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「中華ゲーム見聞録」第88回目は、ホラー要素とタイムリープ要素のある謎解きサスペンスアドベンチャーゲーム『ザ・クロノ・ジョッター(回溯依存)』をお届けします。
本作はOrca Layoutが開発し、同社と2P Gamesによって2021年8月26日にSteamで配信されました。Orca Layoutは、吃貨紅毛氏と鬼菌氏の2名で構成されたインディーデベロッパーです。もともと本作は吃貨紅毛氏が空き時間を使って一人で開発していたのですが、思ったより出来が良かったことからゲームに合うグラフィックを描ける人物を探していたところ、鬼菌氏が見つかったそうです。
本作は「日本スタイルのADV」とのことで、登場人物は全員日本人の名前になっています。これは以前紹介したミステリーADVの『One-Way Ticket / 単程票』や『端木斐 VS 小林正雪』でも日本人名が使われており、中国では「ADV=日本」のような認識ですね。
本作は上の動画でもわかるように、日本語もサポートされる予定です(英語もサポート対象)。ただ、現在は中国語(簡体字)のみなので、今回は中国語でのプレイとなります。一体どのようなゲームなのか、さっそくプレイしていきましょう!
まずはパラメータから!
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本作は中国語版のADV作成ソフト「吉里吉里」で開発されているため、日本版Windowsでは起動しません。Windowsのシステムロケールで地域を「中国」にして、PCを再起動させる必要があります。以前プレイしたミステリーADV『七人殺陣(Seven Sacrifices)』でも同じことがありましたね。
ゲームはどこかの閉ざされた暗闇の中で、主人公の伊吹蘭が倒れているシーンから始まります。ただ、視点は伊吹蘭ではなく彼女を見ている「何者か」のようですね。画面右下の本の形をしたアイコンをクリックすると、「伊吹蘭はまだ私を見つけていない」とのテキストが出てきます。
Steamのストアページには「伊吹蘭は4年前に行方不明になった佐倉安を探している」とのことが書いてあるので、佐倉安の視点かもしれません。ここで伊吹蘭を「呼び起こす」か「起きるまで待つ」かの選択肢。起きるまで待ってみましょうか。
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伊吹蘭は制服の冬服を着ており、冷たい床の上で震えています。目を覚ますとスマホのライトで、持っていた手帳を照らしました。時代は「平成末期」で、ホラー系テーブルトークRPGのように「洞察3、技能3、魅力3」とステータスが書かれていますね。
また特性として「精神分裂症」「精神へのプレッシャーが大きくなると、強烈な幻覚症状を引き起こす」とのことなので、先程無理に起こさなくてよかったのかもしれません。現在、部分的な記憶喪失になっているようです。
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ゲーム中は、前述した本のアイコンをクリックすることで手帳を見られます。現在の状況や目的などが確認できますので、うまく利用するといいでしょう。いまは友人の佐倉安を探すことが第一目的になっていますね。
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ここから「回想」が行われますが、性格診断のような選択肢が出てきます。「朝起きたら死体が転がっていた。どうする?」「恋人が屋上で自殺しようとしていた。どうする?」みたいな内容ですね。
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適当に答えていった結果、「洞察6、技能3、魅力3」に変化しました。パラメータ決定の質問だったようです。やり直しもできますが、このまま行きましょう。それぞれのパラメータですが、「洞察」は状況判断や観察力、「技能」は技術や危機を切り抜ける能力、「魅力」は人を魅了したり懐柔する力です。
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スマホの壁紙には伊吹蘭(右側)の他に、もう一人の女性が写っています。彼女が4年前に失踪した佐倉安で、伊吹蘭とは恋人関係とのこと。同性恋愛のようですね。記憶が曖昧な状態ですが、佐倉安のことは忘れていないようです。とにかくこの場から脱出しましょう。
夜の旧校舎を探索!
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伊吹蘭のいた場所は地下室だったようです。外へ出ると、そこはどこかの木造建築の廊下。右手には教室らしき部屋につながるドアが並んでいます。どうやら校舎内のようですが、伊吹蘭にはこの学校に関する記憶が無いようです。
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ここで「洞察」チェックが入りました。2以上なら成功とのこと。足りない場合は、ストックされている「臨時点数」を消費することで能力を+1できます。現在「洞察」は6あるので、余裕でチェッククリアです。
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先程の地下室に戻ろうとしましたが、なぜか消滅していました。マップ画面では、行きたい場所や調べたい場所をクリックすることで移動や調査が行えます。また、左の伊吹蘭の立ち絵にカーソルを合わせると、現在の状況に対する感想を述べてくれます。
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教室に入って中を調べてみます。7つの机の中に教科書が入っていたので、少なくとも7人の生徒がここで勉強をしていたのかもしれません。また、教科書は日本の出版社のものですが、なぜか中国語で書かれているとのこと。現在の状況と関係があるのでしょうか。
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廊下の階段は崩れていて、「技能」が7以上ないと通れません。いったん諦めて廊下の奥へ向かいました。そこには下駄箱があり、校舎の外へ出られるようです。
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校舎の外に出て体育館、数学楼、校門を調べてみましたが、特にこれといった手掛かりは無し。人の姿もありません。暗闇の中で動き回るのは危険なので、朝を待つために休める場所を探すことにしました。
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校庭の奥へ向かうと宿舎らしき西洋式の建物を発見。明かりがついているので、人がいるかもしれませんね。罠のような気もしますが、乗り込んでみましょう。
ファーストコンタクト!
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謎の建物の内部。とりあえず中に入ってみたはいいものの、伊吹蘭を地下室に閉じ込めた人物がここにいるかもしれません。いなかったとしても、こんな夜中に知らない人が入ってきたら泥棒扱いされてしまうでしょう。
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どうすべきか悩んでいると、セーラー服姿の女子生徒が現れました。当然のように怪しまれ、誰なのか聞かれます。「魅力」が6以上あれば懐柔できそうですが、足りません。「洞察」4で「彼女の蛇型腕輪のことを聞く」を選びましたが、「質問しているのはこっち」と言われました。
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それと、目の前の少女が話している言葉が「中国語」であることに気付きました。伊吹蘭も中国語を話しており、「中国語を話す者同士だから、私のことは林欣蘭と呼んでいい」と言います。実は中国人?登場人物の名前が日本人名になっているのは、ストーリーとつながりがあるのかもしれません。
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しかし目の前の少女は「私は中国語をしゃべれないし、あなたは日本語を話している」と答えます。伊吹蘭は訳がわからなくなり、「逆に日本語をしゃべってみたらどうなるか」を試すため、「これこそ日本語ではないでしょうか」と言います。テキストが日本語になっていますね。
しかし口から発せられた言葉は、やはり中国語になっていたようです。先程の教室で、日本の教科書がすべて中国語になっていたのとも関係があるのでしょうか。
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目の前の少女は「夜野彩」と名乗りました。新たな人物と出会うと、そのことが手帳に記載されます。ステータスも設定されていますね。「水泳が好き」とのことで、ステータスの「技能」も7と高めです。
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夜野彩は伊吹蘭を気の毒に思ったのか、「私の部屋に泊まってもいい」と言いました。宿舎は2人一部屋なのですが、夜野彩は一人で一部屋なので、ベッドが空いているとのこと。ここはお言葉に甘えて泊めてもらい、朝を待つことにしましょう。
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ずっと夜の世界かと思いきや、ちゃんと夜が明けました。洗面所へ行くと見知らぬ少女がいます。袴姿ですが、彼女も中国語をしゃべっていますね。知らない人(伊吹蘭)が宿舎にいるのを見て驚いています。
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袴姿の少女は「犬童玉」。おとなしい性格で、人に好かれやすいのか「魅力」は7。夜野彩に伊吹蘭の世話を任されたので、歯磨き用具を持ってきてくれました。
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犬童玉は伊吹蘭を学校まで案内してくれました。この学校には犬童玉を含めて7人の生徒がいますが、なぜか教師はいません。伊吹蘭はここから去りたい旨を伝えますが、「町までの道は事故によって、岩で塞がれてしまって通れない」といいます。
しかもその事故は、一年前に発生したそうです。そうなると、犬童玉たちは一年もこの学校にいることになりますね。しかし犬童玉はそれを不思議に思わず生活しており、食べ物もどこからか供給されているとのことです。
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犬童玉についていき、校内に入ります。犬童玉のケータイに友人からのショートメールが届きました。電波が届いているようですが、伊吹蘭のスマホは無信号状態になっています。犬童玉のケータイを見せてもらいましたが、やはり無信号状態でした。なぜ使えるのか聞いても、「ケータイに詳しくないのでよくわからない」と返されるだけです。
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教室に入ると2人の少女が登場。右は戸山綾で、伊吹蘭を普通に新入生として受け入れています。一方、左の竹井美穂は伊吹蘭にあまり興味が無いようです。それと少女たちは、みんな制服が違いますね。ただ、黒と赤という色の組み合わせは統一されています。
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先程、犬童玉にショートメールを送った朝倉真が登場。長身の少女で、犬童玉に慕われています。画面右にある吹き出しは、周囲にいる登場人物たちの会話が同時進行で行われているのを表しています。挨拶だったり雑談だったりと、それぞれが思い思いにおしゃべりをしていますね。
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クラス委員長の小泉日向。この学校から抜け出す方法を聞いても、「道が塞がれているので通れない」としか答えてくれません。これで6人の少女が登場しましたが、残りの1人が現れません。
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「この時間に来ないのなら、殺されているね」「プール行った時に佐倉の姿を見たから、死体はその辺りじゃない?」「だったら、この6人の中の誰かが殺人犯だな」と、少女たちは日常会話のように不穏な話を始めました。最後の一人は「佐倉安」。伊吹蘭の恋人と同じ名前です。
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確認のためプールへ向かう少女たち。伊吹蘭は、「佐倉安」が自分の探している恋人ではないかと思い、少女たちに付いていきます。そして、そこで見たものは……!続きはぜひ自身の目で確かめてみてください。
閉鎖空間でのタイムリープミステリー
本作は登場人物が日本人名ですが、前述したように伊吹蘭は中国語をしゃべっています。また、他の登場人物も日本語だと思って中国語を話していること、日本の教科書なのに中国語で書かれていることなどから、「とりあえず日本名にした」というわけではなく、ストーリーに絡んだ理由があるようですね。それと登場人物全員にパラメータがある辺り、ホラー系のTRPGをプレイしているような感覚です。
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今回は紹介しきれませんでしたが、本作のもう一つの特徴として、手帳を使って過去に遡ることができます。例えば「プールで佐倉安を見た」と言ったのは夜野彩なので、朝の洗面所の場面まで戻り、「夜野彩とともにプールへ行った」という別の未来を追体験ができます。ただ、あくまで「別の未来の追体験」なので、現実で起こった事件は変わりません。過去から手掛かりを集め、現在の事件を解く必要があります。
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推理パートでは、集めた手掛かりを基に事件を推理する必要があり、事件解決によって次の章へ進めます。現在は中国語サポートのみで中国語Windowsでしか起動できないという問題もあるため、日本語サポートを待った方がいいかもしれません。ホラーテイスト(ついでに百合要素)のあるミステリーが好きな方は、ぜひ本作をプレイしてみてください。
製品情報
開発・販売:P Games, Orca Layout
対象OS:Windows
通常価格:1,200円
サポート言語:中国語(簡体字)、英語・日本語もサポート予定
Steamストアページ:https://store.steampowered.com/app/1398740/The_Chrono_Jotter/
※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。