前振り
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あけましておめでとうございますから、あっという間に三月も下旬に差し掛かりました。時の流れは早いものですね。街では、新生活や新社会人応援セール!なんて文字をあちこちでみかけます。
若い時分、社会の大海原に自信満々で漕ぎ出したものの、乗っていた小舟は荒波に一瞬で飲まれて大破。以降は、世間一般の皆々様が歩まれるルートから大分離れた場所で、今日も必死に犬かきしてる……そんな筆者が、今回の記事では、新生活や新社会人を迎える皆様にふさわしい、息抜きゲームタイトルを紹介してまいります。新しい環境に慣れようと、無理してずっとずっとずーっと頑張っていると、急に糸が切れてガックリ力尽きてしまいます。時には、ゲームをプレイするなどして気分転換も必要なのです。
いやどんな前振りだよいうツッコミを、空と海が溶け合う水平線の彼方へこだまさせながら、早速やってまいりましょう。
7 Billion Humans
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社員、幸福は義務です。「限界極まった会社の、モーレツ社員(?)に指示を出していく」という世界観で進む本作は、ステージクリア型で進行するパズルゲーム。前作の『Human Resource Machine』同様、プログラミング要素がパズルを解く鍵になっています。初心者にもわかりやすい作りになっており、何度か思考錯誤をすることで、徐々に仕組みの理解が深まるレベルデザインが秀逸。これから新社会人として働き始める方は、本作を通じて「自分が居なくても仕事は回るから、自分が無理して限界まで働く必要は無い」ということを早めに気づいてもらえたら幸いです。
The Stanley Parable
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一方でこちらは、「自分が納得できない指示は絶対に聞きたくないで御座る」という精神に溢れた新入社員におすすめのタイトル。本作の主人公であるStanleyはうだつの上がらない会社員。彼をFPSスタイルで操作して進行していくのですが、こちらを誘導するナレーションボイスに従うか、抗うかで、結末が分かれるマルチエンディングというのが、非常に斬新で面白いです。ネタバレになってしまうので、詳細は明かせないのですが、是非プレイをおすすめします。
Mad Games Tycoon 2
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「じゃあもういっそ自分が経営者になったるわい!」という方向に進まれる方におすすめなのはこちらの早期アクセスタイトル。ゲーム会社を起ち上げ、業界黎明期から現代まで時代を追いながら、開発と経営をこなしていくシミュレーションゲームです。本作の面白いところは、実際にオフィスの内装や使用機材を選ぶところから決めることができる点。それらを疎かにすると、従業員のやる気や、仕事の効率に影響が出るので、売り上げは設備に投資して、さらに高水準のゲームを開発していく……というタイプの経営シムを楽しめます。なお21年3月15日のアップデートで、日本語にも対応しました。
911 Operator
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こちらは、緊急事態に陥った現場からの電話を受けて判断を下し、指示を出していくオペレーターを体験できるゲーム。時には、ピザの注文や酔っ払いによるイタズラ電話もくるので、「こちとら真面目に働いとるんじゃが!」と通話を切りたくなりますが、よく聞くと、「近くにいる加害者に、通報だとバレないように」被害者が内容を装っていることもあるので要注意。タイムプレッシャーの中で正確な判断が要求されるスリルは、凄まじいものがあります。
Lemon Cake
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わたし、スパ君!将来の夢はケーキ屋さん!……ワンオペじゃない限り。本作は、キャラクターを操作して、パン屋さんを経営するゲーム。可愛らしいゆるふわ世界……と見せかけて、実際はパンの素材集め、仕込み、焼き、品出し、接客、清掃といった作業をすべて一人でやらなくてはなりません。しかもどんどん忙しくなっていくため、キーボード操作中にしばしば指が絡まって、つりそうになるほど怒涛の勢いで働きました。おかしい、世界観に癒されるはずが、誰よりも命がけで働いている……。
Recettear: An Item Shop's Tale
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ケーキ屋さんに対して、こちらはアイテム屋さん。開幕早々、雑に借金を背負うあたり、こちらも可愛らしいキャラクターデザインとは裏腹にシビアな世界観に面食らいます。ダンジョン攻略といった冒険RPG要素もありますが、あくまでメインは店を切り盛りするところが個人的に大好き。比較的古い年代の作品ではあるものの、今遊んでも充分に面白いプレイ体験が味わえます。
Papers, Please
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「アルストツカに栄光あれ」を標語に、低賃金の入国審査官として働くゲーム。入国希望者が提出する書類に不備がないかどうか、目を皿にして隅々まで調べてハンコを押す。ただそれだけのシンプルなゲームですが、まじめに働くほど、国家と共に末路に向かってレッツゴーと貧乏くじ、かといってワイロ上等で袖の下ばかり受け取っていると、それはそれでしょっぴかれる人生の袋小路です。本作をプレイすることで、社会における身の振り方と、キャリアの積み方について洞察する力が磨かれることでしょう。「よう!おれだ!」のおっさんが、まさか作中で唯一の癒しになるとは……。
Please, Don’t Touch Anything
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押すなよ!絶対に押すなよ!(ポチ)……本作は、余計なことをしたがために「あーもう、どうしたらいいのよこれ」という悲喜こもごもなプレイ体験を楽しめる独特な作品。気を利かせて、ただボタンを押しただけなのに、どうしてこんなことに……というツッコミを何度したかわかりません。いやボタン押すなよと言われたのだから、素直に従って押さなければ良いだけなのですが……。
VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action
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本作は、サイバーパンク溢れる街の一角にあるバーで、特徴的な背景を持った魅力あふれる登場人物たちに、バーテンとしてアルコールを振る舞い会話を楽しむテキストアドベンチャー。原材料を選んで、レシピ通りの分量を守り、シェイカーを振ることでカクテルを作るシステムが面白いですね。また何より、ゲーム全体を通して「生きること」について、様々な視点からライトが当てられるので、仕事漬けの毎日にふと疑問を持って、少し立ち止まった人には深く刺さるのではないかな、個人的に思います。あとセイが可愛い。
Cloudpunk
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サイバーパンク繋がりでもうひとつ。本作は、ボクセルアートで表現された世界で、様々な荷物を、これまた多種多様な人々にお届けする、違法配送会社のドライバーとして働きます。単純に、美しい夜の街並みをドライブ(ホバー)して流すだけでも十分に楽しい。アンドロイドやAIといった人々の交流が、物語全体を通して、「働くこと」と「生きること」というテーマに繋がっていくのも、また面白いですね。
陶芸マスター
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早期アクセスタイトルの本作では、陶芸家となって様々な作品を作り出し、展示会を開いては名を上げていきましょう。洒落た工房で、実際に素材を選び、ろくろを回して形を整え、焼き上げ、絵付けをしていく芸術的な作業が非常に楽しい。本作唯一の疑問は、どうして皆さんまず最初にご立派様を作り始めるのでしょうか。筆者もぶっとく黒光りするそれを焼き上げましたが!
Stardew Valley
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ああ……新天地でカブを植えたい……土を弄りたい……よろしい、『ルーンファクトリーシリーズ』をやりましょう、じゃなかった本作を遊びましょう。こちらは、言ってしまえば『牧場物語』シリーズ系のシステムに則ったゲームです。四季の流れの乗って畑を耕し、クラフトしつつ、ダンジョンでモンスターを倒し、イベントを通して住人と交流し結婚、子どもを授かるといった一連の要素を楽しむことができます。
天穂のサクナヒメ
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土いじりへの欲求がまだ収まらない?よろしい、本作で徹底的な土壌管理をしつつ、スタイリッシュ農具アクションを楽しみましょう。本作は、アクションゲームではあるのですが、主人公であるサクナヒメの強さは、すべて農作物の質に基づいています。そのため、敵を倒してレベルアップ……ではなく、畑で米を育ててパワーアップしていきます。まさにキャッチコピー「米は力だ」なのです。いやじゃ……絶対働きとうない……という駄々っ子だったおひいさまが、農作業を通じて成長し、いつの間にか頼れるオカンめいた存在になっていくのが実に素敵。
theHunter: Call of the Wild
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あー……もう都会であくせく働くのはもうだめだ耐えられない……そんな方は、いっそのこと大自然に帰ってみる、というのもどうでしょう。猟銃もありますし、手慰みに何かを撃って気分転換と洒落込もうではありませんか(映画「アメリカンスナイパー」的な不穏な引きの空気を出しつつ)。冗談はともかく、本作は大自然と呼吸を合わせて、ハンティングを楽しむことができるFPS。むやみやたらに銃を撃つのではなく、獲物の痕跡を探し、適切な判断と予測で行動を割り出し、一発で仕留めることを目指します。
おわりに
新しい生活や、新しい仕事は、始めたばかりの頃は何かと大変です。ときには、希望を持って飛び込んだものの、現実との差によって、心が壊れてただの機械になったり、癒しを求めて自然に戻りたくなったりします。今回の特集でタイトルを紹介しながら、筆者は、皆様が限界を迎えてしまう前に、ちょっとした気分転換や、立ち止まって振り返るキッカケになれば良いな……と、願ってやみません。大きなお世話であることは承知しておりますが!