気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Image & Form Games開発、Steam向けに4月30日にリリース(Xbox Series X|S/Xbox One/MSストア向けには去年12月発売)された、惑星清浄化SFアクションアドベンチャー『The Gunk』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は三人称視点のSFアクションアドベンチャー。プレイヤーは宇宙を駆け巡る運搬屋コンビの1人である「ラニ」として、未知の惑星にはびこる「ガンク」と名付けた毒性を持つ寄生虫をパワーグローブ「パンプキン」で掃滅させながら、元の美しい自然を取り戻し古の秘密に迫っていきます。日本語にも対応済み。
『The Gunk』は、2,570円で配信中(Steam)。
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――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Ulf Hartelius氏(以下Ulf)こんにちは!本作のゲームディレクターを担当しましたUlf Harteliusです。本作は緑豊かなエイリアン惑星を舞台としたアクションアドベンチャーゲームです。『SteamWorld』シリーズで私たちのことをご存知の方もいるかもしれませんね!
私がこれまでに遊んだ中で一番好きなゲームは、昔のスーパーファミコン用ソフト『聖剣伝説2』です!とても魅力的で、何回プレイしたかわかりませんし、何度も全キャラクターを最強まで育てました(笑)。
最近では、去年発売された『The Forgotten City』が大好きなゲームです。素晴らしいストーリーのファーストパーソンパズルドラマで、タイムループに陥ってしまった古代ローマの都市を探索するというゲームです。
――本作の開発はなぜ始まったのですか?
Ulf私たちは『SteamWorld』シリーズとはまったく異なるゲームを作りたいと思いました。3Dで、まったく新しい世界で、まったく異なるゲームプレイを採用した作品です。また、私たちはゲームプレイとストーリーが最初からしっかりと繋がったものにしたいと思いました。たくさんのプロトタイプを作り、どうすれば面白いものができるか試行錯誤を繰り返したのです。
最終的に、小さなジャングルの中で霧を吸い込んでいくというプロトタイプが完成しました。新しい方法で世界を探索していくという点で、プレイテストしていただいた方たちからたくさんのポジティブなフィードバックを得られたのです。
これが、私たち全員が今直面している危機的な気候問題という、私たちが興味を抱いていたエコなテーマにピッタリとマッチし、本作の土台となりました。「緑豊かな世界を探索し、世界を侵食する悪の物質を取り除く」というものです。
――本作の特徴を教えてください。
Ulf本作の特徴はいくつかあると思います!まず、悪のねばねばしたものを吸い取り、世界に再び命を芽吹かせる、というのは他のゲームではなかなか見られないものです。人によっては『ルイージマンション』や『大神』と本作を比較するようですが、本作は他の多くの意味で(似ているような部分も含め)かなり異なります。任天堂作品や伝説のクローバースタジオ作品と比較していただけるのは大変光栄です!
弊社の素晴らしいアーティストたち(特にアートディレクターのTobias Nilsson)のおかげで、本作の世界は大変美しいものとなっています!たくさんのゲームが美しい世界というものを構築していますが、本作は中でもセミフォトリアリスティックなアートスタイルとして際立つものとなっているでしょう。
本作の音楽も、作曲家のRatvaderが全力を投じただけあり、その時々の状況にピッタリと合うものになっています。美しく、この世のものとは思えないものになっており、周りの環境に完全にマッチしているのです。
最後に、本作ではメインキャラクター2人がコンスタントに無線で連絡を取ります。そしてゲームを進めるにつれ、2人の関係は深まっていくのです。彼らのあらゆるものへの反応はとても自然で、私も含め、多くのプレイヤーの方に気に入っていただいています!この世界を探索するのはあなた自身ですが、あなたは1人ではないのです。
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――本作はどんな人にプレイしてもらいたいですか?
Ulf森の中をハイキングしたり、古代都市を旅したり、またはただ探索ゲームが好きだという人にも、本作はとても気に入っていただけるでしょう!本作は自分のペースで遊べるゲームです。ストレスが溜まるものではありませんし、めちゃくちゃ難しいゲームでもありません。それよりも雰囲気を味わうゲームとなっているのです。
とても高難度なゲームを探していたり、巨大なオープンワールドゲームを探したりしている、というわけではなく、多少短くとも(およそ8時間)、未知の惑星を探索するという体験をしてみたければ、ぜひ遊んでみていただけると嬉しいです!
――本作が影響を受けた作品はありますか?
Ulf多大な影響を受けたのは、宮崎駿監督による「風の谷のナウシカ」です(映画と漫画両方)。私もアートディレクターのTobias Nilssonも、ナラティブディレクターのPeter Broqvistも、重要なテーマを中心に置きつつ、個人の物語をさりげなく描く宮崎駿監督の手法が大好きなのです。
他には、とても自然な会話と未知のエイリアンという存在を繋ぐものとして、SF映画である「エイリアン」や「アビス」を参考にしています。他に影響を受けたSFものですと、ドラマ「ファイヤーフライ 宇宙大戦争」は、キャラクターたちに人間性が溢れており、宇宙船が不恰好という点で他のSFとは異なり、影響を受けました。
ゲームからですと、『Fe』(ボイスやテキストなどはなく、ただ森を探索するという点)、3Dの『ゼルダの伝説』作品(環境を小さなパズルにしている点)、『Beyond Good & Evil』(戦闘ではなく写真にフォーカスしたり、キャラクターたちの軽い会話といった点)、そして『メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』(とある小さな部分、スニーキングではありませんよ!)から影響を受けています。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
Ulf確かにありました。多くの人と同様、開発チームも全員が自宅から作業をしなくてはいけなくなり、そのやり方に慣れる必要があったのです。主に2つの大きな試練があったと思っています。
一つは、ゲーム開発というのがとても緊密なやりとりを必要とする作業だということです。アーティスト、ゲームデザイナー、プログラマーが緊密に作業をすることで、一貫性のある体験が生み出されます。しかし、これは同じオフィスにいないとなかなかできないことなのです。私たちはウェブ会議をすることで少しだけこれを実現させ、開発の終盤では小さなグループで実際に集まることもできました。
二つ目に、自宅からの作業をするというのはとても孤独を感じ、精神的にも負担が大きいということです。これはパンデミック中、おそらくほとんどすべての人が体験したことではないでしょうか。自宅に何日も、何週間もこもりっきりになり、自分の家族以外とは誰とも会わないということが普通になってしまったのです(一人暮らしだとさらに大変です)。
私もパンデミックの初期は息子が自宅におり(幼稚園には行けなくなり)、24時間息子の世話をしながらゲーム開発をするのは大変でした!そのため、開発チームでもメンタルの健康面は重要視し、しっかりと休暇を与え、オンラインで出来る限りお互いに声を掛け合うというのを徹底しました。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Ulfはい、もちろんです!私たちの作ったゲームの配信を見るのは大好きですし、収益化も問題ありません。配信する際は、私たちにご一報いただければ見に行きますよ(笑)。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Ulf 日本語はあまり得意ではありませんが、日本語で答えさせていただきます。
(以下、日本語でメッセージをいただきましたので、そのまま掲載いたします)
このインタビューを読んでくれて、本当にありがとうございます!私たちの『The Gunk』はとっても美しくて面白いゲームだと思います。そして、あのエイリアンの森をゆっくり見てください!またね。
――ありがとうございました。
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本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に500を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。