気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、日本のインディーゲームスタジオ、フロシキラボ開発、PC向けに11月2日にリリースされたアクションノベルアドベンチャー『1f y0u're a gh0st ca11 me here!』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は画面上に同時に表示される複数の会話の内容を瞬時に判断・理解し、正しい選択をし続けることでコンボを繋いでいくアクションノベルアドベンチャー。プレイヤーは、ゴーストコールセンターで働くヴァニタス隣、一度に数人の会話を同時に聞くような不思議体験が味わえます。もちろん日本語にも対応。
『1f y0u're a gh0st ca11 me here!』は、720円で配信中。
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――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
田平孝太郎氏(以下田平氏)東京を拠点に活動するインディーゲームスタジオ「フロシキラボ」の田平孝太郎です。今回のゲームでは、ディレクター、キャラクターデザイン、シナリオ、イラスト、販促企画を担当しました。本作はチーム体制で制作した初めてのゲームです。
一番好きなゲームは、バーチャルボーイの『ギャラクティックピンボール』です。赤と真っ黒の2色という制限の中で、素晴らしいグラフィックとゲーム性が両立している事に衝撃を受けました。一週間ほど寝食を忘れてプレイしたのを覚えています。
――本作の開発はなぜ始まったのですか?
田平氏6年間弟子入りしていたイラストレーターの人と雑談していた所「お前のアイデアは面白くない」と言われ喧嘩となり、10分で考えたアイデアをゲームにしました。
自分は日常を含め様々な事に疑問を持つ事が癖になっており、脳にある程度の量の疑問とアイデアを常にストックしています。10分で考え付いたときには、以下の疑問とアイデアを組み合わせました。
ノベルゲームには、なぜキャラクターが話すときに吹き出しが1つしか出ないのか。
リズムに合わせてアクションを作るのではなく、読む事で答えを導く、読むことが前提のアクション性を持たせる。
上記を組み合わせれば、読む行為とアクション性が両立するゲームが作れるのではないか。
――本作の特徴を教えてください。
田平氏ノベルゲームとアクションゲーム、両方の特徴を備えている点です。読むだけでなく、文字を読みながら時間制限内に選択肢を選ぶアクションを取り入れる事により、新しい体験ができるゲームを目指しました。
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――本作をどんな人にプレイしてもらいたいですか?
田平氏多くの国の人にプレイしてほしいです!ゲームは失われつつある文化の保存と、異文化に興味を持ってもらうという事に最適なツールという側面もあると考えています。将来的に、色々な国の文化をテーマとしたゲームを作りたいからです。ぜひ色々な国の方の意見を聞いてみたいです。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
田平氏本作はゲームよりも、実際の歴史に影響を受けました。電話交換機という題材を取り上げるにあたり、方々に取材しました。本作の背景に出ている電話交換機は、資料館へ取材に行き撮影し、使用許可を得た本物です。
作品ではないですが、自分の思考はブルーノ・ムナーリと横井軍平に大きく影響を受けています。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
田平氏チーム制作がコロナ禍で始まったので、開発への影響はありませんでした。精神的にはとても苦しく、自分を含むチームの誰かが新型コロナウイルスに罹患したらどうしようと、気が気ではありませんでした。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
田平氏本作は全編配信・収益化OKです!サムネイル制作用のファイルを配布しておりますのでご活用ください。
――最後に読者にメッセージをお願いします。
田平氏僕は33歳で、フロシキラボのメンバーはほとんどが僕より年下、プログラマーさんは10歳下です。若い世代にプロジェクトを引っ張っていくディレクターとして、変化し続ける未来への道筋をどうとらえているか、作品とクリエイターに出来るだけ誠実であるか、どのような思想を持って制作しているか。そのような事を言葉で伝え、行動で見せていくかを意識しながら制作しました。制作時にはかっこ悪い部分もいい所も自分の全てをさらけ出しました。かっこ悪い部分が8割だった所が反省点ですが、結果的にメンバーとの距離が縮まってよかったです。
イラストレーターの方に弟子入りしていた時「お前はお前自身の生き方と行動で語ることが出来る」と言われた言葉があります。自分はその言葉と、今まで生きてきた自分を信じて制作を続けていきます。
本作はとても実験的です。今後もアップデートを重ねて大切に育てていきたいと思っています。ぜひよりよくするためご意見をお寄せください!これからも作り続けていきますので、見守って頂ければ嬉しいです。
――ありがとうございました。
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本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に500を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。