2022年9月に放映された「Nintendo Direct」にて、Hazelight Studiosが贈る傑作Co-opアクション『It Takes Two』のニンテンドースイッチ版が11月5日(パッケージ版は12月8日)に発売されることが発表されました。
本作は、ある日突然人形になってしまった不仲の夫婦が、力を合わせて元の姿に戻ろうとする協力プレイ専用のアクションゲームです。The Game Awardsで2021年のゲーム・オブ・ザ・イヤーを獲得するなど、各所から高評価を得ています。かならず2人で息を合わせないと攻略できない仕掛けが満載で、プレイした2人の仲が自然と縮まること間違いなしの作品です。
今回編集部では、同作の開発元であるHazelight Studiosの代表として広く知られるジョセフ・ファレス氏および、ニンテンドースイッチ版の移植開発を担当するTurn Me Up Gamesのルイス・ポラック氏にインタビューを実施。ニンテンドースイッチ版のパフォーマンスや、他機種版への日本語吹き替えの配信時期などスイッチ版に関する気になることや、ゲームのコンセプトなどについてお聞きします。
気になるニンテンドースイッチ版のパフォーマンスは?
――まずは、ニンテンドースイッチ版の発売決定おめでとうございます。Nintendo Directで発表されたトレイラーを見る限り、ハード性能にあわせてビジュアル面でしっかりと調整されている印象を受けました。スイッチ版のパフォーマンス情報について教えていただきたいです。
ルイス・ポラック氏(Turn Me Up Games・以下、ポラック) ニンテンドースイッチ版の画面解像度は720pもしくは1080pで(※注 前者が携帯モード、後者がTVモードと思われる)、フレームレートは30FPSとなります。このパフォーマンスであっても、ユーザーにとっては楽しめるレベルに仕上がっていますし、ゲームが持つユニークなコンセプトも保てていると思います。
ジョセフ・ファレス氏(Hazelight Studios・以下、ファレス) 30FPSでもゲームが持つ素晴らしい映像を楽しんでいただけると思っています。本作は分割画面でプレイすることから、ニンテンドースイッチで60FPSを保つのは難しいのではないかと思います。
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――オリジナル版はPC/PS4/Xbox One向けに2021年3月に発売されましたが、スイッチ版は約1年半越しの発売となります。おすそわけプレイや携帯性などニンテンドースイッチは本作と相性が良いと感じるのですが、スイッチ版はいつ頃から開発がスタートしたのでしょうか。(※注 スイッチ版はローカルプレイには対応している)
ポラック スイッチ版は約1年前から開発をすすめています。
ファレス 少し補足なのですが、本作は現時点ではJoy-Conのおすそわけプレイには対応していません。理由としては画面下のレイアウトの問題やカメラ操作ができないという問題が挙げられます。
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――ニンテンドースイッチは一般的に、他のコンソールよりも本体性能が低いと言われています。ニンテンドースイッチへの移植にあたり、苦労したことなどがあれば教えていただきたいです。
ポラック やはり分割画面でプレイするというゲームの仕様上から、移植においては少し困難な点もありました。また、さまざまなシーンがかなり複雑な作りになっているため、それらの動きの速さや画面上の映像の大きさなどをスイッチ版に移植していくことは少し難しかったです。
しかし、ニンテンドースイッチというものはかなり小さなゲーム機であるにも関わらず、実は非常にパワフルです。また、我々が手掛けた過去の移植経験(※注 Turn Me Up Gamesは過去に『ボーダーランズ レジェンダリー・コレクション』や『トニー・ホーク プロ・スケーター 1 + 2』などのスイッチ移植を手掛けている)を活かし、非常に満足の行くものになったと思います。
――ニンテンドースイッチ版には、初の日本語吹き替えが収録されます。以前、弊誌が問い合わせたところ、他機種版には後日配信されるとの回答をいただきましたが、具体的な配信予定時期は決まっていますか?
ポラック&ファレス 他機種版への吹き替えの配信は今年の年末頃を予定していますが、具体的な日程は決まっていません。なお、日本語に加えてドイツ語、フランス語、スペイン語の吹き替えも収録されます。
これまで“2人組”が主人公のゲームを制作してきたHazelight Studios。『It Takes Two』で“夫婦”というテーマを選んだ理由とは?
――『ブラザーズ』は兄弟、『A Way Out』は監獄で知り合った2人と、Hazelight Studiosやファレス氏はこれまで主人公が“2人組”のゲームを世に出してきました。本作もそれは例外ではありませんが、夫婦というテーマを選んだのはなぜでしょうか。
ファレス 過去の作品では、「人とのつながり」あるいは「信頼」といったキーテーマがあったと思います。本作では相手とコミュニケーションを取ってゲームを進めていかなければなりませんが、どんな関係性においてもコミュニケーションが大事である、ということを踏まえて、離婚を考えている夫婦というテーマを選びました。
もう1つの理由として、いわゆる「ラブコメ」というものがゲームにおいては今まであまり扱われてこなかったというものがあります。我々は常に新しいことに挑戦していきたいと考えているので、本作では、それを題材にしたかったのです。
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――本作は一見するとファミリー向けの作品に見えますが、3Dアクションゲームとしては歯ごたえがあったり、目玉を掃除機で吸うなど強烈な倒し方をしたりといった点からプレイした際にはゲーマー向けの作品に感じました。本作を制作するにあたって、どのような層をターゲットにしていたのでしょうか。
ファレス 実は我々は「ターゲット層」という言葉を使うことはありません。というのも、ゲーム制作において大事にしているものは我々が持つビジョンや信じることで、それを軸にゲーム制作をしているからです。
あえて本作のターゲット層を決めるのであれば、「ゲーム好きな人たち」あるいは「楽しいゲームをプレイしたい」と思っている人たちに向けて作りました。本作にはかなり様々な要素が詰め込まれていますから、マーケティングチームはかなり苦労したようですね(笑)
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――Hazelightおよびファレス氏の過去作はアドベンチャーゲームに近いものが多かったと思うのですが、本作は様々な仕掛けが楽しめて、3Dアクションゲームとしてかなり成熟した印象を受けました。何か参考にしていたり、影響を受けた作品はありますか。
ファレス 日々生活する中ですべての物から影響を受けているとは感じます。物語の構成で影響を受けたものとしては、かなり多くの人が影響を受けているものだとは思うのですが、ピクサーの作品ですね。それに加えて私は任天堂のゲームが大好きで、任天堂のデザインにおけるアプローチには非常に感銘を受けているので、そういったことを考えると任天堂に影響を受けているといえます。
本作は、ゲーム制作の上で感じている任天堂への愛や敬意を示すラブレターのような作品になっていると思います。そのため、この度ニンテンドースイッチでリリースできるというのは非常に感慨深いですし、面白い試みですね。
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――先日、ファレス氏が次回作のちら見せツイートを行っていました。あのツイートを見て「次の作品は親子かな」などと想像が膨らみますが、こちらについてなにか話せる情報はありますか。
ファレス 残念ながら今のところ具体的な情報は共有できません。まだ制作が始まったばかりですが、素晴らしく面白いプロジェクトになっていると思います。ツイートに関してはあまり深く考えずに写真を投稿しただけなのですが、この写真を見た人たちが「次はどんなゲームになるんだろう?」と議論してくれることがねらいでした。
また、実際に受けた反響に我々も驚いています。色々な人たちが我々の次のゲームを楽しみにしてくれているということだと思いますので、非常に嬉しく思います。
――Hazelightの前作『A Way Out』は、現在日本語に対応していません。『It Takes Two』のヒットによって日本国内におけるHazelightへの注目も高まっているかと思うのですが、今後同作の日本語ローカライズが行われる可能性はありますか。
ファレス 正直なところ、今のところローカライズが行われる予定はありません。もちろん100%行われないとは断言できませんが、ローカライズの担当は別の会社であり、Hazelightは次回作に向けて活動しています。ですがやはり、世界中にファンが増えていく中でもっといろいろな人にプレイしてもらいたいという思いはあるので、日本語を含めた他言語でのローカライズも将来的にはあり得るかもしれません。
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――ありがとうございました。
ニンテンドースイッチ版『It Takes Two』は、11月5日発売予定。PC(Steam/Origin)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けには現在配信中です。
なお、1本買うと片方のプレイヤーは無料でプレイできる「フレンドパス」機能が提供されているほか、EA PlayやXbox/PC Game Pass向けにも配信されています。