読者のみなさんからコメントをいただけたので、深掘りすべくモロッコのPCゲーム事情やゲームセンター事情、さらにはスペインのゲーム事情を取材しに行こうとしてしていた矢先、新型コロナウイルス感染拡大予防のため、市民に外出禁止令が出て身動きがとれない状況になってしまいました。
ちょうど日本でも首都圏において外出の自粛要請が出され、外出禁止となる可能性もゼロではない状況です。そんな現状をふまえ、本稿ではゲームとは関係ありませんが、「異国ファストトラベル」の番外編として外出禁止令が出ているモロッコの様子をお届けしたいと思います。
モロッコで外出禁止令が出されるまで……
モロッコで初の新型コロナウイルス感染者が確認されたのは3月3日ことでした。医療があまり発達していないこともあり、モロッコ政府は感染者の検査を強化。その結果毎日感染者が見つかり、3月30日8時時点で、国内の症例総数は516。うち新型コロナウイルスからの回復の総数13、死者27名となり、現在モロッコで感染が確認されているのは、476名(感染が確認された516名中、完治13名・死亡27名)となっています。当初、感染者のほとんどが、ヨーロッパからモロッコへの帰国者でした。
感染者が増加の一途を辿ることがわかると、モロッコ政府は3月14日は全学校の休校を決定。続いて、15日に国際線運航の全面停止を決定、翌16日にはカフェ・レストラン・モスクなど人が集まる場所の閉鎖を発表しました。(ただし、スーパーや食料品を購入できる店は除く)。
そして、さらに市民の都市間の移動を禁止し、日常品や食料の買い出しと通勤以外の移動を禁止する「衛生緊急事態(緊急事態宣言)」を20日に発令。移動する際には移動許可証持参が義務付けられ、市民の移動を監視するために街には軍用車両が走り始めたのです。
許可証なしの移動をした場合、当初は明確な罰則は明らかにされていませんでした。しかし、モロッコでは日銭で生活している人がほとんどといってもいい状況下で、お店などの営業を制限する緊急事態宣言が発令されたため、発令翌日の21日には各地で反発した人によるデモが行われました。
このデモは即座にモロッコ政府により鎮圧され、22日に急遽閣議が開催されます。その結果、モロッコ当局の命令に違反した人には、1か月から3か月の禁錮刑およびDH300(約3,600円)~DH1,300(約15,600円)の罰金刑、またはそのいずれかに処すことを決定しました。
現地に住んでいる筆者としては、常日頃からモロッコ政府の意思決定から実施がとても早く感じており、今回もあれよあれよという間に鎖国・軟禁状態となった印象です。
ちなみに、モロッコはフランスの植民地だったこともあってか、今でもフランスのやり方に則ることが多くあり、今回のロックダウンの方法もフランスとほぼ同じとなっています。
気になるロックダウンの街の様子は?
実際の街の様子はというと、メイン通りでは先ほどの映像のように軍用車両が監視し物々しい雰囲気に。市民が生活するエリアも警察が巡回し、いつもは通勤や通学をする人で賑わっている通りも閑散としています。
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目に見えない断絶……
新型コロナウイルスの感染者数が増え制約が厳しくなるにつれ、アジア人、ヨーロッパ人への人種差別が目に見えてきつくなりました。筆者が歩いていると通りすぎる際に口元を抑えられ、お店に行くとあからさまにイヤな顔をされることもしばしば。こうした背景には、モロッコにおいて、新型コロナウイルスが中国人のせいで広まったという考える人が少なくないということも影響しているでしょう。世界で感染拡大が騒がれはじめた頃から、特に子供たちがアジア人を見ると「コロナ」と半ばふざけて言うようになりましたが、最近では、アジア人だけでなくヨーロッパ人も言われる人が増えてきているようです。個人的には外に出る気が一気に失せ、かえって外出禁止とされている方が気が楽です。
先日、モロッコが鎖国状態になる前に砂漠ツアーを案内していたドライバーが、新型コロナウイルスに感染していたという話を聞きました。客として乗せていたヨーロッパ人の客が帰国後感染していたことがわかり、ドライバーも検査したところ陽性と判明したとか。詳細な状況は分かりませんが、いずれにせよその感染力の高さを示すエピソードです。ロックダウンをしているモロッコでも日々感染者数が増加しているのを見ると、日本ではいまだに満員電車通勤などがなくならないと聞くので不安になってしまいます。
東京の情報も追っていますが、日々感染者が増加していますし、夜間は一層の外出自粛を小池都知事が呼びかけるなど緊迫した状況が続いていることでしょう。騒ぎすぎだという声も見かけますが、いざ医療崩壊が起きてからでは救えるはずの命も救えません。
正直なところ、ロックダウンされてみて、家に閉じ込められている閉塞感や憂鬱感を減少させるのにゲームや音楽、映画がいかに素晴らしいかを実感する毎日です。東京がこの後どうなるかは分かりませんが、こうなってしまった以上は昼間からゲームができると少しでもポジティブに捉えて今は家でゆっくり過ごしましょう。筆者も今日の仕事が終わったらゲームをして映画を見ようと思います。
※UPDATE(2020/03/31 10:16):見出し及び本文の「戦車」表記を修正しました。なお、しょっぴかれるため軍用車両の写真撮影はできませんでした。