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押忍! こちらはゲーマー養成道場なり!
現代、多種多様なゲームタイトルが販売され、売り方も遊び方も変化し続けています。その中には、ただ一周クリアするだけでも難しいタイトルや、たまたま自分のプレイスタイルと合わなくて止めてしまうタイトルもあることでしょう。
しかしながら、美術品も文脈を知らなければ鑑賞出来ないのと同じことで、ちょっとプレイしただけで「これクソゲーじゃん」と決め付けてしまうのは早計というもの。どんなゲームにも対応できるような“勘”を養うために、ジャンルを横断してゲームが上手くなるコツをひとつずつご紹介していきましょう。第3回に取り上げるのはこちら……
最強のゲーマーになるために:格ゲー編
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昇龍拳が出ない~昇龍拳が出ない~♪ 皆さん、対戦格闘ゲームは好きですか? 俺より強いやつと戦いたいですか?
『GUILTY GEAR -STRIVE-』や『ストリートファイター6』といった大物タイトルの流行により、世界大会もストリーミングも大いに盛り上がっている格ゲー業界――しかし、一方では「ゲーセンで試しに100円入れて遊んでたら、バカ強いやつが乱入してきて一瞬で終わった」「せっかく買ったけど、コマンド技は出ないしランクマも勝てないし、もういいかな」といったようなツラすぎる思い出話も聞こえてくるジャンルです。
とはいえ、やっぱり格ゲーは上手くなればなるほどその面白さがジワジワとわかってくるもの。勝ち負けの向こう側にある駆け引きや読み合いの境地を一緒に学んで、一目置かれるプレイヤーを目指しましょう!
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1.好きなキャラクターの「出来ること」から練習していこう
本音を言えば、格ゲーを初めてやるという人には、まずはいわゆる波動・昇龍・竜巻が揃っている主人公キャラクターをオススメしたいところです。1P側のカーソルが最初に乗っかっているキャラクターのことですね。基本が学べますし、どんな格ゲーにも応用が利くので入りやすいかと思います。
具体的に言うとリュウ、ソル、ラグナ、グランといった、いかにも主人公ですというアイツらのことで、『MerFight』で言えばGigiが該当します……え!? 『MerFight』をご存じない!? 出てくるキャラ全員が半魚人で、もちろんステージは全部水中で、泡を使ってキャンセルするシステムがユニークな、あの『MerFight』を!?
……話がそれました。しかしながら、格ゲーは何十人ものキャラを操作できるのが面白いところでもあります。自分がたまたま好きになったキャラが、攻略サイトで「操作が難しくて弱い」なんて書かれてしまっていた人も中にはいらっしゃるでしょう。
とはいえ「じゃあこのキャラ諦めるか……」と匙を投げるのは早すぎます。たとえどんなにプロの間で使われていなくとも、ランクマッチで同キャラを見かけなくとも、貴方が楽しく使っていればそれでいいんです。
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現代で遊べる有名な格ゲーをプレイしていて、どうしようもなく詰んでいる組み合わせに出くわすことはほぼありません。必ずどんなキャラにも強い技や、よく通る連携や、相手をビビらせるセットプレイがあるものです。
まず何よりもキャラクターを好きになり、そしたらそのキャラクターのできる一番簡単な動きを練習しましょう。大事なのは「これはやってて面白いな」という動きをやり続けることです。
人間は不思議なもので、ひとつの動きが出来るようになる頃にはもう半分くらい別の動きに足がかかっているものなのです。玄人っぽい人の強い言葉に心を乱されず、自分の中の「楽しい」を大事にしていきましょう。
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2.勝ち負けではなく自分の中の成長を感じ取ろう
世界で一番有名なプロゲーマー・梅原大吾氏の著書に「一日ひとつだけ、強くなる。」というものがあります。彼の著書を読むと、勝負事や人生の岐路において役立つ大小色々なものが得られるので、格ゲーを抜きにしてもオススメです。
彼の著書「勝ち続ける意志力」などでも語られておりますが、彼は一回二回の勝負にこだわることを良しとしていません。そんな目先の結果よりも、大局観を掴み、真似できない強さを手にすることを目的としたほうがいいと語っています。
これは別にプロゲーマーとしての生き様の話だけでなく、我々が普段遊ぶ日々のカジュアルマッチやランクマッチにも当てはまることでしょう。確かに負けると腹が立つし、ポイントが下がっていくのを見るとやる気も失いますが、それと同時にその一試合分だけ間違いなく成長しているわけです。
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ただ勝った負けただけを考えていては、いつか自分の天井に辿り着いて、負け越す日が来てしまい、やる気がなくなってしまいます。「今日はこの連携を試してみよう」とか「この試合は前々から出来ていなかった動きができたからいいか」と、結果ではなく過程を意識してみてください。
結局は対戦ゲームなんて相手よりどれだけゲームを理解し、多くのことを知っているかどうかですから、それらをひとつひとつ拾っていこうではありませんか。気付いたらとんでもない高みに来ているかもしれませんよ。
3.一緒に始めてくれる未経験者を探そう
顔の見えない相手と無限に組み手をやるのも案外楽しいものですが、流石にストイックすぎるというのもわかります。筆者もランクマッチだけをプレイし続けていると息が詰まります。
そこで、同じくらいの練度の人と“せーの”で始めるのもオススメです。やっぱり何だかんだ友達と遊ぶのは楽しいし、普段は受けるだけでもムカつくようなハメ技でも何となく許せるというものです。
同じ日に同じように始めたとしても、人によって向き合い方や進捗は変わります。流石に何人かは他のゲームに目移りしたり、忙しくなったりしていなくなってしまうものですが、その内の一人くらいは「ちょっとこれガチでやるわ」と言ってくれるもので、そんな人についていくだけで充実した時間が約束されます。下手に色々なゲームを漁るよりも、思い出深い期間になるかもしれません。
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4.対戦以外もゲームの内! コミュニティをチェックして色々な視点を獲得しよう
『ストリートファイター6』の大流行により、あらゆるプロゲーマーたちが名だたる世界大会で好成績を残しています。筆者は以前、直近の『ストリートファイター6』の世界大会ベストバウトまとめといった主旨の記事を書かせていただいたので、良かったらそちらも読んでいただけると幸いです。
eスポーツ選手の勇姿を見て震えることは、かなりのモチベーションになるのは間違いないです。世界大会という舞台に向けて構え、一瞬一瞬に全力を込め、それでも力及ばずに敗けていく者と勝利を掴む者……テレビやスタジアムでプロスポーツを応援するのとまったく変わらない感動がそこにはあります。
トップアスリートと一般ゲーマーでは住む世界が違うとはいえ、彼らの試合から盗める点は多いです。それに加え、トロフィーを掲げる選手の姿や湧きあがるコメント欄を見てるとテンションが上がってきて、いつの間にかコントローラーを握っている自分がいました。「遊ぶ」だけではないゲームの文化に触れてみるのも良いのではないでしょうか。
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といっても、一流の格ゲーマーたちだって大会の日だけ表舞台に出てくるわけではなく、毎日面白くてタメになる配信をしてくれている人がほとんどです。日本の有名な選手の配信をざっと見てみると、皆で人狼を楽しんだり、スイカゲームをやったり、痔になった時のウォシュレットの使い方について本気で議論していたりします(いつ格ゲーを練習しているんでしょうか……?)。コメントとやいのやいの言い合いながら動画や配信を作っている彼らの姿は、現代のゲームがコミュニティ形成の場であることを誰よりも体現していると言えるでしょう。
ちなみに筆者が好きな格ゲーマーはどぐら氏です。その強さは折り紙付きで、「ストリートファイターリーグ」にも出場している選手ですが、普段は関西出身ということもあってギャグに全振りした雑談も多く、ゲームセンター文化と配信文化を足して2で割ったような混沌さがたまりません。ランクマッチやトレーニングモードに疲れたら、一度覗いてみてはいかがでしょうか。
以上、ゲーマー養成道場でした。格ゲーと向き合う力が養えたなら幸いです。
次回もお楽しみに! 押忍!