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1997年にゲームボーイソフトとして発売された『メダロット』は、プラットフォームを変えつつ展開しており、今日までナンバリングタイトルは9作に及んでいます。「人工知能メダル」を基本フレーム「ティンペット」に搭載したロボット「メダロット」を戦わせる競技「ロボトル」が流行している近未来を舞台に、時には世界観を変えつつも主人公たちが危機に立ち向かっていく物語が描かれています。
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本稿では、漫画やアニメなど様々なメディアミックスを生み出した原点である第1・2作を通して、シリーズの魅力をお伝えします。
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■始まりの主人公・ヒカルと次世代の主人公・イッキ
第1作の大ヒットがあるから第2作が作られるものの、第1作のインパクトをなかなか超えられないケースが往々にしてあります。しかし、『メダロット』においては、第2作があったからこそのシリーズ人気だと、言えると思います。
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その理由としては、世界観の広がりです。メダロットのルーツはメディアごとに異なるのですが、ゲームでは宇宙から飛来したメダルが地球の生物の特性を取り入れたとされています。同シリーズでは、カブトメダルとカブトパーツ、またはクワガタメダルとクワガタパーツが主人公の最初の愛機として用意されています。
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毎回、主人公は子供で、第1作の主人公・ヒカルはペットのボナパルトが拾ってきたメダルがきっかけでロボトルをするようになりました。プレイヤーはヒカルの目線で、ロボトルトーナメント、悪の組織ロボロボ団、宇宙人など、メダロットの世界観を体験していくことになります。ゲームを進める上では、ヒカルは大人しく、愛機であるメダロットも従順な印象を受けます。世界観の構築とストーリーのテンプレートをしっかり固めたのが第1作なのです。
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それに対して7年後が舞台となる第2作では、まず大人になったヒカルがコンビニ店員として登場します。新主人公のイッキと交流があり、イッキがメダルを手に入れてロボトルを始めて事件に巻き込まれた後も、「怪盗レトルト」としてサポートをしてくれます。
これだけを見ても物語の密度が濃くなったのは間違いありませんが、肝心のメダロットに関しても大幅にパワーアップ。メダルやパーツが前作より大幅に追加され、導入されたメダフォースシステムによって、メダルごとに設定された特殊な能力が発動できるようになりました。戦略も広がり、バトル面では“第1作の改良型”という評価もあるくらいです。
第2作は同時に、全3部の主人公・イッキ編の始まりでもあり、第1作が本当の意味でプロローグの立ち位置だと言えるのかもしれません。
■どっちのヒロインを選ぶ?
第1作では幼なじみでヒカルの頭が上がらない秋田キララ、メダロット博士の孫でメダロットの知識が豊富な秋葉原ナエ。第2作ではジャーナリストになるのが夢で学校では新聞部の甘酒アリカ、お嬢様の純米カリンが、それぞれヒロインとして登場します。
どちらも正反対のタイプで、それぞれのヒロインを選んだエンディングが用意されています。『メダロット』はメダロットとの友情、ライバルとの競争、それだけでなく恋愛も詰まっているんです。児童漫画雑誌「コミックボンボン」(講談社発行)で漫画が連載されるなど、子供をターゲットにした作品ですが、しっかりと主人公の人生を描いてくれているのが深いです。
ヒロインも本当に魅力的なので、どちらを選ぶべきか最後まで悩む人も多かったのではないでしょうか。ちなみに筆者は、カリンちゃんにどハマりしました。まず、少年時代に憧れがちなお嬢様属性、ツインテールがめちゃくちゃ似合うこと、いい感じのぶりっ子加減、とても優しい(漫画版のカリンちゃんはちょっと性格がゲームと違うんですが・・・)んですよ。一時は現実に本当にカリンちゃんファンクラブを作ろうと思ったほどでした。まぁ、それだけメダロットに負けず、キャラクターが魅力的なんです。
特にイッキ編のアニメ版は、ゲーム以上にキャラクターを掘り下げていたので、全シリーズ通して『メダロット2』が印象深いプレイヤーは多いはずです。
■どうなる?『メダロットS』
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さて、『メダロットS』ではこれまで、カブト(KBT型)かクワガタ(KWG型)ではっきり分かれていたメダロットにおいて、両方の特性を併せ持ったカブクワ型(KXK00型)が登場しました。また、新主人公の大隈アラセは突然、メダロットを手にしてトーナメント「メダリンピック」に参加することになりました。
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ここから歴代シリーズの主人公やキャラクターが登場することが予想されますが、バトルを思う存分楽しみたいだけでなく、ストーリーやキャラクターにも期待をしたいところです。
『メダロットS』は2020年1月23日配信開始。基本プレイ無料のアイテム課金制です。
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