気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Jonas Tyroller氏開発、PC向けに3月9日に早期アクセスが開始されたAI2Dアクション『Will You Snail?』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作はAIによって設置されるトラップをくぐり抜けていく2Dアクション。悪のAI「Squid」がプレイヤーの動きを見て次の動きを予知し、その先にトラップを配置していきます。クリアには必須ではないパズルや、集めることでストーリーが見えてくるシークレット探し要素も特徴。記事執筆時点では日本語未対応です。
『Will You Snail?』は、1,520円で配信中。
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――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Jonasドイツのインディーゲーム開発者で、27歳のJonasです。およそ4年前にゲーム開発に関するYouTubeチャンネルをスタートさせ、フルタイムのゲーム開発者としてその開発の工程すべてを記録しています。私は『ISLANDERS』というライトな都市建設ゲームを共同開発し、つい先日には激しい2Dアクションである本作をリリースしました。本作は、プレイヤーの動きを予知するAIを相手にしながら進んでいくというものです。
一番好きなゲームの一つは『Outer Wilds』ですね。
――本作の開発はなぜ始まったのですか?
Jonas当初、本作はバカバカしい小さなサイドプロジェクトに過ぎませんでした。私は多くの人を苛立たせるようなゲームが作れるかどうか試してみたかったのです。AIがプレイヤーの動きを読んで、進もうとする先にトラップを配置する、というのは、考えうる限り一番イライラすることでした。ですので、このシステムが実際多くの人に気に入っていただけているのは、正直驚いています。私はどんどん本作が好きになってしまい、2週間で終わらせるはずのプロジェクトが、結局は4年かけるプロジェクトとなってしまったのです。
――本作の特徴を教えてください。
Jonas本作を他の2Dアクションと差別化しているのは、悪のAIの存在です。彼はプレイヤーが次に行こうとしている場所を予測し、この情報を使ってトラップを出現させるのです。しかしこれはシンプルな予測アルゴリズムを使っているので、機械学習は搭載されていません。それでも、これを相手に遊ぶのはとても楽しいですよ。
この悪のAIは「Squid」と呼ばれ、プレイヤーがミスをすると様々なセリフで煽ってきます。本作はシングルプレイヤーゲームですが、一人で遊んでいるようには感じないでしょう。Squidと常に一緒に遊んでいるようなものなのですから(笑)。
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――本作はどんな人にプレイしてもらいたいですか?
Jonas下記のものが好きであればあるほど、本作にピッタリだと言えるでしょう。
2Dアクション
悪のAI
バカっぽいボイス
反射神経が重要視されるアクション
高難度
短いながらもアクション要素満載のゲーム
第四の壁の破壊
様々なゲームプレイ(アクション、パズル、レース、格闘など)
シークレット探し
ノンリニアなストーリーテリング
シミュレーション、AI、そしてユニバースの謎
本作には様々な異なる要素が登場します。そのため、完全にピッタリのターゲットは存在しません。2Dアクションのファンはもちろん、一風変わったインディーゲームに興味がある人や、人工知能に興味がある人なんかにも楽しんでいただきたいですね。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
Jonasはい、あります。よく喋る悪のAI「Squid」は多少『Portal 2』のGLaDOSから影響を受けています。高難度の2Dアクションは『Super Meat Boy』や『Celeste』から影響を受けました。プレイヤーを苛立たせるような要素は、『Getting Over It with Bennett Foddy』のような作品を参考にしています。
プレイヤー自身が内容を読み解かなくてはいけない、ノンリニアなストーリーテリングは、私の一番好きなゲームの一つである『Outer WIlds』から多大な影響を受けました。本作は単純にいうと、私が好きなものを一つのゲームにまとめた、という感じですね。
――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能ですか?
Jonas本作の様々な言語への翻訳は、コミュニティによって順調に進んでいます。日本語は現在12%翻訳済みです。すでにコミュニティの中に翻訳者が数人いますが、もしお手伝いいただけるなら、いつでも参加可能です。ぜひ本作のDiscordサーバーに来ていただき、「become a translator」チャンネルのインフォメーションをご覧ください。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
Jonasおそらく精神的に多少影響を受けたと思います。でもまったく傷を負わなかった人なんて誰もいませんよね?本作の開発は私一人で自宅から行いましたので、幸運にも開発自体はまったく影響を受けませんでした。私は好きなことを続けることができたので、とても嬉しいですし感謝しています。残念ながら、そうはいかなかった人もたくさんいましたので。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Jonasもちろんです。私の目標は、本作で皆さんに楽しんでいただくことですし、それは様々な異なる形でいいと思っています。プレイする、というのはその一つに過ぎません。私が作ったゲームでコンテンツを作ってもらえると嬉しいです。
サウンドトラックもSNSで自由に使っていただいて構いませんし、リミックスを作ってMidiファイルをアップロードするのもOKです。Modも個人的には大好きです。私の作ったものにある程度敬意を払っていただけると同時に、何かを盗もうとしない限り、どのような派生作品を作っていただいてもとても嬉しいですし、それでお金を稼いでいただいてもまったく問題ありません。クリエイティブになってください!そしてワイルドに、楽しんでください!
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Jonasゲーム業界において、日本の業績は大きく、また今でも大きな存在です。そのため、皆さんに何かお返しができる機会をいただけ、感謝しています。本作の日本語テキスト(とオーディオ?)がとても楽しみです。すべてのサポートに感謝いたします。そして本作を楽しんでいただけると嬉しいです!
――ありがとうございました。
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本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に500を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。