現在は世界ではグレゴリオ暦がベースになっていますが、旧正月は中華暦といわれる昔の日程の正月を指します。華僑が多い地域、日本では中華街や、東南アジアの一部、中国、台湾などでは一番の大イベントになっており、日本でも横浜や神戸ではその盛り上がりに触れることができます。
そんな旧正月ですが、Steamでも組み込まれるほどの目玉セールの一つとなりました。そこで本記事では開催中の2022年の旧正月セールにちなんで、中華圏産のゲームをご紹介します。
ICEY
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最初に紹介するのはナレーションと共に進むハイスピードアクションゲーム『ICEY』です。『The Stanley Parable』に影響を受けたと思われる、メタフィクションの要素を大きく盛り込んだ本作品はプレイヤーの行動に対してナレーションが都度反応し、スイッチがあればスイッチの作動を促し、敵に対しては排除を促すなど進行も兼ねています。
ゲームメディアとしてはどうなのかという側面はありますが、ネタバレを避けるため、あえてゲームの内容には触れません。ですが、本作品は何も考えずに頭を空っぽにして楽しむと良いでしょう。日本語のナレーションは声優の下野紘氏の好演でも話題になりましたが、原語の中国語も中々に面白いので聞き比べてみると新しい楽しみを発見できるかもしれません。
メタフィクションばかりに話題が行きますが、アクションゲームとしての完成度の高さにも注目です。
Little Witch Nobeta
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2022年に正式発売予定の『Little WItch Nobeta』は魔女である主人公ノベタを操作し、古城に隠された秘密と共に自身の出生の謎を追っていきます。ダークソウルライクと呼ばれるだけあり、難易度も高く、主人公であるノベタの見た目とは裏腹に、慣れるまでは何度も心を折りに来ます。
近接戦闘がメインのダークソウルと違い、本作品は魔女をベースにしていることもあってか呪文による遠隔攻撃が主体になっています。
台湾産である本作品は、グッズの展開なども活発で公式側からキャラクター設定なども頻繁に発信が行われています。有名Vtuberの声優起用など話題も事欠かない本作品。一風変わったソウルライクをプレイしてみたいならいかがでしょうか?
嗜血印 Bloody Spell
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1月27日に正式発売された本作品は着せ替えDLCが豊富なことでも話題になりました。ちなみに主人公は蘇夜錦という男性なのですが、装備を変えることで見た目から声まで完全に女性になります。ワークショップにも対応しているため、見た目だけなら事欠くこともありませんが、本作品はローグライクの側面もあり、都度変わるダンジョンと、難易度の高いアクション部分と見た目だけではないクオリティもウリになっています。
翻訳が不完全で中国語がまだ混じっている部分も多いのが若干残念ですが、リプレイ性の高さも魅力な歯ごたえのあるアクションゲームとしてお勧めの一本です。
食用系少女 / 食用系少女:美食内戰
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台湾といえば有名なのが夕方から夜にかけて盛り上がる、夜市と呼ばれる屋台街。台湾や東南アジアではおなじみで、晩御飯時になると街を埋め尽くすほどの盛況ぶり。そんな夜市と台湾の屋台飯の擬人化経営シミュレーションADVが『食用系少女』です。
主人公は経営顧問として、とある地方の夜市を盛り上げることに。数か月後に訪れる評価の裁定結果次第では夜市自体がなくなることになるため、経営顧問として店舗の評判などをあげ再建を図ることになります。
過去にはValveとリジェクト合戦になった経緯もあり、発売までは紆余曲折もありましたが、現在では続編である『食用系少女:美食内戰』も発売されています。なお、こちらの続編ですが『食用系少女 2 美食内戦』として、国内ニンテンドースイッチ版も4月28日に発売予定。グッズなどがついた限定パッケージも登場するので、キャラクターが気に入ったならチェックしてみるといいかも知れません。
Dong-Jin Rice-hime(東津萌米)
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台湾最南端の屏東県にある実家に帰ってきたら米の世話をすることになった主人公。台湾の水稲「高雄139」と日本の「キヌヒカリ」の品種改良である、「高雄145」を擬人化した穂姫を育てることになります。
育米ADVというべき本作品は、育て方により穂姫は大きく変化していきます。見た目だけでなく性格も大きく変わり、どう育てたかでエンディングも変化します。拡張DLCを購入すれば日本語音声も追加され、穂姫の音声も全てではありませんが、日本語に変化します。ストーリーモードクリア後には、育米だけにフォーカスを充てたモードもあり、自分だけの穂姫を育てることに集中できます。
Muse Dash
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以前夏休み工作記事でも題材に使われたゲームです。本作品が音ゲーとして優れているのは初心者向けであることや、コラボレーションが豊富で多種多様なゲームなどの楽曲が収録されていることでしょう。他の音ゲー作品でもある『DJMAX』や『Groove Coaster』の他にも、『東方Project』など色々な作品とのコラボレーションも豊富で収録楽曲数もとんでもないことになっています。
音ゲーに手を出してみたい初心者の方や、変わったゲームをプレイしてみたい方にお勧めですが、ポテトコントローラーを作って楽しむのもオススメです。
Chinese Parents
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中国での家庭教育をテーマにした育成シミュレーションで、本作品は当初は中国語のみで販売されていたのですが、そのゲーム性から話題になり英語、日本語と対応され現在では日本語でもプレイできるようになりました。プレイヤーが大学入試まで子どもをサポートしていく過程は、中国あるある、なイベントにあふれており、最終的には「高考」と呼ばれる全国統一の大学入学試験を通過するのが目的となります。
時にはメンツをかけ、両親が隣人と子どもの成長でマウントバトルを繰り広げるなど一風変わった本作品。中国での人生を少し垣間見てみるのはいかがでしょうか?
Rabi-Ribi
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ペットとして飼われていたウサギのエリナは目覚めると人間になっていた!メトロイドヴァニアに弾幕アクションをミックスした本作品は、特徴的な見た目だけではなく独特なアクションの豊富さも魅力です。
ストアページにも記載があるように、製作者の好みをこれでもかと詰め込んだ本作品はとにかく刺さる人には刺さる作品になっています。しかし本作品はメトロイドヴァニアの中でも難易度に重きを置いている上、Steamの実績数も200を超えるほど。全てを極めようとすると同ジャンルの中でも屈指の難易度を誇ります。
腕に自信のあるウサギフェチならプレイしてみるといいかもしれませんね。
山桂(Shan Gui) / 百曲 / 山桂2
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2004年に販売された『山桂(Shan Gui)』は中国産のビジュアルノベルの評価を変えた作品の一つと言っても過言ではありません。
ゲーム中では各地域や、一部単語にはWikipediaへ直接リンクが貼られており、文字通り観光案内にもなっているのも特徴の一つ。中国語でのフルボイスや、美麗な背景CGは当時の海外産ビジュアルノベルの中でも頭一つ抜けた作品になっています。現在は『山桂2』を購入して、無料DLCの『Shan Gui: Definitive Edition』をダウンロードすれば『山桂(Shan Gui)』の2004年版と2020年版を切り替えてプレイできるという太っ腹な仕様になっています。
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初作である『山桂』は導入作品ということもあり、直ぐに終わってしまいますが、世界観などを継いだ続編である『百曲』は数十時間に及ぶ分量かつマルチエンディングになっています。
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『山桂2』では更に進化し、一般的なノベルゲームのスタイルから『少女魔法学リトルウィッチロマネスク』に近いマンガのコマ割りのようなスタイルに変化しています。シリーズが持つ独特な世界観は必見です。
中国伝統武術 八卦掌 六十四手
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八卦掌と聞いてピンと来る人はどれくらいいらっしゃるでしょうか。ゲームでいえば『餓狼 MARK OF THE WOLVES』の双葉ほたるや『鉄拳』のシャオユウの流派といえば分かる人もいるのではないでしょうか?
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本作品は八卦掌の基本動作である動作と拳の握り方を閲覧できる学習ソフトになっています。暫停を押すことで動作を停止し、一つ一つの動きも確認できますが、拳をクリックすれば握り方や向きなどもズームして確認ができるため八卦掌の入門にも丁度いい作品になっています。
旧正月セールにかこつけて本作品で八卦掌を学ぶことで、唐突に生き別れた兄弟や、特徴的な髪型をした老人に絡まれても天蓮華で撃退できるようになるかもしれません。日々の健康や、格闘技の修練に是非いかがでしょうか?
オリエンタルな魅力に溢れた中華圏ゲームを遊んでみよう
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今回紹介した『山桂』や『嗜血印』などは国産ゲームにはない独特な世界観と魅力ある作品です。紹介できなかった作品も沢山ありますが、武侠/仙狭ファンタジー作品は中華圏ならではと言って良いジャンルでしょう。
近いけど遠く、国内事情で苦境にある中国のゲームメーカー、ひいてはゲーマーを知るためにも旧正月セールで、中華圏のゲームに触れてみるのはいかがでしょう。