気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Team Run開発、PC向けに4月14日にリリースされた自動生成高難度2Dアクション『RUN: The world in-between』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、マップが自動生成される高難度2Dアクション。走る、ジャンプする、空中ダッシュする、というシンプルな操作で、後ろから迫り来るゴーストから逃げつつ、様々なトラップをかいくぐっていきます。日本語にも対応済み。
『RUN: The world in-between』は、1,010円で配信中。
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――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Hephep私たちはTeam Runという、フランス人6人で構成された開発チームです。EncreMecanique(グラフィックデザイン、レベルデザイン)、Thomas Barrandon(音楽)、Louise Jeanson(サウンドデザイン)、Melissa Gross(広報)、Sorghal(品質保証/テスト)、そして私、Hephepはプログラミングを担当しています。EncreMecaniqueと私は本作のゲームデザインも担当しました。
私1人のこととなってしまいますが、一番好きなゲームを一本選ぶのは難しいですね。いくつか挙げるとすれば、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』『Outer Wilds』 『The End Is Nigh』『Hollow Knight』『Hyper Light Drifter』、そしてもちろん最近では『ELDEN RING』です。ゲームデザインという点では、私はシンプルながらスマートな作品が好きです。『Minit』『TowerFall』『A Short Hike』『Katana ZERO』『Into the Breach』…多すぎてここでは時間が足りません!しかし開発チーム全員が好きなゲームもあり、それは『Celeste』です。
――本作の開発はなぜ始まったのですか?
Hephep多くのゲーマーと同様、私もずっと自分でゲームを作りたいと思っていました。私としては、私がゲームをプレイしている時に感じたものを、他の人にも感じて欲しいと思ったのです。1人で挑戦していたのですが、あまり上手くいかず、そんな時、私たち2人がタトゥーを彫ってもらったタトゥーアーティストであるEncreMecaniqueに、私の友人が声をかけてくれたのです。彼はアートが得意で、ゲームを作りたいと思ってもいました!こうして私たちは「Tamanegi Nashi」というプロジェクトをスタートさせました。これはタマネギをテーマにしたもので、フランス人にとってはこの日本語の名前がカッコよかったのです(笑)。このプロジェクトは規模を大きくしすぎたことから失敗に終わりました。ほとんど経験のない10人ほどのチームを作ったのですが、マネジメントができなかったのです。しかし、EncreMecaniqueは私に「2人だけでシンプルなゲームを作ろう。3ヶ月で作れる、すごくすごくシンプルなゲームだ!」と言いました。それから2年、本作がこうして出来上がったのです。
――本作の特徴を教えてください。
Hephep本作は一見ただのシンプルな2Dアクションです。走る、ジャンプする、水平方向にダッシュする、ということができます。しかし、本作を特徴的なものにしている点として、「ステージが存在しない」ということがあります。同じところを何度も何度もプレイするのですが、クリアするたびにアンロックできる「ブロック」を使って自動生成される新しいマップをプレイすることになるのです。クリアするたびに新しいブロックが手に入り、一番古いブロックはもう出てきません。プレイするたびにこれらのブロックが選ばれ、シャッフルされます。そのため、プレイヤーは二度と同じ体験をすることはありません。そしてブロックをアンロックしていく度、徐々に難度は上がっていくのです。
もう一つ、本作の特徴があります。本作において、プレイヤーはのんびり休憩することはできません。プレイヤーの動きをコピーするゴーストに常に追いかけられ続けているのです。素早く考え、行動し、時には新しいブロックを攻略する方法を見つけ出すため、死をも受け入れなくてはいけないのです。
(あと、音楽も素晴らしいですよ)
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――本作はどんな人にプレイしてもらいたいですか?
Hephep正直言うと、本作は高難度2Dアクションに魅力を感じる人向けにデザインされています。つまり、『Super Meat Boy』『The End Is Nigh』『Celeste』のような作品ですね。しかし私たちは誰でも本作を遊べるよう、全力で取り組みました。「ノーストレスモード」ではゴーストが登場しませんし、難易度も操作性もしっかりと調整を施しています。私の9歳の息子も本作を楽しんでいますし、本作で初めてタイムアタックに挑戦している人もいます。「難しい2Dアクションは好きじゃないけど、このゲームでその考えが変わるかも!」と言ってくれる人もおり、とても誇らしく思っています。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
Hephepはい、もちろんです。一番影響を受けたのは、おそらく『Celeste』『Super Meat Boy』『The End Is Nigh』『Hollow Knight』といった作品でしょう。グラフィックの「哲学」だけを参考にしているものもあります(本作は全然『Hollow Knight』のような見た目ではありませんしね(笑))。加えて、本作ではジェムを集めることで多くのゲームや映画を元ネタにしたメモリーをアンロックすることが可能です。はっきりしたものではないかと思いますが、EncreMecaniqueと私がゲーマーとしてこれまで経験してきたあらゆるものが、本作に現れていると言えるでしょう。本作のキャラクターの操作感は、私が2Dアクションゲームにおいて好きな部分をミックスさせたものですし、EncreMecaniqueがデザインしたオプションメニューは以前彼が遊んだゲームから明らかな影響を受けています。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
Hephepそれほどありませんでした。以前からリモートで作業をしていたのです。本作の開発は夜など、私たちの空いた時間を使って行いました。私たちはかなり頻繁に顔を合わせていましたので、ワークフローも問題ありませんでした。一つ前のプロジェクトでは人数が多すぎたのが問題でしたが、今回は私たち2人で始めましたので、とてもシンプルだったのです。本作の開発に影響はなかったものの、開発メンバーの中にはまだ顔を合わせていない人もいます。それはちょっと残念ですね。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Hephepはい、もちろんです!配信というのは本作を多くの人に知っていただくとても良い方法ですので、かなり頼りにしています。それに、誰かが本作をプレイする様子を見るのはとても楽しいですよね。もし日本人の配信者の方がこれを読んでおりましたら、本作を遊び始める前にTwitterで私たちにお知らせください。フランス人を数人、そちらの配信にお連れし、応援させていただきますよ!
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Hephep日本人の読者の皆さん、本インタビューを読んでいただき、ありがとうございます。本作を遊んでみたいと思っていただけると嬉しいです!フランス人による小さな開発チームが、日本のような遠い国にこうして声をお届けできるのは、とても光栄なことです。もし本作をプレイし感想があれば、悪いものでも結構ですので、レビューにお書きいただけると助かります。次の作品の参考にさせていただきます。Team Runの全員が、皆さんのご健康をお祈りしております。良い1日をお過ごしください。
――ありがとうございました。
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本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に500を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。