった。最初は姉と別れた書く彦に復讐をするために接近したのだが、なんか好きになっちゃったし、相手の妹もなんか重い感じだし大変だ、という気持ちになっていたらしい。見事に伏線が回収されましたね。
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舞子はけなげなので、書く彦と美優が付き合うことを受け入れてくれる。抱き合う舞子と優夏。ものすごい覚悟を感じさせること言うので、とても暗い気持ちになる。前回で何の前触れもなく親友と結婚したやつとは思えない。
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……そして時は流れ、二年後。ノーマルエンドルートと同じく留学したらしい優夏が帰国してくることとなり、ウッキウキで空港に迎えに行く書く彦。
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そして、二人は再会し、固く抱き合うのだった……めでたしめでたし……って、別れのくだりとCGが完全に同じなのだが?ノーマルエンドをクリアしないとトゥルーエンドが見られないので、このCGが使い回しであることはここまで到達したプレイヤーは誰もがわかるのだが?帽子、なんか浮いてないか?比重の高いヒロインとはいったいなんだったのか?っていうか正直妹との切ないくだりが尾を引いており、あんまり純粋なハッピーエンドとして喜べないが?いいんだろうか?まあいいか!仏の心ですべてを受け入れていくギャルゲー百人百景。次回からは『Screen』いよいよ後半戦だぜ!