Private Divisionは、Roll7が手がけるスケートボードアクション『オリオリワールド』を、PC/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/ニンテンドースイッチ向けに2022年2月8日(PCは2月9日)リリース予定です。
本作は、2014年から続く『OlliOlli』シリーズ第3作です。これまでピクセルスタイルだった過去2作品から、シリーズ初の3Dグラフィックへと生まれ変わった本作では、Roll7のアートチームが情熱を込めて作り上げた鮮やかな色彩と個性的なキャラクターにあふれる新しい世界の魅力にあふれています。
本稿では『オリオリワールド』について、初期のコンセプトからゲーム完成までにどんなプロセスがあったのかの開発インタビューを掲載。コンセプトアーティストのGermán Reina Carmona氏と、リード環境アーティストのLaura Dilloway氏から、Game*Spark独占のコメントを頂きました。
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魅力的な世界観はストーリーチームとのタッグで誕生!
◆本作の魅力的なアートはどのように生まれたのか?
――Germán Reina Carmona氏
キャラクターや環境のコンセプトアートを描くにあたっては、ストーリーデザイナーのLizz Lunney氏がチームに提供してくれたすべての資料に目を通すことから始めました。その後、アートチームとストーリーチームから出された数々のアイディアボードを元にイメージを膨らませていったのです。
初期は、元リードアーティストのPaul Abbott氏からも多くの意見をもらいました。彼は、構想や視覚に関する様々な調査を行い、私が目指すべき方向を明確にしてくれました。それらの資料を整理した上でラフスケッチに取り掛かり、その方向性が正しいかどうかをチームと共に確認していきました。
そうした過程を通じてイメージを明確化し、コンセプトアートを完成させていったのです。
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紆余曲折を経て誕生した魅力的なキャラクターたち!
◆主人公を導く重要キャラクター「シフォン」
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――Germán Reina Carmona氏
最終的なデザインに至るまでにもっとも試行錯誤を繰り返したキャラクターは、おそらく「シフォン」でしょう。プレイヤーは、ステージのスタートとゴール、そしてすべてのチェックポイントで彼女の姿を目にします。時間はかかりましたが、彼女を素晴らしいキャラクターにできたことに満足しています。
「シフォン」は、初期のコンセプトでは「カロン」という男性キャラクターでした。これはLizz Lunney氏が参加した後に変更になりましたが、その時点ではキャラクターはまったく固まっていませんでした。私が描いたこれらのコンセプトから、彼女の個性やスタイルがどのように形作られていったのかを垣間見ることができると思います。今の彼女の姿とはまったく異なっていますね!
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彼女のキャラクターデザインにおける大きなブレイクスルーのひとつが「バブルパイプ」でした。これは奇妙で不思議なアイテムです。Dickie McCarthy氏とTheo Droulez氏が手掛けた優れたVFXによって、視覚的にも魅力のあるものになりました。彼女の謎めいた雰囲気を際立たせるだけではなく、のんびり屋で落ち着いた性格を印象づけることにも一役買っていると思います。
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◆“笑顔のカメラ”を持つ魅力いっぱいの「スーズ」
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――Germán Reina Carmona氏
「スーズ」は、当初「ソフィー」というキャラクターでした。その後名前は変わりましたが、彼女の性格や服装はほとんど変わっていません。ただ、彼女の髪の長さは初期のコンセプトよりもかなり短くなっているので、3Dアートチームにとっては嬉しい変更だったかもしれませんね!
「スーズ」に関する大きな変更点はカメラです。カメラを持っていることは当初から変わっていませんが、ある時、Lizzがカメラに顔と個性を与えようと言い出したのです。そして「キャミー(本名はキャメロン)」が生まれました。その元気な笑顔は、あまり感情を表に出さないスーズとは対照的に、本当に楽しげです。
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環境デザインは“自由”だからこそ難しい!
◆環境のコンセプトデザインについて
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――Germán Reina Carmona氏
多くの点で、環境のコンセプトデザインはキャラクターよりも難しいですね。創造的な自由度が高く、明確にすべきことが多いためです。
そこで、私はまず小道具から取り掛かり、そこから環境全体にイメージを広げるようにしています。背景のNPCに関して言えば、例えばマップ「クローバーブルック」は森林地帯なので、私はミツバチやクマ、切り株の人々のような多種多様な有機物や生き物に焦点を当てようと考えていました。
一方で、環境アートチームは私のアイデアを2Dのコンセプトをゲーム内のモデルに落とし込むという大きな役割を担っており、私のアイデアを変更したり再検討することができるため、創造的な自由度が高くなっています。素晴らしいことだと思いますね。
――Laura Dilloway氏
コンセプトアートを必要なアセットに分解する時には、私はまず形状に注目します。
今年、Germánは非常に忙しく、主要な環境コンセプトを彼から得ることがあまりできませんでした。しかし、その機会が訪れたとき、それは極めて重要な時間になるのです!私たちは下のような画像(※)から、必要な情報のほとんどを推測することができます。そこからアートが自由に進化していくのです。
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まず最初に見るのはゲームプレイに関わる要素、つまりルートとグラインドには何が必要なのかということです。それらに関連するアートは“スプライン”に基づいており、非常に特殊なツールを使わなければなりません。そこで、何をどうすれば実現が可能なのかを前もって頭の中で分析するのです。
次に、このエリアのメインテーマを実際に表現するための主要なアセット、例えば木や岩や建物のようなものと、それらのアセットのバリエーションがどれくらい必要なのかを考えます。これは、プレイヤーに多様性を感じてもらうため、実際よりも多くのコンテンツがそこにあるように感じてもらうためには欠かせないプロセスです!
◆ステージのテーマ作りは斬新でストーリーを引き立たせるものに
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――Laura Dilloway氏
時には、そのステージの物語のためだけに多くのアイテムが必要になることがあります。スケート可能な大きな木や巨大な橋といった、ステージ全体のテーマを決めるようなオブジェクトが必要になる場合もあります。
このゲームには膨大な数のステージがあり、斬新で刺激的な、かつストーリーを引き立たせるような新しいアセットを作成することに加えて、実際にステージを構築するための時間も確保しなければなりません。そのふたつの間のバランス調整を続けています。
Germánからは小道具のデザインをいくつか入手しているので、私たちはまずそこに取り組みます。同時に、私はステージの概要に目を通し、構想通りの景観を作り上げるためにはどんな特徴を持ったアイテムが必要なのか、どんな環境アイテムがあればこの世界を肉付けできるのかを把握していきます。
プロジェクトのある時点から、Lizzがそれらのアイテムを物語に実際に書き込むようになったため、私たちの作業スピードは大幅にアップしました。膨張式のピアノや、山積みになったワッフルなどのアイディア出しに集中することができるようになったのです。
◆背景のNPCの「物語」まで注目してほしい
――Laura Dilloway氏
最後に、環境チーム全体のことをお話ししましょう!アーティストたちは現在、その場その場に適したアセットのタイプやスタイルを把握できるようになり、私と簡単な確認をするだけで必要なアイテムを作成してくれるようになりました。
彼らがどんな奇抜で優れたアイディアを思いついたのか、背景のNPCにどんな小さな物語を与えたのかを考えながらステージを見直すのは本当に楽しいことです。プレイヤーの皆さんにもその面白さを感じて頂ければ幸いです。
『オリオリワールド』は、PC/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/ニンテンドースイッチ向けに2022年2月8日(PCは2月9日)リリース予定です。
本編のほか、リリース後に新たなステージやバイオーム、ミッションなどを導入する拡張パスとセットの「ラッドエディション」も現在予約受付中です。