今回ご紹介する『Xenonauts 2』は、7月18日に早期アクセス開始を予定している戦術重視のSFストラテジーゲームです。舞台は冷戦が続く架空の2009年。プレイヤーは忍び寄るエイリアンの脅威から地球を守る多国籍軍の司令官となり、戦略と戦術の両面から未知の侵略者に挑みます。開発を手がけるのはGoldhawk Interactive。パブリッシャーはHooded Horseです。
本作は戦略と戦術の2つの画面を交互に行き来しながら進行します。ゲームの中核をなすのは戦術画面で、一人ひとりの兵士を指揮してエイリアンとターン制の戦闘を行います。派手な3D演出こそありませんが、一手一手が生死につながる戦闘はスリリングで手に汗握るでしょう。一方、リアルタイム進行の戦略画面では基地の管理やUFOの迎撃を行います。そのシステムは『X-COM』シリーズの影響を色濃く感じさせます。
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戦闘システムの特筆すべき点は、行動力の管理が非常に細かいことです。移動、しゃがみ、方向転換などにそれぞれ行動力を必要とするだけではありません。攻撃では狙いの付け方や射撃モードによって行動力が異なり、主武器と副武器でも行動力が変わります。一見面倒なようですが、移動指示や攻撃指示は目標を直接クリックするだけの簡単操作で、行動力の残量も見やすいグラフで表示するなど、プレイのしやすさを損なわずに奥の深い戦闘を実現するための工夫がされています。
本稿では開発中の英語バージョンでの先行プレイレポートをお送りします。製品版とは内容や日本語訳が異なる可能性があることをご了承ください。なお、本作は早期アクセス開始と同時に全編日本語によるローカライズが行われる予定です。
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基本システム
実際のゲーム進行をレポートする前に本作の基本システムをご紹介しましょう。冒頭でも簡単に説明した通り、本作には世界地図が表示される戦略マップと作戦地域が表示される戦術マップの2つの画面があります。
戦略マップでは、基地と兵士のマネジメント、研究や開発、地球に飛来するUFOの迎撃などを指示します。世界地図が表示されている画面では常にリアルタイムで時間が進むので注意が必要です。ゲームの進行速度は4段階で調節できますが、一時停止はできません。うっかりよそ見をしていると、知らない間に時間が進んでしまうので気をつけましょう。
ちなみに、基地の施設画面など世界地図以外の画面に切り替えればゲーム進行は一時停止します。また、ウィンドウで通知される出来事が発生した場合にも自動的に一時停止するので安心です。
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戦術マップでは、基地から兵士を派遣して撃墜したUFOやエイリアンの活動を調査します。調査の目的は、基地で研究するためにエイリアンの死体や技術を持ち帰ることです。もちろん、調査には戦闘が伴います。戦術マップは斜め上からの見下ろし型(クォータービュー)で、地形は四角形のマス目に区切られ、高低差の概念があります。戦闘は自分のチームと相手のチームが交互に行動するターン制です。
兵士にはさまざまな能力値が設定されていますが、最も重要なのはタイムユニットという値です。これが行動力にあたり、移動、攻撃などあらゆる行動にそれぞれの消費行動力が決められています。例えば、向きを45度変えるのに1行動力、しゃがむのに4行動力、ライフルを撃つのに25行動力が必要といった具合です。兵士が1ターンに行動できる回数は行動力の量で決まり、行動力が残っている限りどの兵士をどんな順番で何度動かしても構いません。
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着任
プレイを開始すると、最初にエイリアンの大規模侵略のときが近づいていることが知らされます。侵略開始は数週間後か、あるいは数カ月後かわかりません。少なくともそう遠くない未来であることは間違いないようです。司令官となったプレイヤーはその侵略に立ち向かわなくてはなりません。まずは、エイリアンの技術をいち早く手に入れ、研究者に渡すことが使命になります。
しかし、それだけではありません。地球人類がパニックを起こさないように世論にも気を配る必要があります。世界の各地域にはパニックレベルという値が設定されていて、エイリアンに関する怪事件が起きるたびに値が上昇していきます。今回のプレイでは確認できませんでしたが、この値が一定以上に達すると重大な問題が起きるようです。
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司令官としての初仕事は基地の場所を決めることです。基地は地球上のどこにでも自由に設置できるので、今回は東京に配置しました。これで地球外生命体はことごとく東京タワーを目指して侵攻して来るようになるのでしょうか。
戦略マップには世界地図の他にも、基地、研究、開発、兵士、武器庫などのサブ画面があります。例えば、基地画面では資金を消費して基地の施設を増築できます。資金には限りがあるので、優先して建設する施設を戦略的に選ぶ必要があります。
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司令官になって2日目。中国西部でエイリアンの調査チームが密かに活動しているとの報告が入りました。さっそく、エイリアンの殲滅と研究材料の確保のため戦闘部隊の派遣を命じます。
部隊を派遣するには、兵士の運搬に使用する輸送機の選択と装備の最終調整が必要です。兵士の装備には、主武器、副武器、防具、所持品の区別があり、装備重量の概念もあります。初戦闘なので難しいことは考えず、重量に余裕のある兵士に追加の防具を与えただけで送り出しました。
6時間後、輸送機が現地に到着。画面が戦術マップに切り替わります。いよいよファーストコンタクトです。
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死角
輸送機の後部扉が開くと、そこには南国風の植物が生い茂る空き地と事務所らしき建物が一つありました。そして、事務所の横には謎の男が立っています。基地の科学者によると、この地域には地球外生命体がいる可能性が高いそうです。
まずは自分のターンです。シールドを構えた兵士が謎の男に近づくと、突然背後から銃撃を受けました。男が撃ったのではありません。背後からです。なんと、輸送機の死角にエイリアンが3体も隠れていました。幸い3発の銃弾は命中しませんでした。
それぞれの兵士には視界があり、自分が向いている正面の一定距離までしか見えません。周囲を見渡すには行動力を消費して向きを変える必要があります。また、武器には射程があり、射程を超えると命中率とダメージが減少します。
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銃撃を受けた兵士を守るため他の兵士を前進させ、事務所の周囲の柵に沿って展開。全員を物陰に入れてしゃがませ、エイリアンの攻撃に備えました。射撃する場合、射線上に遮蔽物があると命中率が大きく下がるので、遮蔽物に身を隠すのは有効な防御法です。また、ほとんどの遮蔽物は手榴弾などで破壊可能です。
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ここまでで自分のターンは終了。次はエイリアンのターンです。
エイリアンたちは銃を撃ちながら接近してきました。最初に飛び出したシールド兵が集中攻撃を受けて重傷を負い、出血してしまいます。シールドも破壊されました。出血した兵士は救急キットで治療しないと毎ターン体力を失います。
しかし、やられてばかりもいられません。味方も監視射撃で応戦します。監視射撃は、射撃に必要な行動力を残してターンを終了すると、相手のターン中でも視界に入った敵を自動で攻撃できるルールです。最初のターンにエイリアンが奇襲を仕掛けてきたのも、このルールが適用されたからでした。
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再び自分のターンになりました。スナイパー兵とライフル兵が接近してきたエイリアンを1体ずつ撃破。残った1体は次のターンに視界外に逃げていきました。最初の男も別の方角に逃走。どうやら偶然居合わせた現地の民間人だったようです。
エイリアンとの戦闘はこのように進行していきます。行動力に加えて監視射撃や視界のルールがあるため、どれだけ行動力を残してターンを終了するかが戦術上とても重要な判断になります。
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その後、部隊は事務所の中を捜索。さらに、逃げた敵の姿を求めて事務所の横に広がる広大なコンテナ埠頭を探索しました。その途中、兵士の1人がエイリアンの奇襲を受けて命を落としてしまいます。エイリアンの攻撃は強力で、気を抜いていると兵士は数回の攻撃であっけなく戦死します。
復讐に燃える兵士たちはエイリアンを埠頭の奥に追い詰め、手榴弾でとどめを刺しました。エイリアンは周囲の木箱ごと木っ端微塵になったのです。
筆者は勢いに任せてエイリアンを倒してしまいましたが、手榴弾などの爆発物で敵を倒すと死体や装備が損傷し、回収できる資源が少なくなります。気をつけましょう。
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未確認飛行物体
ここまでで最初のミッションはクリアです。結果は隊員9名中、死者1名、重傷者1名。重傷者は最初のシールド兵で、全治25日の診断を受けて一時的に隊を離れました。生還した兵士は能力値が上昇します。さらに、回収した未知の合金の分析とエイリアンの死体の解剖から、新たな研究が可能になりました。
4日目ごろから世界各地でエイリアンに関する怪事件が1日数件のペースで報告され始めました。エイリアンの活動を見たと主張する農夫が跡形もなく姿を消した、UFOの目撃情報を調査中のジャーナリストが消息を絶ったといった内容です。そのたびに事件が起きた地域のパニックレベルが上昇していきます。
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6日目には基地で研究を進めていた新兵器「MARS」が完成しました。兵士の代わりに偵察任務をこなす小型で高速なリモコン装甲車です。すぐに量産体制に入り、11日目には一号機が完成しました。
基地では科学者に次に行う研究を指示できます。また、研究が完了した装備は資金を投じることで生産可能です。新たな研究を進めるには、エイリアンとの戦闘でサンプルを回収しなければなりません。
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着々と戦力を整えていた19日目。フィリピン上空に初めてエイリアンのUFOが確認されました。UFOは北に向かって飛行中です。すぐさま東京の基地から迎撃機2機を発進させました。これ以降の流れは世界地図マップ上でリアルタイムに進行します。
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1時間半後、迎撃機は台湾近海でUFOと会敵。海上で撃墜するとUFOの残骸が回収できないため、陸地の上空までUFOを追跡することにしました。迎撃機はUFOを追跡しながら東シナ海をまっすぐ北上。ところが、UFOは黄海に入ったところで突然北京の方角に進路を変えました。
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このままでは人口密集地に入ってしまいます。追跡開始から2時間後、中国大陸の上空に差し掛かったところで迎撃機に撃墜命令を下しました。UFOの反撃を受けて損害を被ったものの、迎撃機は見事UFOの撃墜に成功します。
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死闘
UFOを撃墜したあとは墜落地点に戦闘部隊を派遣しなければなりません。負傷中のシールド兵に代えて新兵器のMARSを投入します。
UFOの墜落から2時間半後、輸送機が現地に到着するとそこは夜でした。周囲には生垣で区切られた農地が広がり、レンガ造りの倉庫が見えます。夜は特別ルールが適用され、兵士の視界が狭くなります。また、兵士は手榴弾のように発炎筒を投げ、光源にすることが可能です。
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前回の反省から、今回はいきなり飛び出さずに輸送機の側面にある扉から最初に周囲を確認しました。すると、予想通り至近距離にエイリアンがいるではありませんか。前回のエイリアンよりも体格が良く、重武装のようです。
新手のエイリアンは体力が多く、攻撃力も高い厄介な相手でしたが、MARSと発炎筒を駆使して輸送機の周囲から排除することに成功しました。着陸地点を確保した部隊は続いて倉庫の捜索に向かいます。
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兵士の一人に倉庫の様子を見に行かせたところ、突然物陰からエイリアンが現れ、行動力が足りずに逃げ遅れてしまいました。このままでは次のターンに至近距離から攻撃を受け、命を落とすのは必至です。
悩んだ筆者は兵士から一番近い場所にいたMARSを兵士とエイリアンの間に割り込ませました。MARSに遮蔽物としての機能はありませんが、他に方法を思いつかなかったのです。
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次のターン。エイリアンはMARSを攻撃すると、後方の兵士からの監視射撃を受けて生垣の後ろに姿を消しました。逃げ遅れた兵士は助かったものの、MARSは兵士の盾となり破壊されてしまいます。
姿を消したエイリアンを探し出すため、別の兵士が手榴弾で生垣を破壊。偶然にも生垣のすぐ裏にいたエイリアンは手榴弾の直撃を受けて制圧されました。制圧された敵は行動力をすべて失い、監視射撃もできなくなります。最後は、身動きのできない敵をスナイパーが遠距離から狙撃してMARSの仇を討ちました。
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倉庫の探索を終え、残るは周囲の農地です。夜の農場を捜索していると視界外から攻撃を受けました。その方向に発炎筒を投げたところ、なんと暗闇に巨大なUFOが浮かび上がったではありませんか!
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UFOの船内には墜落の衝撃を生き延びたエイリアンが3体待ち構えており、突入した兵士との間で地球人類の存亡を賭けた死闘が繰り広げられました。
ミッションクリア時の結果は、死者1名、重傷者3名、軽症者2名、MARS損失1体。出撃した9名中、実に7名が戦闘不能になるという惨憺たる有り様でした。基地に残っているのは経験の浅い新兵ばかり。はたして地球人類の運命はどうなるのでしょうか?
ここから先は実際にプレイしてお確かめください。
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行動力に重点を置いた戦術重視のSFストラテジー作品
本作は行動力に重点を置いた戦術重視のSFストラテジーゲームです。類似のテーマで戦術を重視した作品は他にもありますが、本作は行動力の細やかな管理が戦闘の勝敗を左右する点で独特な存在感を放っています。
一見手間のかかりそうな行動力管理ですが、操作や理解を助ける工夫が随所に施されているため、慣れてしまえば面倒に感じることはないでしょう。
エイリアンとの戦いが好きな方、戦術重視のストラテジーが好きな方にお勧めの作品です。
スパくんのひとこと
行動力があと1残っていれば勝てたのに……悔しいスパ!
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)
発売日:7月18日(早期アクセス開始)
著者プレイ時間:12時間
価格:未定
※製品情報は記事執筆時点のもの