宇宙人…UFO…あなたは、地球外生命体の存在を信じますか?筆者は「この広い宇宙の中で人間しか生命体がいないと考えるほうがおかしいよな……」と現実的な考えを持っていますが、やはりちょっとロマンを感じる存在ですよね。
長い間存在は噂され、たまに真偽不明の目撃証言は挙がるものの、まだ明確に存在が証明されているわけではありません。不自然なくらい見つからない地球外生命体ですが、もし政府や警察がその存在を隠蔽しているとしたら……?
『Greyhill Incident』は、宇宙人の一種であるグレイをテーマにしたサバイバルホラーゲーム。本稿では、そんな本作のプレイレポをお届けします。なお、筆者がプレイしたのはバージョン1.0.2になります。
『Greyhill Incident』とは
本作は、90年代初頭のアメリカ、グレイヒル村が舞台の宇宙人ホラーゲームです。政府はUFOの存在を「気象観測気球である」と発表しているものの、グレイヒルの住人は政府の隠蔽であると疑って止みません。警察にそのことを訴えると精神病棟に送られてしまうため、日に日に権力への不信感は増すばかりです。
グレイヒルの中では比較的常識人である主人公ライアン・ベイカーは、ここ数日活発化する村の異変に立ち向かうため、野球バットと少しの弾薬が入ったリボルバーを手に宇宙人と戦います。
グレイヒルは怪しげな雰囲気満点!
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ゲームを開始すると、自宅でご近所さんと通話するシーンから始まります。すると突然、外で飼い犬・マックスが吠え出したため、様子を見に行くことになります。
庭に出ると、小屋から激しい物音が……。様子を確認しようとするも扉がロックされていた上に、謎の青白い光を発しています。
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落ちていたバールでドアをこじ開けるも、中は棚が倒れているだけでもぬけの殻……。外に出ると、飼い犬が何かを見つけ家の外に飛び出してしまいます。
犬を追いかけていくと、トレーラーハウスにたどり着きます。中には陰謀論者なご近所さんのひとり・ボブが住んでいます。
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ビジュアルのインパクトがめちゃくちゃ強い!全体的に陰気な本作の中でなぜか陽気な性格なのは、宇宙人の怪電波の影響でしょうか……? 一瞬くたびれた『バイオ◯ザード』のレ◯ンに見えたのは内緒。
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ボブと話していると、突然地面が揺れだし、外からまばゆい光が差し込んできます。外の様子を見ると、なんとグレイヒルの地に空飛ぶ円盤が降りてきていたのです。
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急いで家に戻ると、息子がUFOにさらわれている光景を目の当たりにします。主人公は拐われた息子を取り返すべく、グレイに立ち向かわなければなりません。
グレイヒルは明かりが少なく、怪しげな雰囲気がたっぷり感じられます。グラフィックの品質も比較的高く、霧で遠くが見渡せないようになっているため、時折本当に恐ろしく感じられる場面も存在します。
ゲーム部分はかなり難あり…
本作のゲームプレイはミッションに従って目的地へ進むアドベンチャーパートと、グレイに見つからないようにマップを進むステルスパートに分けられます。しかしながら、ステルスパートの出来は正直かなり残念なものになっています。
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ステルスパートでは、しゃがんだり、グレイが発する声の方角をよく聞いたりして、周辺を徘徊するグレイたちに見つからないように目標をこなしていく必要があります。見つかるとグレイに追いかけられ、捕まると誘拐されてしまいます。
対抗策も用意されており、捕まってもEを連打すると脱出してゲームオーバーを回避することができます。またマップ内で入手できるリボルバーと弾丸を持っていればグレイに撃つことができ、2回当てれば死亡します。ただし弾数は非常に限られているので、緊急時にのみ使用するものになります。
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弾が切れると基本的に逃げるしかなくなりますが、グレイの感知能力が非常に高く、一度見つかると完全に逃れるのはほぼほぼ不可能といっていいでしょう。こちらが視認していないのにいつの間にか見つかっていて捕まってしまうということも多々あり、非常にストレスが溜まります。加えて追跡能力が非常に高く、脱出しても必ずと言っていいほど再び捕まってしまいます。逃れるための隠れ場所も用意されていますが、多くの場合意味をなしません。
最初の頃は確かに未知であるグレイへの恐怖や緊張感を感じますが、それは見つかる度に徐々に面倒臭さに変わっていき、最後には冷めてしまいます。
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ではステルスのないアドベンチャーパートなら面白いのかというと、気持ちよくうなずくのが難しい、というのが実際のところ。マップがなく似たような景色が続くため非常に迷いやすいですし、後述の理由でそもそもどこに行けばいいのかわからない場面も多くあります。また、入手すべきアイテムが背景と同化しておりパッと見つけづらいという問題も抱えています。
クリアまではおよそ3時間半ほどと短めの作品であるようですが、筆者はあまりのわかりにくさ、見つかりやすさ、逃れにくさに耐えきれず2時間半で断念してしまいました。雰囲気のあるグラフィックや未知へ挑戦するというテーマ、アイコニックなキャラクターやグレイの恐ろしさなど魅力的な点は間違いなくありますが、ゲームの作りの甘さがそれを上回ってしまっています。
あまりにもチープな日本語訳。機械翻訳かと思ったら……?
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日本語の品質はかなり低く、キャラのセリフやメニューなどいずれも意味が汲み取れない部分があるほど酷い翻訳になっており、「Load→負荷」「Alien→外国人(在留外国人に対して使う侮蔑表現らしい。参考)」など普通のゲーム翻訳では考えられないような誤訳も多々見られます。
クレジットを確認したところ、機械翻訳かと思いきや、どうやら「1,000ワード 5ドル(編注:一般的な相場より圧倒的に安い)で承ります!」という怪しげな業者に依頼した模様。4年以上の翻訳経験を謳う業者が翻訳したそうですが、サンプルテキストを見てもかなり歪な日本語となっています。正直機械翻訳をそのまま載せたもののほうが幾分もマシと言えるレベルの出来であり、まともにプレイするのはかなり厳しいと言えるでしょう。
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ゲーム本体のクオリティはともかく、やはり海外の、ひいてはインディーデベロッパー視点では日本語訳の良し悪しの判断は難しいのかもしれません。
魅力的な部分はあるけど、ゲーム・日本語訳共に低品質で、あまりオススメしづらいスパ……。
対応機種:PC(Steam)/PS5
記事におけるプレイ機種:PC
発売日:2023/06/09
記事執筆時の著者プレイ時間:2.5時間
価格:2,800円(PC通常版)/3,520円(PS5通常版)
※UPDATE(2023/6/18 23:30):本文中の誤字を修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございます。