ソウルライクというジャンルは、モデルとなった「ダークソウル」シリーズがそうであるように暗黒に満ちた、生き抜くのに困難な世界をプレイヤーが何度も死にながら少しずつ先へ進むことを魅力にしているといっていいでしょう。
しかし、『Thymesia』はそんなソウルライクの中でも独特の困難な世界を描いています。なにせゲームのテーマに疫病を扱っているのですから。本作は「Happinet ゲームフェス！～2022 夏の陣～ in ベルサール秋葉原」にてデモ版が出展。少なくとも筆者は時節柄もあって、戦々恐々都市ながらプレイした模様をお届けします。
敵を削り、疫病を奪い、能力とする
ソウルライクと言えば、簡単なアクションひとつ取っても「スタミナゲージがあり、ゲージが切れる無限に攻撃や回避アクションができないリスク」ことや「ボタンを押しても一発の攻撃に必ず振りかぶりの動作が入り、リスクとなる」ことが挙げられるでしょう。
その点、ダークな見た目こそソウルライクらしい『Thymesia』ですが、意外にも操作性自体に先述したソウルライクのリスクは見られにくいのです。
スタミナゲージは撤廃され、攻撃や回避はバンバンできますし、通常攻撃も（ソウルライクの中では）かなり早く発動してくれるのです。そのスタイリッシュさのある手触りは、言うなれば『ダークソウル』と『デビルメイクライ』の中間というところでしょう。
ではソウルライクならではの、怖ろしい世界をリスクを持って切り開く体験とは違うのか？というとそうではありません。スムーズな手触りのなかでも、独特のゲームデザインによって緊張感を形づくっています。
まず『敵に通常攻撃を当てていても、なんと体力ゲージが完全に削れたわけではなく、時間経過によってなんと体力が回復していくのです。これでは長期戦は不利……と思われますが、通常攻撃で与えたダメージを削り切るための “爪攻撃”が用意されています。
爪攻撃は通常のソウルライクで言えば強攻撃にあたるもので、発動するときには大きく振りかぶるためにスキも生まれやすい技です。これが相手に当たったとき、通常攻撃で削った分のダメージを完全に削り取り、時間が経っても回復させないようにするのです。
これは長期戦が予想される強力な敵が立ちふさがったとき、通常攻撃と爪攻撃をうまく使い分けて削り合う戦いをやらなければ勝てないようになっているため、『Thymesia』ならではのスタイリッシュな操作性とソウルライクらしさが両立した緊張感の作り方だと思いました。
極めつけは “疫病の吸収”です。爪攻撃によって敵の体力を削り切ると、とどめに疫病を吸収するアクションが実行できるのです。
豪快な動きと共に疫病を奪い取ると、なんと敵の一部の能力を1度だけ使えるようになります。たとえば斧を持つ敵から疫病を奪ったなら、斧を振り落とす範囲攻撃を放つことができるようになるのです。この能力は『Thymesia』の世界観を象徴するとともに、状況に合わせて戦略的に使っていく面白さが予感されました。
試遊版の最後には物語に深くかかわるだろう、巨大な騎士が立ちふさがりましたが、戦っても実力差は歴然で、あっという間に倒されてしまうというイベントバトルが待ち受けていました。果たして疫病が蔓延する暗黒の世界で、戦いの先にあるものは何なのか？ 『Thymesia』日本語パッケージ版は9月1日、PS5にて発売予定。ダウンロード版は8月10日、Steam等にて配信予定です。
UPDATE（2022/6/12 18:50）：発売日情報を修正しました。
