遅くまでの残業、上司からの無理難題、顧客の機嫌取り。日々の仕事の繰り返しではストレスを感じる場面も少なくありません。そんな一日の終わりには気分を変えて飲み歩いたり、趣味に没頭したりとすることでしょう。
本作の主人公も仕事で嫌な事があった後リフレッシュするため、新しくオープンしたというゴルフリゾートに訪れます。鳥がさえずり、南国のような雰囲気の中で気持ちよくゴルフを楽しめます。しかし、どこか感じる違和感。そして起こる怪奇現象の数々……。本記事ではそんな出だしで始まる、Frozen Helmのサバイバルゴルフホラー『Gone Golfing』のプレイレポをお届けします。
本作のジャンルは一人称ゴルフゲーム。しかしただのゴルフゲームではなくホラー要素を併せ持ったユニークな作品となっており、80年代のスラッシャー映画とラヴクラフトを組み合わせたシュールな世界感が特徴です。この説明だけでは内容がわからないと思うので、さっそくプレイしてみましょう。
『Gone Golfing』の実内容に迫る!
ゲームを開始しゴルフ場に到着。看板を見ると、どうやら「COZY COVE(居心地の良い入江)」という名前のゴルフリゾートらしいです。ヤシの木が立ち並び、入江という名前からどこか南国の海の近くなのでしょうか。
近くにあった張り紙によると、ここには13のコースがあり32打以下で終えれば何か特典があるようです。ここで筆者のゴルフ歴を説明しておくと実際のプレイは全くの未経験で、唯一、ゲームキューブで発売された『マリオゴルフ ファミリーツアー』を遊んだことがある程度でしょうか。とりあえずホールインワン狙えばいいんでしょ、くらいのイメージです。
さっそく1番コースから行ってみましょう。本作のそれぞれのコースは非常に短い作りとなっており、フルスイングで吹っ飛ばすというよりいかに障害物を避けて少ない打数でクリアするかが求められます。スタート地点の板の部分にインタラクトするとボールを設置できます。また、ミスショットをしてしまった場合でも穴に落ちてさえいなければ何度でもやり直せるので初心者にも優しい作りです。
1番コースを3打で終え、その後2番、3番コースもクリアしました。すると、近くの小屋の扉が開きました。先ほどまでは施錠されていたので、コースをクリアしていくと何かしらの要素が解放されていくようですね。中を覗いてみると中にはさらに扉があり、その先はネザーゲートのように蠢いています。誘われるように扉をくぐると、南国の雰囲気とは打って変わった薄気味悪い空間が広がっていました……。
ここまでは平和なゴルフゲームの様相を呈していましたが、ようやくホラーゲームっぽくなってきました。 恐る恐る歩を進めると、ここはどこかの会社の中だということが分かってきます。しかしあたりに自分以外の人の気配はせず、静寂があたりを支配しています。しばらく探索していて気づいてしまったのですが、そこかしこに設置されている人がひとり入れるくらいの大きさのロッカー。これはもうアレですね……。
そしてついにヤツが姿を現します。背後から突然聞こえてくる足音。振り返るとそこには……。
なんだコイツ!?!?
とっさに近場のロッカーに飛び込みましたが、時すでに遅し。姿を見られていたため、ロッカーの扉を開けられ右手に持つゴルフクラブを振りかざしひと振り。画面が赤く染まりました……。
ホラーゲームの中にも様々な種類があります。雰囲気で精神的に感じる怖さのものや、突然の音や場面転換で驚かせてくるビックリ系。そして本作は得体の知れないものに追われる系ホラーゲームなのです。常に何かが迫って来る恐怖、最高ですよね…いやほんとに……。気になるヤツの正体ですが、実写版スパくんやバレーボール大会のマスコットではなく本作のクレイジーゴルフマスコット(公式)です。
ちなみに「ゴルフ マスコット」で検索すると、ゴルフボールに顔があり手足が生えたかわいいキャラクターが色々と出てきます。まったく似ても似つかないですが。
このボールマスコットは辺りを彷徨い、プレイヤーを見つけ次第追いかけてきます。いちはやくこの恐ろしい場所を脱出するべく、手がかりを探しましょう。出来る事ならロッカーから出たくないですが…。
見つからない為にしゃがみ歩きでビクビクしながら進んでいると、意外なものを発見。なんと、ゴルフリゾートの続きとなる4番ホールが設置されていました。
しかし、ホールは段差の上にありこのままではボールを運べそうにありません。目の前には持ち上がったスロープと、壁にはレバーがないスイッチ。どうやらこの仕組みを解かないと4番ホールはクリアできないようです。
本作には謎解き要素や様々なギミックが仕組まれています。序盤こそ普通にゴルフを楽しむだけでしたが、ここに来てパズルゲームのようにもなってきました。ステージを進めるには必要なアイテムを拾得しギミックを作動させなければなりません。今回の場合はどこかにあるはずのレバーを探します。
また、ステージの各所にはメモ(英語)が置いてあり、謎解きのヒントになるようなメモもあるので注意深く目を通してみてもいいでしょう。
レバーを見つけさっそく作動させると予想通りスロープが下がりました。これでようやく4番コースを攻略できるのですが注意しなければいけないことがあります。そう、ヤツの存在です。このステージにいる限りヤツは追ってきます。それはゴルフ中でも例外ではありません。そのため本作は、敵に追われながらパズルを解きゴルフもする非常に忙しいゲームとなっています。
出来るだけ少ない打数でクリアしたいところでしたが、ゆっくりと狙ってもいられないのでとりあえず前に前にと打ちます。なんとか4番ホールをクリア。そして次は別の場所で5番ホールを見つけました。5番ホールは高い場所にあり、リフトを使って移動するコースのようです。普通のゴルフゲームではないような一風変わったコースが楽しめるのもいいですね。追われてさえいなければ……。
5番ホールもクリアするとステージ奥の扉が開いたようです。中に入ってみると、そこはどこか社長室のような場所で壁には不気味な絵画が飾られていました。
この部屋の奥にはさらに扉があり、部屋のパズルを解くと開きそうです。今回はネタバレになってしまうため謎解き部分は省略します。
部屋にあるヒントのメモを頼りに謎を解くと最後の扉が開きました。そして、その扉の先には先程までいたゴルフリゾートが広がっていました。やっと帰って来れたと安堵したのも束の間、遠くには見覚えのある姿が……。
今回のプレイでは全13ホール中、5ホールまでのプレイでした。ゴルフの操作はマウスを振る速度や幅、また角度によっても飛び方が変わるため思った以上にやりごたえがありました。しかしまともにゴルフゲームとしてプレイできる場面は少なく、打っては隠れての繰り返しが少しもどかしく感じることもありました。もちろん、打数を気にしなければ適当に打っていればいつかは穴に入るので見つからないことだけ気をつければいいでしょう。
また、ゲームの中盤からはラヴクラフトの要素も多く登場します。どこか夢の中のようなシュールな光景がプレイ後もしばらく頭を離れなくなりました。
パズル要素は程よい難易度で、英語によるメモのヒントもありますが、読めない場合でも直感でクリアできるだろうレベル。クリアまでもトータルスコアにこだわらなければ数時間でプレイできてちょうどいいボリュームです。マルチエンディングが採用されているようなので周回して世界観に浸ってみるのもいいでしょう。
『Gone Golfing』はSteamにて520円(11月12日まで416円)で配信中です。ゴルフボールを打つ際は、ゴルフボールに打たれないようにくれぐれもご注意ください。