■特殊能力で、テンションはまさにヒーロー気分!
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基本的な移動や、銃の取り扱いなどに慣れた頃、Thirdverseの方から「アビリティも使ってみては?」とアドバイスをいただきました。ヒーローごとに特殊能力が3つ(ベーシック、インスタント、アルティメット)あり、どれもオンリーワンなものばかり。だからこそ、アビリティの使い方次第で、戦局に大きな影響を与えられます。
しかもアビリティの発動手段が格好良く、左手の操作でアビリティのメニューを呼び出すと、円心上にマーカーが表示され、それを指でなぞると印が描かれ、完成するとアビリティが成立。そのまま即座に発動させるもよし、成立状態で維持したまま移動し、戦闘中に発動させるのもよしです。
今回発動させたアビリティは、範囲内にいる敵のスピードを落とすという、デバフ系の効果を持つもの。敵と対峙した瞬間に食らわせれば、その隙をついて有利に戦えそうです。
緊張感が相変わらずですが、切り札を持ちながらの移動は高揚感もあり、「早く力を使ってみたい……!」と期待する気持ちも湧き上がります。なんだか、異能に目覚めたばかりの能力者みたいです。
すると、敵の気配を感じた仲間が、筆者よりも先にアビリティを発動。途端に、前方に視界を遮るスモークが出現します。
「これを盾にすれば、相手に見られずに自分のアビリティを展開させられそうだ」と、意気揚々と半円球に近づき、いざアビリティ発動──と思いきや、視界を覆うほどの青い閃光が。そして、ダメージエフェクトと共に倒れる自分。あれ、一体何が起きたの?
突然の事態を受け、フリーズ気味に固まっていると、「障害物を貫通するアビリティを食らったみたいですね」との解説をいただきました。なるほど、あれは敵の攻撃だったのか……。
味方のアビリティを活用し、自分のアビリティを活かそうと思ったら、相手のアビリティに潰される。まるで映画や漫画のような、ヒーロー同士の戦いをその身で体験できました。ただし、やられ役側ですが!
■腕前が重要な一方で、逆転要素も垣間見える『X8』の魅力
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慣れていないため、おぼつかなかったり無頓着だったりと、自分のプレイは色々と穴が多かったと思います。そのため負けるラウンドも多く、いい勝負に持ち込めなかったのは悔しい限りです。
しかし失敗に落ち込むよりも、直前のミスを次のラウンドで繰り返すまいといった気持ちの方が強く、「残りの弾数をこまめにチェック」、「仲間との連携を意識しよう」、「高所からの攻撃にも気を付けないと」、「別の銃を試してみるか」と、やりたいことや出来ることが広がっていきます。
特に、銃のリロードとアビリティは、『X8』のバトルで重要な位置を占めると実感。一方、それぞれやり方を覚えると、当初のような戸惑いはなく、ぎこちないながらもバトルの中に組み込み、一定の効果を発揮できるようになりました。そうなると、プレイ意欲もさらに沸き、次のラウンドが一層待ち遠しく感じます。
リロードの手順自体は全ての銃で共通ですが、スライドする位置は銃の形状によって違いが。そのため、使い慣れない武器だと少し戸惑う場合もあります。ロスとしては数秒ですが、リアルタイムな撃ち合いの最中における数秒がどれほど大きいかは、シューター系の経験を持つ方ならご理解いただけるかと思います。
逆を言えば、このリロードの手間も『X8』が持つゲーム性のひとつ。よほど実力差がない限り、一度もリロードせずに勝つのは至難でしょう。そして、リロードは無防備な隙を生み、上級者であってもやられる危険性が生まれます。だからこそ、いかに悟られずにリロードするか、そして敵のリロードタイミングを見極めて攻められるかが、非常に重要なポイントと言えるでしょう。
逆転要素にもなり得る「リロードの駆け引き」自体は、一般的なシューターに共通する要素なので、本作に限った話ではありません。ですが、1ラウンドが最大3分と短いのに、リロードの手順を多めに設定した『X8』は、その駆け引きに重きを置き、逆転要素を強めているように感じました。
もちろん、各キャラクターごとに用意されたアビリティも、勝敗を左右する大事な要素。タイミングを見極めれば、戦況を覆すほどの威力を発揮しますし、綺麗に決まると爽快感も格別です。今回のプレイではそこまで気が回りませんでしたが、味方同士のシナジーも考慮するとさらに効果的でしょう。
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今回のプレイではそこまでの習熟には至れませんでしたが、腕前が上達すれば、右手の銃で敵をキルしたり制圧しつつ、左で印を描いてアビリティを発動といった、まさしく“ヒーロー”なプレイも味わえそうです。
そんなシチュエーション的な格好良さは、決して見た目だけでなく、対戦する上でのアクションとして取り入れられており、スタイリッシュと実用性が両立できるのも、『X8』の魅力的な要素だと実感しました。
今回はプレイ時間が限られていたため、体験としてお伝え出来る範囲は以上となりますが、ひとりのヒーローにつき3種類あるアビリティを使い分ければ、戦略はさらに広がりを増すでしょう。また、アビリティとは別に、これも各キャラで異なる“ヒーローアイテム”といった要素もあり、『X8』で掘り下げられる対戦の奥深さは、まだまだ底を見せません。
現在も開発中なので、仕様やプレイ感が変わる可能性もありますが、VRならではの没入感を上手く盛り上げるシステムや演出、短いサイクルによるテンポのいい展開、銃とアビリティを併用する楽しさとやり甲斐、その全てが噛み合った時の臨場感は、『X8』の魅力として製品版でも味わえることでしょう。
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最初は操作に戸惑う面もあるかと思いますが、対戦プレイとは別に、操作の手順や射撃を練習できるチュートリアルが用意されているので、焦らず満足いくまで練習できます。また、腕前に応じたマッチング制度も予定されているので、VRシューターは初体験という初心者もご安心ください。
また『X8』は、製品版リリース後に新たなゲームモードなどの導入が計画されているほか、eスポーツ展開も視野に入っているとのこと。コラボレーションや大会の実施等が検討されているので、発売後の動きを見据えて腕を磨いておきたいところ。
到底遊びきれなかったため、まだ未知数な部分も多いものの、VRシューターのさらなる境地を目指す『X8』。発売は2023年春を予定しています。
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