3月21日、アメリカ・サンフランシスコのMoscone Centerにて、世界各国のゲーム開発者が集うイベント「Game Developers Conference 2019(GDC 2019)」が行われました。このイベントの中で、スパイク・チュンソフトは、7月25日に発売予定の『AI: ソムニウム ファイル(アイ:ソムニウム ファイル)』の一部お披露目&インタビューを開催。今回、インタビューに応じてくださったのは、ゲームディレクター・打越鋼太郎氏と第二開発グループの岡田昌氏。発売前の貴重な情報をお届けします。
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イベントでは、最初にトレイラー映像が紹介されました。バーチャルアイドル「A-set」が取り調べを受けるという、衝撃的な内容からの幕開けです……。このイントロから始まり、いよいよ『AI:ソムニウムファイル』についてのインタビュー開始です。
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――本作は、どのようなコンセプトやテーマで開発されたのでしょうか。
打越鋼太郎氏 (以下、打越氏):アドベンチャーゲームを作りたくて開発しました。前回の『ZERO ESCAPE 刻のジレンマ』はアドベンチャーゲームなんですけど、海外ドラマを楽しむような層にもプレイしてもらえたらなと思い、ターゲットの裾野を広げようとしていました。今回は逆にターゲットを絞って、完全にアドベンチャーゲームを好きな層にめちゃめちゃ喜んでもらうことを目標としたんです。昔ながらのアドベンチャーゲームでありながら現代風にアレンジしていくというのも、今回のコンセプトです。
――なるほど。では、アドベンチャーゲーム好きにターゲットを絞るような作品にしようと思ったきっかけは、どんなものだったのでしょう?
打越氏:僕の作品はファンの方々が熱いというか……。そんなファンの方々に喜んでもらいたいと思ったのがきっかけです。もちろん今までもそうだったのですが、ファン感謝デーじゃないですけど、今年は「ファン感謝イヤー」として、ファンの方々のために作ろう、命を捧げよう!(笑)ということです。
――これまでの「極限脱出」シリーズと比較して、今作ではここは変えた、ここを見て欲しいという点はありますか?
岡田昌氏(以下、岡田氏):前作は「ストーリーを見て脱出していく」というのが大まかな流れですが、本作は、人の夢の中にある装置を使って入っていきます。そこが他のゲームにはあまりないような遊び方です。人それぞれの夢の中に入っていって、どんな情景が見られるのか、という点に注目してもらいたいです。
――数人の夢の中に入ることができるんですか?
岡田氏:そうです。現実世界で、いろんなところを探索していくんですが、事件を追っていくうちに、重要参考人の取り調べをして、この人の頭の中を覗いてみないとわからない、という状況になり、(頭の中に)入っていくことになるんです。
――では、その人が怪しいと思うと、その人の夢の中に入ることができるという流れでしょうか?
岡田氏:はい、そうですね。そういう流れだと思っていただいて構いません。
――可能な範囲で構いませんが、本作のあらすじを教えていただけますか。
打越氏:ストーリーは大きく分けると「捜査パート」と「ソムニウム(夢)パート」の2つで構成されます。「捜査パート」では、片目をくり抜かれた女性の死体が発見されたところから事件が始まります。捜査官・伊達鍵(だて かなめ)がこの事件を担当することになるのですが、彼の左目にはAIが搭載された義眼が入っています。そのAIの機能を使って、X線で透視をしたり赤外線を見たり、いろいろなことをしながら捜査をしつつ、さまざまな登場人物に出会い、聞き込みをしていきます。「ソムニウムパート」では、(人の)夢の中に入ります。捜査を通して人々と出会っていく中で、重要参考人が出てくるのですが、そういった人が黙秘していたり、失声症となって話せなかったりした場合、相手の頭の中に入って事件を探っていくことになります。その後、最初の殺人事件が連続殺人事件となっていき、真犯人を探っていくというのが大まかなストーリーです。
――犯人はひとりですか?
打越氏:それは言えません!(笑)
――夢の中に入らずに事件を解決する手立てはあるのでしょうか?
打越氏:夢の中に入らずに解決する手立てはありません。
――エンディングは複数あるのでしょうか?それともマルチエンディングでなく、ひとつのみでしょうか?
打越氏:マルチエンディングです。全部でいくつあるのかはまだお伝えできないのですが、終わり方もさまざまです。家族愛的な物語とか、残酷な物語とか……。いろいろな話がてんこ盛りになっています。
――物語の舞台について教えてください。
打越氏:本当の現代よりも「ちょっとテクノロジーが発達した東京」が舞台です。現代の東京と同じように、スマホや車、テレビ、ネットなどのテクノロジーはあります。我々が生きる現代と同じくらいの技術ですが、大きく違う点が3つあります。伊達の左目に入っているAIのテクノロジーが現代の技術よりも発達しているという点、人の夢の中に入ることができる装置が開発されている点、そして伊達が持っている銃が違うという点が、現代に存在していないものです。
――本作では東京以外の舞台も体験できますか?
打越氏:いいえ、東京だけです。
――最後に、日本のファンに向けてメッセージをお願いいたします。
打越氏:僕がゲームを作り始めて20年くらいになるのですが、20年間の集大成です。これまでで一番面白いものになっているので、ぜひプレイしてみてください!
岡田氏:いろんなことにチャレンジしているゲームです。古いスタイルのアドベンチャーゲームでありながら、新しい、最新のアドベンチャーゲームのスタイルも踏襲していて、要素が満載です。「アドベンチャーゲームがやりたいな」と思ったらぜひこのゲームに挑戦してみてください!
――ありがとうございました。
インタビューの最後には、「捜査パート」と「ソムニウムパート」の初披露となる映像を紹介していただきました。
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捜査官・伊達として動くプレイヤーの姿がお目見え。セリフは音声だけでなく、テキストでも読むことができます。
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今回インタビューでご説明いただいた本作のあらすじに加えて、ストーリーも簡単にご紹介します。
―11月の雨の夜、あるテーマパーク内でメリーゴーラウンドに乗ったまま亡くなっている女性の死体が発見される。彼女の左目はくり抜かれていた……。しばらくして伊達が到着し、メリーゴーラウンドの中央のポールから何か音がすることに気がつく。そこを開けると、一人の少女が中に入っていた。彼女は手に血の付いたアイスピックのようなものを持っており……。
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本作は7月25日に、PS4/ニンテンドースイッチ向けに世界同時発売となります。米国では、通常版と「スペシャルエージェントエディション」を展開予定。「スペシャルエージェントエディション」の価格は89.99ドルで、A-setのアクリルスタンド、特装版ボックス、アートブック、サウンドトラック、ステッカーを収録します。
日本版の販売価格や特別版の有無などの情報は未発表のため、詳細を待ちましょう。アドベンチャーゲーム好きな人がトコトン楽しめそうな本作、7月25日が待ちきれませんね!