今回は「『あつまれ どうぶつの森』強化キャンペーン」と題して、「語学留学」よりもさらに踏み込んだ名前の由来や“Impressive phrase”、印象的な台詞から英語ローカライズならではの面白さを紹介していきます。
4月はイースター、復活祭の季節です。『あつまれ どうぶつの森』でもイースターエッグ探しが開催されていますね。様々なゲームでも、これにちなんだイベントが催されています。卵はキリストの復活、ウサギは幸運と多産のシンボル。長く厳しい冬が終わり、再び命が溢れる春の訪れを祝うお祭りです。新しい四季の始まりを感じながら新年度をスタートしましょう。
練習問題の解答
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先週の問題は「ホモ・ルーデンス」についてでした。日本語においては「暴力や法律や規範ではなく、遊びによって人々をひとつにし、文化を創り、世界を創造する」とあります。ですが、英語版には“but rather through metaphorical acts of play”という記述が加えられていました。遊びの具体的な力、「遊びにおける『見立て』によって」と説明されています。
住人紹介序盤編:意味が分かればもっと楽しい!
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■Tom Nook
何かにつけて金を要求してくるTom Nook社長。しばらくしてTimmyとTommyが開くたぬき商店の看板も言語を切り替えると「Nook’s Cranny」となっています。実は「Cranny」は商店ではなく、岩の割れ目を指す言葉です。これだけで意味が通じませんが、これは“Every nook and cranny”という熟語に由来します。物陰から隙間まで、つまり「隅々まで」という成句なのです。隙あらば商売にするたぬきちの座右の銘なのでしょうか。
Impression phrase:We‘ll rush over in two swishes of a raccoon’s tail.
カウンターに座ったら「しっぽを振って」駆けつけますよ! という「喜んで!」をどうぶつ的最上級の表現にしています。あちらにはタヌキがいないので「raccoon」、アライグマということになっているんですね。こういったどうぶつ的な表現は他にも「hand」を「paw」に言い換えるなどがあります。
■Timmy/Tommy
Tom Nookと比べると押しつけがましくなく、フレンドリーかつ丁寧な接客ですね。キャビンアテンダントや百貨店の店員のように、教科書のお手本のようなビジネス英語なので、ここでのやりとりを覚えれば、実際のお店でも通じる英語が身につけられるでしょう。
Impressive phrase:Please don‘t hesitate to ask me for assistance.
「何かありましたらお気軽にお申し付けください」という決まり文句。ビジネスメールの締め言葉にもよく使われるので、覚えておいて損はないでしょう。他にも“What exactly are you offering?”“Excellent purchase!”など頻出の決まり文句を多く使ってきます。「押し売り」のようなTom Nookと違って安心してお買い物が出来そうです。
■Wilbur/Orville
無人島における“One and Only”、唯一無二の玄関口であるドードーエアラインズ。彼らの名は飛行機開発で有名なライト兄弟に由来します。実験時のパイロットがWilbur、地上支援がOrvilleという関係性もそのままで、ドードーエアラインの職にふさわしいネーミングですね。日本語の「モーリー」「ロドリー」はドードーの生息地「モーリシャス島」「ロドリゲス島」およびそれに由来する種族名より。
Impressive phrase:Lifting off November Oscar Whisker.
離島から帰還するときのWilburの言葉ですが、これは「フォネティックコード」という無線で聞き間違いを防ぐための符号です。軍事色の強い『戦場のヴァルキュリア』でも使われていますね。この場合「November」「Oscar」「Whisker」の頭文字、つまり“Lifting off NOW!”ということです。別の場面では“Delta Oscar Delta Oscar is go”と言っていますが、もうお分かりですね?
■Gulliver
しょっちゅう浜辺に打ち上げられている「ジョニー」は、カモメのGullとガリバー旅行記にかけた「Gulliver」と言う名前。ガリバー旅行記でも何度も漂着するので、こちらの方がお似合いかもしれません。「ジョニー」というとなぜか船乗りっぽく感じるのですが、恐らく船歌に適当な人名「Johnny」がよく使われるからでしょう。『アサシン クリード4 ブラック フラッグ』でも「Leave her, Johnny」という船歌が登場します。
Impressive phrase:Sail, fail, wash up and tell the tale.
日本語だとガイジンっぽい口調ですが、こちらは畳み掛けるような言葉遊びの連続で、日本語にはない面白さがあります。細かい意味は考えず、声に出して読んでみるとその楽しさがわかると思います。覚えておきたい単語集:採取できる生き物あれこれ
生物図鑑に登録される虫と魚だけでも合計160種、化石や貝を含めれば200種類以上、季節限定もあるのでコンプリートをするのは一年がかりになりそうです。身近な生き物を英語で表現できるよう、何度も捕まえて覚えましょう。
- Pill bug:ダンゴムシ
- Dragonfly:トンボ
- Lady bug:テントウムシ
- Tiger beetle:ハンミョウ
- Citrus long-horned beetle:ゴマダラカミキリ
- Dab:カレイ
- Olive flounder:ヒラメ
- Red snapper:タイ
- Barred knifejaw:イシダイ
練習問題:以下の英語ダジャレを翻訳しなさい。
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・I caught an old tire! I sure am tired of that!
ローカライズ担当者を常に悩ませるダジャレ。『あつまれ どうぶつの森』では捕獲ジョークの内容が言語によって大きく変わっています。読者の皆様も腕試しにいかがですか? 今回の練習問題は「タイヤ」です。「飽きた」という意味の「tired」をどうするかがポイントで、これをどう上手く処理するのかがセンスの使いどころですね。
※UPDATE(2020/04/13 17:48):本文を一部修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございました。