2022年2月22日に発売されたプラチナゲームズのネオ-クラシック・アーケードシリーズ第1弾となる、ニンテンドースイッチ/PS4/PC向けの自在合体シューティングゲーム『ソルクレスタ』のPC版レビューをお届けします。なお本レビューはリリース直後のバージョンである1.0.0をベースに執筆しました。
以前に掲載したプレイレポの通り本作は、日本物産(略称: ニチブツ)から『ムーンクレスタ』や『テラクレスタ』といったゲームタイトルの権利を引き継いだハムスターから正式な許諾を得ている、『クレスタ』シリーズの最新作です。
本作のストーリーは、地球を追い出され太陽系の外縁にまで追いやられた人類が太陽奪回組織「ソルクレスタ」を結成し、侵略軍「メガ・ゾファー」へ戦いを挑むもの。プレイヤーは、最新鋭戦闘機ヤマトとそれを構成する3機体を操作し戦いを繰り広げます。
多彩な戦略で挑む奥深いゲームプレイ―地形やオブジェクトに富んだステージ構成
『ソルクレスタ』は縦スクロールのシューティングゲームで、登場機体の三機による分離/合体やフォーメーション攻撃をゲームメカニクスとして備えています。
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Xboxコントローラーにおいて操作は、左スティックで上下左右の移動を行い、X/Aボタンが機体の分離/合体、Y/RBがメインショット(連射)、B/RTがメインショット(単発/長押しでチャージ)です。
登場機体のうち壱號機(赤)はバリアや氷を破壊できるレーザーを、弐號機(青)はホーミング機能と電撃攻撃を併せ持つミサイルを、そして参號機(黄)は多段ヒットと岩石破壊のドリルをそれぞれ装備。さらに2段目に配置した機体は、チャージショットが発動可能(SPゲージを消費)で、2番機が壱號機なら極太のメガレーザーが、弐號機なら多量のミサイルを撃つフルバーストが、参號機なら敵弾を消せるギガドリルをそれぞれ放てます。
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ほかにもいくつか特徴的なシステムがありますが、その一つが時間制限ありの分離/合体時スローモーションです。スローモーション中において自機は移動速度が変わらずにメインショットが撃て、分離した機体が無敵になり盾としての役割もこなせることから、敵機/敵弾の渦に巻き込まれそうになっても緊急回避をするように避けて倒せます(加えて、パッドで操作していれば分離時に右スティックで末尾の機体を操作できる)。
さらに、格闘ゲームのコマンド入力の様に移動キーを用いて発動させるコマンドショットも搭載しています。これによって上下のマシンガンショットと左右のサイドショット、そして全周のオールショットへ攻撃を放てることから入り組んだ地形への攻撃や、回避の過程で画面上部へ移動した時などに役立つのです。
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一方で、近年のSTGとしては画面上の敵や敵弾を消滅させるボム攻撃を持ち合わせていないことが珍しいといえるでしょう。その代わり、SPゲージを消費して敵を一網打尽に破壊できるフォーメーション攻撃を有しています。このフォーメーション攻撃は2機状態なら3種類の攻撃法が、3機状態なら6種類の攻撃法をもち、状況に応じて攻撃を使い分けられます。
また、フォーメーション攻撃やコマンドショットは、ステージ開始直後から全て使用可能というわけでなく、敵やコンテナを破壊して出現したフォーメーションチップを入手し、ソルメダルを集めソルゲージを貯めることで解禁されるパワーアップ要素という位置づけです。ステージクリア時も同様であり、引き継げるのは基本的に機体数とシールドのみとなっています。
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太陽系の外縁惑星から攻略するというストーリーの通り、ステージ1が海王星、ステージ2が天王星、ステージ3が土星と徐々に太陽へ進む構成で、ステージの背景もそれに応じて変化しています(ドラマティックモードの台詞によると金星と木星はヴァイクンによってエネルギーが吸い尽くされた後となってしまっているらしい)。
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ステージ構成も背景の描写だけでなく降り注ぐ岩や雷に加え、左右から飛び出る岩、オブジェクトを駆使して回避するレーザー、攻撃して破壊/開放するゲート、そしてマップ上に設けられたコンテナなどギミックが盛りだくさんです。そのため縦スクロールSTGとしては地形が複雑で、特に終盤のステージ6と7の難しさの大半はパズル的な構成も含めた地形によってもたらされており、この部分だけはアーケードゲーム的でシビアな難しさに溢れています。
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こうして『ソルクレスタ』の特徴を書き出してみると、STGとしては攻撃方法の多彩さが色濃く表れています。「分離/合体時のスローモーション」と「コマンドショット」、「チャージショット」、「フォーメーション攻撃」の4要素が登場し、その全てにアクセスできるようにしたことが、これまでのSTGにない特徴といえるでしょう。
他にも複数シールドと3機合体によって、ある程度ミスを許容してくれる作りからプレイヤーが倒されにくくなっていることも特徴の一つです。また、最後の1機となった場合でも新たなソルエンブレムを積んだ敵機が登場するためピンチからの復帰が行いやすく、ゲームプレイを諦めずに足掻かせてくれるゲームデザインになっています。さらにアチーブメントを解除し続けると、ヤマトだけでない機体もそれぞれ使用可能になります(性能は現時点でほぼ同じ)。
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これらの要素が組み合わさり、テクニックの深掘りと挑戦がしやすくなり、プレイヤーの腕前が向上するにしたがってプレイスタイルが常に変化する好循環が生まれています。言い換えれば、STGにおけるプレイヤーの自由度そのものを掘り下げることに成功している作品ともいえるでしょう。
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