Game*Sparkと、数々のクリエイター・アーティストのドキュメンタリー映像を手掛けるArchipelは、共同で運営するYouTubeチャンネル「Cutscenes」でプラチナゲームズの神谷英樹氏のインタビュー動画第4弾を公開しました。第4回は神谷氏の代表作の一つ『大神』のエピソードにフォーカスした内容となっています。プロジェクト起ち上げ当初の意外なエピソードから、ファンからも何度も何度も話題に上がる続編への思いもたっぷりお話いただきました。
神谷英樹氏のキャリアを紐解くロングインタビュー…カプコン入社から『バイオハザード』の開発裏話、そして三上真司氏との出会い【Cutscenes】
なぜ『バイオハザード4』が『デビル メイ クライ』になったのか―神谷英樹氏が語る舞台裏とその後のキャリアへ与えた影響【Cutscenes】
『ビューティフル ジョー』エンディングに秘められた真意、そして三上真司氏が神谷英樹氏に課したミッションとは?【Cutscenes】
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今回の動画では、かつてカプコンの子会社として設立されたクローバースタジオの話からスタート。同社の看板タイトルとすべく始まったプロジェクトが『大神』だったと神谷氏は当時を振り返ります。ちょうど『ビューティフル ジョー』の開発を進めていた隣で三上真司氏自らがディレクションしていたのが『バイオハザード』のリメイク版でした。その映像表現を隣で見ていた神谷氏は素直に“素晴らしい”と感じ、自身もフォトリアルな作品に挑戦したい意欲が湧いてきたのだそうです。
ホラー作品として「暗い」方向のフォトリアルを突き詰めていた『バイオハザード』と同じベクトルではなく、自然をしっかり描き「明るい」方向のフォトリアル表現を突き詰めたらどうなるのか……というのが『大神』の最初のコンセプトだったといいます。大自然で狼が駆け回り心を癒やすようなゲームにしたい、それは神谷氏のルーツでもある長野県の田舎にも通じる、日本の原風景をゲームに落とし込むということもこの段階から構想にあったのだそうです。
しかし、PS2の描画能力的に、神谷氏が想像する絵作りはできず、プロトタイプから開発が難航していたといいます。そんなとき、デザイナーが主人公・アマテラスを日本画のタッチで書き上げてきたのをみて、フィールド全体もこのタッチで作り上げれば想像していたものがゲームになるのではないかと思ったと振り返ります。しかし、そこからもゲームの軸が定まらないことから、開発は順調には進まなかったとのこと。プロデューサーである稲葉敦志氏から難航する開発を叱責されたエピソードや、我々がプレイすることになる『大神』のゲームシステムが作り上げられるまでの苦労も氏の口から紡がれていきます。ぜひ詳細は動画をご覧ください。
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発売から長いときを経てもなお、評価が高まる『大神』ですが、国内外のユーザーから熱望の声がやまない続編についても話をお聞きしました。神谷氏は新規IPの宿命としながらも、当時から開発後期にやりたかったことは“続編”を意識しながら物語に伏線を残しつつ開発を進めていたと振り返ります。リリース当時はカプコンを離れることも考えておらず、開発スタッフを含めていつかは“やり残したもの”が世に出せると話していたのだそうです。
決してリリース当時ビジネス的には成功したとはいえないとしながらも、国内外での評価もリリース後も高まり続け、現環境でもプレイできるHDリマスター『大神 絶景版』も発売されています。そうした現状を踏まえて、「色々残した伏線に対するユーザーの声に応えられていない。自分の中ではやり残した仕事だという思いがあり、いつかはやりたい」そんな赤裸々な思いを語ってくれました。
次週はいよいよ『ベヨネッタ』にフォーカスしたインタビュー動画を公開予定です。お楽しみに。