『ゲームで英語漬け:Game*Spark的学習術』第7回は、先日発売された『バイオハザード RE:3』を取り上げます。昨今のゾンビブームに対して、その出発点である「バイオハザードここにあり」と宣言するように、陰影によって映像的演出が強化されたリメイクは「サバイバルホラー」としての魅力を本シリーズに取り戻しました。ハンドガンを握りしめて廃墟を歩く、映画の主人公になった気分を存分に味わうためにも、是非一度英語切り替えでプレイしてみませんか?
練習問題の解説
回答例「タイヤを釣り上げた! いい加減うざっタイヤ!」
ダジャレを訳すときに問われるのは、日本語の言い換えをどれだけ持っているか。翻訳は英語の読解力だけでなく、日本語の語彙力も備えなくてはなりません。今回の引っかかりである“tired of”は、「飽きる」「うんざりする」と訳せますが、ダジャレはここからさらに「タイヤ」に引っかかる言葉を探す必要があります。
Let’s play in English:非常事態の命綱! 指示・要請を聞き逃すな
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ハリウッド映画のような演出が随所に見られるだけあって、英語版も終始王道ホラーの調子で進みます。無線通信では目的地などの情報をやりとりするので、どこに行って何をすればいいのか、聞き漏らさないように気をつけましょう。UIも英語表記になると別のフォントに変わり、ファイルでは重要な語句がハイライトされるので、仕掛けに必要な情報はそこだけ押さえておけば大丈夫です。ちなみにミハイルさんはしっかりロシア風の喋りでした。
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『バイオハザード レジスタンス』では、サバイバー側の字幕が表示されません。マスターマインドの嫌らしいつぶやきに上書きされてしまいます。重要なものは左上にも表示されますが、チームワークが攻略の鍵となるだけに、乱戦の時には耳だけでも理解できるように気をつけましょう。
ローカライズを味わう:Fワード解禁! 地獄を生き抜く強がりの英語
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普段はあまり行儀の良くない言葉とされる「FxxK」ですが、パニックホラーではむしろ積極的に使っても誰もとがめません。絶体絶命のピンチにこそ「Fuck」を連発して自らを奮い立たせるのです。単発で「Fuck」を使うのはもちろんですが、“Get the fuck out!”(とっとと失せろ!)のように文中で名詞に当たる部分へ「The Fuck」を、ジルの台詞のように形容詞的な「Fucking」をどんな場面でも挟み込めるので、口の悪さを示すのに結構便利な言葉です。
日本語では「今度こそ仕留めてやる」となっているこの場面。“Take the hint”単体では「空気を読め」、あるいは転じて「いい加減帰れ」と言う意味になりますが、とどめを刺すところなので決め台詞的に「fucking」が挿入されています。再訳するならば「今度こそくたばれ!」くらいの罵りになるでしょう。
他にも“Damn it” “What the hell?”など、日常では使えないものもここぞとばかりに登場します。“Son of a bitch!”は「ゲス野郎」ぐらいの強烈な罵りなので、言ったが最後絶交もしくは撃ち殺されても文句は言えません。本気で頭にきたという意思表示にはなりますが、人間関係を破壊したくなければ封印した方が無難でしょう。
どっちが好み? 歩くゾンビと走るゾンビ
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ゾンビものにおいて歩くか走るかの違いは、ただ単にヘッドショットしやすいと言うだけではありません。映画ファンでも常に論争が起きるように、「どのような怖さを演出したいのか」が問題になるためです。
映画において「歩く」「走る」の代表作は「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」と「28日後……」ですが、ゲームでは『バイオハザード』と『Left 4 Dead』でしょう。『L4D』が構築した「Co-opチームで素早いゾンビの大群を退ける」というスタイルは一世を風靡し、現在も冷めないゾンビブームの火付け役となりました。重火器を途切れず撃ち続けて活路を切り開くのは、アクションゲームとしては面白くなるのですが、「ホラーモンスターとしてのゾンビ」の特性は薄れてしまいました。一度に襲ってくる数が増えていくに従って1体ごとの命は軽くなり、結局動く的に成り下がったのではないか、と言う批判も出てきます。
『バイオハザード』もアクション重視にシリーズを重ねていましたが、『バイオハザード2(1998)』のテレビCMをジョージ・A・ロメロ監督に依頼したり、映画「ゾンビ」のオマージュとなる『デッドライジング』を制作するなど、カプコンはホラー映画を強く意識しています。『L4D』以降の「走るゾンビ」に対抗するように、『バイオハザード リベレーションズ』『バイオハザード7 レジデント イービル』で「歩くゾンビ」の魅力を再びゲームへ甦らせたのです。
稲川淳二メソッドのように、ホラーというのは単純にジャンプスケアを与えるだけではありません。未知への恐怖、疑心暗鬼、非力な自分――恐れや怯えを驚きでかき消さないのが肝要です。ヘッドショットで死なない「歩くゾンビ」は、その遅さから来る圧迫感と得体の知れなさで恐怖を生みだします。
そしてリメイク作『RE:2』『RE:3』でシネマティックな演出をふんだんに取り入れ、まさしく「ホラー映画の中にプレイヤーが立つ」ことを実現しました。『RE:3』では映画のポスターで分かるように、「ターミネーター」「エイリアン」といったSFモンスターとの戦いを取り入れています。リプリーやサラ・コナーの系譜を受け継いだ我らがジル・バレンタイン、彼女が満身創痍で廃墟を歩く姿はホラー映画の王道そのものです。「ホラーゲーム」として新たな道を歩み出した『バイオハザード』シリーズ。次作はどんな恐怖を描くのか楽しみですね。
今週のキーフレーズ:No Zombies were harmed in the making of this game.
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『レジスタンス』の待ち時間で様々なTipsが読めるのですが、その中に紛れているジョークです。これは映画のエンドロールなどで、撮影中に動物を傷つけていないと声明を入れる“No animals were harmed in the making of this movie”のパロディとなっています。ゾンビになっている時点で人が死んではいるのですが……細かいことは気にしないでおきましょう。
覚えておきたい英単語集:サバイバルの基礎英語
- First-Aid:応急処置
- Explosive:爆発性
- Firearm:重火器
- Combine:組み合わせる
- Experiment:実験
- Sewer:下水道
- Virus:ウイルス
- Vaccine:ワクチン
- R.P.D.:Raccoon Police Department
- S.T.A.R.S.:Special Tactics And Rescue Service
練習問題:以下の英文を翻訳しなさい。
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Jill:I don’t mind a little detective work.
追跡者との死闘の後、脱出するラストシーンでの一言。これ以上真相を探る時間は無いと、吐き捨てるように言ってヘリに乗り込みました。疲れ切ってうんざりする調子も含めて、締めの決め台詞を訳してみましょう。