今回プレイするのは、オニオンゲームスから発売されたニンテンドースイッチ向け『moon』。本作は、勇者が存在する王道RPGの舞台裏を描いたリミックスRPGアドベンチャーゲームです。
1997年に発売されたオリジナル版は、「アンチRPG」と呼ばれて人気を博していました。しかしその人気とは裏腹に、発売から22年間一度も他機種に移植されておらず、中古ゲーム屋やネットショップなどで高値で販売されたのです。

僕が『moon』に興味を持った頃にはとっくにレア化しており、手が届かない存在に……ガラスケースの中のパッケージを眺めることしか出来ませんでした。
そんな本作がニンテンドースイッチに移植され、お値段もお求めやすい1,980円(税込)!これはプレイするしかない!
バリバリの王道RPG……?

「ムーンの聖なる共振光に歪みが生じ、デスクレバスの中心部分に絶対暗黒点を作り出した」
ゲームを開始すると、いきなり専門用語盛り沢山のあらすじで置いてきぼりにされる。バリバリの王道RPGだ、これ。

これでもかと言わんばかりに追加されるあらすじ。うむ、わからん。

そんな専門用語バリバリのゲームをプレイする少年。理解出来るのか……?

なんだか投げやりな王様との謁見を経て、鎧を身にまとった勇者は旅立つ。
城下町のタンスを調べると、伝説の装備一式が詰まっていた。

王道RPGというか、子供が『RPGツクール』で作った雑なRPGという印象。うっ、当時作った黒歴史RPGの記憶が蘇ってくる……!

おじいちゃんの顔グラフィックは何故かインド人風。こういうところも初期の『RPGツクール』ぽくて面白い。あるある~。
飛空艇イベントや、ラストダンジョン前の中ボス「ラスマエーダ」とのバトルを経て、ラスボスとの熱いバトル……と思いきや、「早く寝なさい!」と母親から叱られてしまい、テレビの電源を消す。

だが、消したはずのテレビには砂嵐が映っている。不審に思って近づくと……少年はテレビの中に吸い込まれてしまうのだった。
たどり着いたのは王道RPGの舞台裏!

少年がたどり着いたのはRPGのような世界だった。グラフィックはちょっとサイケデリックな感じになっているが、先程まで少年がプレイしていたゲームと同一なのだろうか。
ちなみにこの世界で少年は透明なので、町の人に存在を気付かれることはないし、自分から話しかけることも出来ない。

だが、町外れに住む老婆には存在を気付いてもらえた。何故か僕の名前も知っている。
老婆の話を聞くと、少年は元々この世界の住人だったようだ。

これは、漫画やゲームの物語終盤で判明する衝撃的な展開のやつか?まだ序盤だけど。

その晩、夢の中ででかい顔の人と出会う。
このでかい顔が言うには、世界に溢れるラブを集めるのが少年の目的らしい。今はレベル1の《愛の寝起き》だが、ラブを集めるとレベルが上がっていく仕組みなのだろう。

朝起きるとおばあさんから服をプレゼントされた。この服は透けないので、これで存在を認知されるようになったはず!

現実にこんなヤツが居たら軽くホラーだけども。
町の探索と、勇者を目撃!

ラブが何なのかいまいちわかっていないが、いよいよラブ集め開始……の前に、お婆ちゃんからクッキーをいただく。サンキューお婆ちゃん!
ついでにパンのお使いも頼まれて城下町へ向かうのだが、その道中で勇者を目撃する。

勇者が呼び出した雷で黒焦げになるモンスター。おそらくレベル上げをしているのだろうけど、傍から見るとサイコな殺人鬼みたいで怖いな……。

現在の僕の体はスケスケなので、レアモンスターと間違われて狩られてしまうかもしれない。勇者に見つからないようにコソコソしながらパン屋にたどり着き、頼まれていたパンを購入する。
食パンとクロワッサンのどちらを買おうか。ちなみにクロワッサンの方が少しだけ安い。

クッキーの感謝もすっかり忘れ、安いクロワッサンを購入してお使い完了……。

その後、雑貨屋に行ったり、物知りな鳥のヨシダとおしゃべりしたり探索を楽しんでいると、少年の足取りが次第に重くなっていき……倒れてしまう。

突然のゲームオーバー……!
このゲームには一日に活動出来る制限時間があり、それを超えるとゲームオーバーになる。
セーブした地点からの再開になるのだが……そういやセーブした覚え無いよな……
もう一度、最初から……!
殺された魂を救ってラブ集め!

2度目のオープニングを経て、お婆ちゃんのお使いをこなし、ベッドで眠りにつく。
セーブはベッドで眠ると自動でされるのだ。これで一安心……

そしてまた夢の中にでかい顔が登場する。このでかい顔、毎回出てくるのか。
ラブを集めてレベルが上がると、一日の制限時間が伸びるらしい。ちなみにお婆ちゃんのお使いで得たラブは1。レベルアップするにはもうひとつラブを稼がねばならない。

翌日、ラブを探しに家を出ると、森の中で怪しげな人と出会う。
彼が言うには、勇者に殺されたモンスターは、タマシイをキャッチすると生き返るというのだ。これでラブを貰えるのだな。

会話の最中に無言でやって来て、新たにモンスターを惨殺して去っていく勇者。怖いわ!

近くに浮かぶスライムモンスターのタマシイをキャッチし、無事ラブをゲット!
このモンスターのタマシイは最初の1匹目ということでその場に浮かんでいたが、他のモンスターのタマシイをキャッチするには条件がある。例えば、夜にならないとタマシイが出てこなかったり、特定の行動を取る必要があったりと、様々な条件があるぞ。

モンスターの死体を調べると詳しい情報が見られるので、色々試してキャッチしてラブを集めよう。
ラブを集めてレベルが上がると少年が活動できる制限時間が伸びるので、行動範囲もぐっと広がる。王道RPGじゃないのに冒険している感じ、すごい出てる!

でも制限時間を過ぎればゲームオーバーなので、くれぐれも気をつけて……!

モンスターのタマシイをキャッチしたり、色んな人のお願いを聞いたり……どのキャラのラブ集めも一癖も二癖もあり楽しかったです!
正直ちょっと「きっと面白いんだろうけど、ゲームが入手困難になってるから余計に祭り上げられてるだけなんじゃね?」と思っていたのですが、入手困難とかそんなのとは関係なく、めちゃくちゃ面白いゲームでした。
リメイク作品ではないのでグラフィックは当時のままですが、最近では懐かし系グラフィックのインディーゲームも増えてきているので、違和感なくプレイ出来ました。
僕のように「ずっと気になってたけどプレミア価格で買うのはな~」と躊躇していた人はこの機会に是非!
ニンテンドースイッチ版『moon』は配信中です。
吉田輝和のプロフィール:19年にわたって自画像の絵日記を書き続けているおじさん。近年、「ちおちゃんの通学路(KADOKAWA)」や「お稲荷JKたまもちゃん(一迅社)」、「からかい上手の高木さん(小学館)」などの人気漫画のモブキャラとして登場しており、2018年にはアニメ作品に2回登場した。何故こんなに漫画登場しているのか、描いた漫画家も吉田本人もよくわからないらしい。 吉田のTwitterはこちら。