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だんだんと暖かくなりスギ花粉が吹き荒れる中、1989年1月8日から始まった平成も、2019年4月30日の天皇陛下ご退位により、いよいよ終わりを迎えようとしています。5月1日より新元号がスタートする予定ですが、気になるその元号の発表は4月1日。残すところあとわずかです。我々は、国内外に渡って様々な出来事が起こった激動の時代、「平成」の終末に立ち会うこととなります。
一つの時代が終わり、新たな時代へと進んでいく……そんな変革の時に私たちは、一体何を道しるべにしていけばいいのでしょうか?そこで私は言いたい。今こそ「ポストアポカリプス」だと。文明が崩壊した世界で力強く生きる人々を描いたこれらの作品に触れれば、この混迷の世界を生き抜いていくヒントが得られるのではないか。そして平成を振り返り「良き時代だった」と笑って、明日へ進んでいけるのではないかと考えるのです。そこで今回は、筆者が独断と偏見で選んだ、平成の様々な出来事を振り返りながらプレイできるポストアポカリプスゲーム7作品をご紹介。本稿が、新時代を万全の状態で迎える一助になれば幸いです。
『Atomic Society』
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デベロッパー:Far Road Games
パブリッシャー:Far Road Games
発売日:2018年10月15日
機種:PC
1980年代後半からの好景気が後退し、現在まで色濃く残る影響を与えた「バブル崩壊」は、平成に起こった重大な出来事の一つと言えるでしょう。また突き詰めれば、経済と社会に大きなダメージを与えたこの出来事の極北が、貨幣経済が崩壊して無法地帯となったポストアポカリプス世界とも言えるはず。というわけで、お金が何の価値も持たない世界で、「社会」を運営していく本作をご紹介します。
『Atomic Society』は、核戦争によって荒廃した世界で、生存者たちのリーダーとしてコミュニティを導いていく街づくりシミュレーション。住居や畑、診療所といった施設を作り環境を整え、入植者を集めます。また法律の制定ができ、犯罪にきちんと罰を与える良心的な街にすることもできれば、殺人やカニバリズムを奨励して阿鼻叫喚の地獄絵図を作り出すことも可能です。
生存者は一人一人に設定された信仰や主義に従って行動するので、多様性を尊重するのか、コミュニティの拡大を優先するのかを考えて行動しなくてはなりません。さらに、コミュニティを狙う外敵や地域の支配者も登場し、生存だけではなく戦闘に対する備えも必要になってきます。
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生存者たちが飢餓や疫病などで容赦なく死んでいくなか、こうした諸問題に頭を悩ませるという極限環境で生きていけば、現実世界にて待ち受ける不況や食料・人口などの諸問題にも屈せず、たくましく生きていく方法を学べるでしょう!世界秩序の崩壊に比べれば、バブルの崩壊など些細な問題なのです。Game*Sparkでは10月末の時点でのプレイレポートを掲載しているので、詳細なゲーム内容はこちらをご参照ください。
『ATOM RPG: Post-apocalyptic indie game』
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デベロッパー:AtomTeam
パブリッシャー:AtomTeam
発売日:2018年12月19日
機種:PC
1990年代前半に世界を揺るがしたニュースの一つと言えば、アメリカと世界を東西に分け、40年以上の長きに渡り冷戦を展開した大国ソビエト連邦の崩壊です。しかし、国際情勢が一変したこの事件も現在では27年が経ち、すっかり過去のものとなった感じがあります。ですが、ゲーム業界においてはいまだ強烈な存在感を放っており、ソ連をテーマにした作品は多数開発されているのです。
『ATOM RPG: Post-apocalyptic indie game』は、『Fallout』や『Wasteland』などのクラシカルなRPGにインスパイアされた見下ろし方のターンベースRPG。ソ連と西側諸国との核戦争という最悪の未来が実現してしまった世界を舞台に、文明が崩壊した荒野を探検していきます。多彩なクエストが用意されており、それらはすべて異なるアプローチでクリアが可能。プレイヤーが望むように攻略できるほか、ランダムで様々なNPCと遭遇でき、ユニークで選択肢の多い会話も登場し、奥深い世紀末ソ連ライフをのびのびと楽しむことができます。
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もちろん、この手の作品には欠かせない、空腹度や放射線量といったパラメータも存在します。生き残るために血眼になって食料や水を探したり、ガイガーカウンターの針に怯えながら生活することもできます。本作をプレイすれば、荒廃した世界での生活の予習はバッチリでしょう。
『Sheltered』
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デベロッパー:Unicube/Team 17 Digital Ltd
パブリッシャー:Team17 Digital Ltd
発売日:2018年12月19日
機種:PC/Android/iOS(※海外PS4/Xbox One向けにも配信中)
先進国など、一部の国で問題となっている人口減少。我が国日本でも、2005年に統計を開始して以来初めて総人口の自然減少が発表され、それ以降着々と人口が減り続けています。ですが、もちろんそれは世紀末も同じ。ただでさえ少ない人類が、毎日凄まじいスピードで減っていく終末世界を体験すれば、きっと人口減少なんて怖くありません。そんなときにお勧めしたい一本がこちらです。
核戦争によって滅びた世界の地下シェルターで生きる、とある家族を主人公としたこのサバイバルRPGでは、資源の探索やリソースの配分、外敵との戦い、怪我や病気への対処など様々な問題に対して、難しい決断を迫られることになります。
シェルターをカスタマイズして、住環境や外敵に対する防御を向上させるのはもちろん、家族一人一人の性別や名前、外見も設定可能。筋力、知性、カリスマといったパラメータも存在し、各プレイヤーが思い思いの世紀末一家を育てていくことができます。このほか、メンタルヘルスの問題や、外部から生存者を招いて共同生活をおこなうといった、繊細な判断が求められる要素もあり、奥深いプレイ体験が得られることでしょう。
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核によって荒廃した世界を生きる家族を題材とした本作は、まさに究極の「核家族(nuclear family)」シミュレーションと言っても過言ではありません。人口減少よりもヤバい問題がゴロゴロ転がっている世界を本作で体験すれば、きっと今よりも前向きに生活ができるでしょう!
『They Are Billions』
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デベロッパー:Numantian Games
パブリッシャー:Numantian Games
発売日:2017年12月13日
機種:PC
日本は古来より自然災害の多い国ですが、それにつけてもこの平成は災害の多い時代でした。大地震や集中豪雨、世界的な異常気象による冷夏・暖冬など。地球環境が変わりつつある今、こうした災害はもっと増えていくかもしれません。そんな時代をどのような心構えで迎えればいいのでしょうか。そこで、この『They Are Billions』がヒントになるはずです。
ここで皆さんに質問です。ポストアポカリプスを代表する災害と言えば?そう、ゾンビですね。本作では、そんな世紀末の代表的な災害「ゾンビの大群の襲来」を迎え撃つことが可能です。文明のほとんどをゾンビに滅ぼされた世界でコロニーを運営。エネルギー施設や住居の建設、資源の生産・収集を通じて生存者を集め、バリケードやタワーといった防御設備でゾンビに備えます。
単なるタワーディフェンスではなく、ゾンビがコロニー内に侵入すれば施設や居住者を次々と感染させていくため、被害を最小限に食い止めるダメージコントロールも重要となってきます。また、ゲームはリアルタイムで進行しますが、一時停止でじっくりと戦略を練られるため、ストラテジー初心者もプレイしやすい作品と言えます。
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本作は最大2万体のゾンビが描写可能ということもあり、世紀末の自然の猛威を大迫力で体感できます。そんなゾンビどもに立ち向かうため、傭兵を雇い、防壁を築き、重火器で武装し、ポストアポカリプス流の災害対策を学びましょう。その経験は、現代日本でも活用できるはずです!
『Rain World』
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デベロッパー:Videocult
パブリッシャー:Adult Swim Games
発売日:2018年2月7日(PS4)、2017年3月29日(PC)
機種:PS4/PC(※海外スイッチ版も配信中)
平成はつらく苦しい出来事だけではなく、私たちの心を明るくさせるものも生み出しました。多摩川に現れたアザラシの「タマちゃん」、千葉市動物公園のレッサーパンダ「風太くん」、東山動植物園のイケメンすぎるゴリラ「シャバーニ」といった動物たち。さらに、2000年代に入って盛り上がりを見せる、全国各地の市区町村や企業・団体をPRするマスコットキャラクターです。そしてもちろん、地獄のような世紀末にも愛すべきキャラクターは存在しています。
本作は、生態系が崩壊した世界を舞台にした、横スクロールのサバイバルアクション。プレイヤーは、名前通りに猫とナメクジが融合したような不思議生物「Slugcat」となって、16ビットで描かれた大自然を生き抜いていきます。
ヌルヌルと動き回るSlugcatは、食物連鎖の中では捕食者であると同時に獲物でもある存在なので、アクロバットやステルスを組み合わせて危険を掻い潜らなければなりません。このほか、登場する生き物たちはグロテスクでありながらどこか愛嬌のある魅力的なデザインをしており、植物に覆われた巨大建造物などと併せて、独特な世界観を構築しています。
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ポストアポカリプスのシビアな食物連鎖を描いているにもかかわらず、ユーモラスな雰囲気を感じさせる『Rain World』。暴力や恐怖だけではない、生きとし生ける者たちの生命の躍動を、ヌルヌル猫ちゃんを通じて味わうことのできる作品となっています。
『OPUS: 魂の架け橋』
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デベロッパー:SIGONO
パブリッシャー:Coconut Island Games / フライハイワークス
発売日:2018年3月22日(スイッチ)、2018年2月8日(PC)、2017年9月14日(Android/iOS)
機種:ニンテンドースイッチ/PC/Android/iOS
平成には、我々に希望を与えてくれた出来事も起こりました。いくつもの技術的トラブルを抱えながらも、世界で初めて小惑星から物質サンプルを持ち帰った探査機「はやぶさ」の地球帰還です。日本全国に感動をもたらしたこのような出来事は、血で血を洗う世紀末には無縁の話のようにも思えますが、ところがどっこいそうではありません。
『OPUS: 魂の架け橋』は、疫病によるパンデミックの後、廃墟と化した世界で生き残った巫女の「フェイ」とロケット技師の「ヨハン」という2人の男女を主人公としたアドベンチャー。街を彷徨う犠牲者たちの霊魂を、ロケットに乗せて銀河へと送る宇宙葬を執り行うため、廃墟や遺跡を探索してロケットの材料となるスクラップを収集していきます。ポストアポカリプスらしからぬ幻想的で美しい世界観、霊魂や残された想いをテーマにした繊細で心暖まるストーリーなど、血と暴力で荒んだ心を癒してくれる作品となっています。
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デベロッパーSIGONOが開発した宇宙探索アドベンチャー『OPUS-地球計画』の続編的な立ち位置に当たる作品ですが、ストーリーや世界設定などに繋がりはないため、こちらからプレイを始めても何の問題もありません。地球に帰ってきたはやぶさに思いを馳せながら、人々の魂を宇宙に送る本作をプレイしてみるのも面白いかもしれませんね。
『Frostpunk』
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デベロッパー:11 bit studios
パブリッシャー:11 bit studios
発売日:2018年4月24日
機種:PC
働き方改革が叫ばれる近年、大きな社会問題となっているのがブラック企業です。長時間労働やサービス残業、違法な低賃金、パワハラ・セクハラといった行為によって、現代の労働者たちは苦しめられています。しかしこういった組織は、世界全体がブラックな思想に包まれているポストアポカリプスではさして珍しくはありません。さらに恐ろしいことに、ゲームならば組織の側に立つことも可能なのです……。
『Frostpunk』は、大寒波によって文明が崩壊した世界で、指導者としてコミュニティを存続させることを目指すサバイバルシミュレーション。住民を外界に派遣して資材を集め、農場や生産施設を作り、技術を開発していきます。住民たちは要望を出すことがあり、手持ちのリソースなどと相談しながら要望を引き受けたり、拒否したりという選択を行います。
また、指導者であるプレイヤーは法律を制定し、どのような社会を形作っていくのかも考えなくてはなりません。法律によっては、児童労働や24時間労働の解禁なども可能で、住民の健康を犠牲に、効率のいいコミュニティ運営を行うこともできます。生存のために病人も切り捨てる……といった非情な決断もゲームの攻略には有用であり、プレイヤーの倫理観に揺さぶりをかける内容と言えるでしょう。
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住民のための法律や行動を取ると、リソースが圧迫され厳しい展開に。しかし圧政を敷き多数の生存を優先すると余裕が出てくるという悪魔的なゲームバランスは、違法労働が絶えない現状を理解する助けになるかもしれません。そして、もしこの記事の読者に経営者の方がいるなら、労働者の酷使はゲームの中だけにしてもらいたい!ブラック企業、ダメ。ゼッタイ。
いささか無理やりなこじつけもあったかもしれませんが、これらのポストアポカリプスゲームは、きっと平成を振り返ったり新元号の未来を生きるのに役立つはずです!ここでご紹介した以外にも、魅力的な世紀末ゲームはたくさんリリースされています。ぜひプレイして、激動の平成の終末を、文明が終末した世界で迎えてみてはいかがでしょうか?
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