最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回は、パブリッシャーDeck13と開発者Matthias Linda氏より2022年12月8日にPC(Steam/GOG.com/Microsoft Store)/ニンテンドースイッチ/Xbox Series X|S/Xbox One/海外PS4/サブスクリプションサービス「Xbox/PC Game Pass」にリリースされたドイツ産JRPG『Chained Echoes(チェインド・エコーズ)』の爆速プレイレポをお届けします。
本作はドイツのゲームデザイナーであるマティアス・リンダ氏が1人で約7年の開発期間を経て完成させた渾身のJRPGで、中世ファンタジーとSF的な巨大ロボット兵器が登場するどこか懐かしさを感じられる世界観となっています。
ゲーム冒頭の特徴的なワンシーンからも、SFCや初代PSから影響を受けたというドット絵や世界観を見てとれます。また、Linda氏も気に入っている音楽はEddie Marianukroh氏が担当。なお、執筆時点では日本語未対応ですが、2019年のKickstarterにて資金調達をしており、その際に達成したストレッチゴールの1つである日本語化は近日追加予定とのことです。
『Chained Echoes』とは
本作は、争いや陰謀が絶えない「バランディス大陸」を舞台に、さまざまな境遇の仲間や巨大ロボットも登場する16ビットスタイルのJRPGです。
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JRPGのゲームシステムやグラフィックを継承しつつ、独自バトルシステム「オーバードライブ」により、ターン性RPGに新たなスパイスを加えています。また、武具のクラフトシステムや飛空艇のカスタマイズ、比較的自由に探索可能なフィールドなど原点回帰にとどまらない内容です。
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テンポの速いゲームプレイも特徴の1つで、戦闘終了後は全回復するため戦闘後の手当は不要です。また、一度アクティブにしたテレポートストーンには、基本的にいつでもワープ可能。戦闘も特定の場面以外は逃げることができ、煩わしさを排除した作りになっています。
『Chained Echoes』の実内容に迫る!
本作は、「バランディス大陸」を舞台に3つの王国Taryn、Escanya、Gravosが156年もの間、終わりの見えない争いを続ける最中、ひとり目の主人公である「Glenn」の物語からはじまります。冒頭『クロノトリガー』をオマージュした場面からスタート。
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メインキャラクターの1人「Glenn」は、傭兵軍「Band of the Iron Bull」の空飛ぶ巨大ロボット「スカイアーマー」を操るエースパイロット。指揮官「Marlock」の指示のもと、敵砲台のエネルギー源の「Opus Stone」を破壊するミッションを受け戦場へ向かいます。なお、スカイアーマーとは本作における飛行可能な人型ロボット兵器のことです。それに乗り込み敵地へ。
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バトル開始前にはチュートリアルがあり、新しいシステムが有効になった際に度々出てきます。ただし、後で読み返すことが出来ないのが残念です。本作では戦闘終了後にヒットポイントやTP(テックポイント)が全回復するため、都度アイテムやスキルを使用して負傷した仲間を回復させる必要はありません。
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スカイアーマー同士のバトルでその威力を垣間見ることが出来ますが、敵のスカイアーマーを倒した直後に砲台からのエネルギー砲が当たり、海辺に墜落してしまいます。
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スカイアーマーが「Opus Stone」を破壊するのに最も有効な手段と考えていたGlennは少し失望したものの、仲間の「Kylian」と共に極力戦闘を避けて目的地へと向かうことに。しかし道中Glenn達が乗っていた飛空艇が墜落……。ですがなんとか味方と合流します。
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仲間と合流しミッションの目的である「Opus Stone」を発見。しかし、その破壊を妨害するスカイアーマーに乗った敵「Wywyan」が現れボス戦に……。
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なんとかボスを負傷させ、破壊しようとすると石が何かを知っている「Wywyan」は、それは砲台のエネルギー源「Opus Stone」ではなく「Grimoire」なんだ!と……Wywyan。「そんな奴のことなど聞かずに破壊するんだ!」と傭兵軍の指揮官「Marlock」は「Glenn」に指示を出し、謎の石を破壊してしまいます。すると、1つの都市が光に飲み込まれ大爆発!
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「バランディス大陸」で156年続いた三王国間の権力争いは、この謎の爆発によって一時停戦。どの国も街一つを覆うような規模の破壊兵器の所有を否定したため、各国は恐怖から和平条約を結び平和が訪れます。その1年後、Escanya王国の都市「Farnsport」にて終戦1周年を祝う祭事が行われることに。そこへさまざまなバックグラウンドをもつキャラクター達が引き寄せられ、戦争を再開させようとする陰謀と謎の石「Grimoire」を巡るストーリーが本格的に始まります。
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テンポの良さとターン制RPGにおけるマンネリ化の解消
『Chained Echoes』はターン制RPGで、戦闘時は予め画面右上にキャラクターが行動可能になる順番が表示されています。シンボルエンカウントとなっており戦闘を避けることも可能です。
本作の雑魚敵は思いのほか体力があり1回の戦闘は少し長め。ただし、フィールドに敵が多く配置されている訳ではないので、雑魚を倒すのに時間が掛かってもあまり気になりません。また、戦闘はイベント時を除いて基本的にいつでも逃げられます。戦略ミスで負けそうだと思ったら一度逃げて再挑戦もありです。
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本作の特徴である「オーバードライブ」は長い戦闘におけるマンネリ化を解消する有効なバトルシステムの1つになっています。画面左上に表示されるオーバードライブは、黄、緑、赤色のセグメントに分かれたバーのUIです。キャラクターが戦闘アクションを行うと、UIに表示された矢印がその都度右側へ移動し、緑の範囲に矢印がくると「オーバードライブ」状態になります。
矢印が緑の範囲にあるとパーティ全員のダメージが増加し、受けるダメージが減り、スキル使用時に消費するTPが半分になり戦闘で有利な状態になります。
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ただしその状態が常に保てる訳ではありません。矢印は、基本的に行動する度に右に移動していき、赤色の範囲に入ると「オーバーヒート」状態になり敵から受けるダメージが増加します。
パーティに有利な緑のオーバードライブ状態に戻すことができますが、それにはいくつか方法があります。戦闘時にキャラクターを切り替えて場に他のキャラクターを出す、防御態勢をとる、使うスキルを変えることで矢印を左側に移動させる、などです。このオーバードライブは、常に同じスキルやキャラクターを使うといった、ゲームプレイにおける戦略のマンネリ化を解消するのに設定されているのでしょう。
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戦闘中のキャラクターの入れ替えにはターンを消費することはありません。また、敵の弱点や盗みが有効かどうか分析する必要はなく、初めから何の属性攻撃が有効か表示されています。
本作の売りでもあるテンポの良さはバトルだけではありません。負傷したパーティメンバーは、戦闘不能の有無に関わらず戦闘終了後に全回復するため、回復させるという手間が省かれています。回復アイテムなどは存在していますが、戦闘中にのみ使用可能です。
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探索可能なエリアは各地域で分割されてはいるものの、1つのエリアは比較的広く自由に探索できます。ストーリー上同じ場所を行ったり来たりする場面もありますが、フィールドには、ファストトラベルの行き先となるテレポートストーンが点在していて、いつでも利用できるうえアイテムを消費する必要もありません。
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成長要素については、一定の経験値を得るとレベルが上がるシステムではなく、ボスや特定の敵を倒すと手に入る「グリモアの破片」などでキャラクターを強化していきます。「グリモアの破片」は新たなスキルの習得や、パッシブスキル又はステータスボーナスの内1つの強化に用いることができ、それが本作の主要なレベルアップとなっています。
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その他に雑魚を倒すと得られるSP(スキルポイント)があり、スキル自体のレベルアップに使用します。基本的に「グリモアの破片」がないとキャラクター本体の劇的な強化は行えないため、ボスを倒す為にレベル上げに専念するといった行為は不要となっています。テンポよく進めることが本作の1つの要素であり、ストーリーに集中し易い作りになっています。
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本作にはクラフト要素や飛空艇のカスタマイズ、巨大ロボット、ユニークモンスターと呼ばれる特殊ボスなど多くの宣伝されている要素がありますが、会話をしっかり読みつつプレイした場合、約6時間のプレイ程度では唯一クラフト要素のみしか利用できませんでした。残念ながら飛空艇や巨大ロボットを任意に使える場面には辿りつけなかったので読者の皆様には是非実際プレイして確かめて頂きたいところです。
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本作のクラフト要素は、素材を集めての武器と防具の強化の他にも、特性が付与されたクリスタルをはめ込んで能力を付与することも可能です。そのクリスタルにもレベルがあり、同レベルを合体させると更に上のクリスタルが解放されていきます。また、ショップでは新たな武器を買う以外にも、素材を売ることでショップメニューに「Deals」が解放され、売った素材にあわせた新たな武器が入手可能に。
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ここまで紹介してきた『Chained Echoes』ですが、他にも「Reward Board」と呼ばれるタスク達成でアイテムやスキルポイントが貰える要素などもあり、Matthias Linda氏1人で開発したとは思えないほどこだわりが沢山つまっています。ただ、やはり1人で開発したということもあり、会話時に表示されるキャラクターの顔に感情表現がなかったり、フィールド上のキャラクターが棒立ちでアニメーションがないのが残念な点です。細かい点ではありますが、それらが加わるだけでも世界に生き生きとした印象が生まれてくるはずなので悔やまれます。
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しかしながら、それぞれのキャラクターのストーリーパートもあり、物語自体はしっかりと作られている印象です。ドイツ産ながら、「これぞJRPG」といった要素がふんだんに盛り込まれています。SFC時代の様なJRPGを求めているユーザーには特にオススメで、今後日本語が追加されたタイミングでいいでしょうが、手に取ってみてはいかがでしょうか。
対応機種: PC(Steam/GOG.com/Microsoft Store)/ニンテンドースイッチ/Xbox Series X|S/Xbox One/海外PS4
記事におけるプレイ機種: PC(Steam)
発売日: 2022/12/08
記事執筆時の著者プレイ時間: 6時間
価格: 2,980 円