総合エンターテインメント企業エディアは、ニンテンドースイッチ向けソフト『夢幻戦士ヴァリスCOLLECTION III』を2023年12月7日に発売予定です。
本作は、1986年に発売されたアクションゲーム『夢幻戦士ヴァリス』から始まる「ヴァリス」シリーズのコレクション作品。2021年にシリーズ35周年を迎え、クラウドファンディングサイトにてシリーズ作品復刻プロジェクトをスタート、これまで3回のキャンペーンを行い、いずれも目標額を大幅に超える支援を集めて成功しています。
コレクション第3弾では、シリーズ原点『夢幻戦士ヴァリス(PC-88版)』のほか『夢幻戦士ヴァリス(ファミコン版)』『夢幻戦士ヴァリスII(MSX2)』『ヴァリスIII(メガドライブ)』『SUPERヴァリス(スーパーファミコン)』の合計5タイトルを収録。さらにストレッチゴールでは、ファンの間では伝説となっている伝説のファミコン版プロモーションビデオが含まれることが決定しています。
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本稿では、ファン必携の『夢幻戦士ヴァリスCOLLECTION III』のプレイレポートをお届けします。
ビジュアルやサウンドも収録の豪華コレクション!
本作の収録タイトルではゲーム本編を楽しむだけでなく、当時のマニュアルやパッケージを閲覧できます。また、「ヴァリス」シリーズの特徴である豊富なビジュアルシーンや、評価の高いBGMを閲覧できるモードも搭載されています。
『夢幻戦士ヴァリスII(MSX2)』を起動する際には「FM音源版」「PSG音源版」どちらのバージョンでプレイするかを選べるこだわりっぷりで、当時のプレイヤーが喜ぶであろう細やかな部分までフォローされている印象です。一部タイトルの操作方法に“裏技”が紹介されているのも嬉しい部分です。
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この「ヴァリス」シリーズは、当時のゲーマーがファンクラブを結成したという逸話もある作品。この手のゲームコレクションは当時のマニュアルが見れるものが多いのですが、本作の説明書には当時の人気の理由をうかがわせるようなキャラクター紹介やイラスト、ユーザーズクラブの案内など情報が満載です(当時の住所などは修正されています)。
もちろん当時を懐かしむだけでなく、キーコンフィグ機能なども用意されています。かなり敵の攻撃が激しい作品もあるシリーズなので、キーコンフィグに「攻撃(連射)」があるのはとても助かります。ちなみにこちらはデフォルトではキーに登録されてないので、自分の手で連射したい人も安心ですね。
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巻き戻しとセーブ/ロードで強敵に挑め!
「ヴァリス」シリーズは基本的に難しい作品が多めです。筆者は今回始めて『夢幻戦士ヴァリス(PC-88版)』に触れたのですが、あまりにも容赦ない敵の攻撃にあっという間にゲームオーバーになってしまいました。1986年のゲームでゲームオーバー時にスタッフロールが流れるのはすごいなあ。
ここで活躍したのが、本コレクションに搭載されている「巻き戻し」機能です。この機能を使用すると、今から少し前の時間にゲームを戻すことができるので、ダメージを受けたときやジャンプに失敗したときなどに活用できます。この機能を駆使し、マニュアルをしっかり読み込むことで初代も少しずつ進められるようになっていきました。
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また、もうひとつの「どこでもセーブ/ロード」機能も非常に便利です。これはステージの開始前にセーブしておく、という使い方もあるのですが、当時のハード性能からどうしても生じるゲーム開始時などの読み込み処理をスキップするのにも便利だなと感じます。
本シリーズのマニュアルには敵やアイテム、ちょっとした攻略情報なども書かれているため、ゲーム中いつでも読めるのもありがたい要素。何度やられても、本作に搭載された機能を使って少しずつ学習することで、必ずクリアできるようになっているのです。
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ゲームの進化と発想を感じる5タイトル!
本作に収録されているのはシリーズ初代から含めて5タイトル。「ヴァリス」シリーズはこれまで多くのプラットフォームで発売され、ナンバリングタイトルを元にしたアレンジ版なども多く発売されており、一覧は公式サイトの年表でも紹介されています。
今回の目玉作品は、クラウドファンディングでも“ファンの要望が多かった”という『夢幻戦士ヴァリス(PC-88版)』『夢幻戦士ヴァリス(ファミコン版)』の2タイトルだと思います。こちらは同じタイトルながら大きくゲーム性が異なります。
◆『夢幻戦士ヴァリス(PC-88版)』
1986年に発売された「ヴァリス」シリーズ初代作。セーラー服とビキニアーマーで戦う女子高生が剣と戦うという設定は当時でもかなりインパクトが強かったようです。ゲームとしては横スクロールアクションで、敵を倒しながらステージを攻略して進んでいきます。
本作の主人公・麻生優子はあくまで“普通の女子高生”なので、魔物と戦うために「ヴァリスの剣」の力を使わなくてはなりません。ヴァリスの力はゲーム中でライフのようなもので、ダメージを食らって0になればゲームオーバー。倒した敵が落としたアイテムを拾えば回復するほか、武器のパワーアップアイテムを取る際に「一定数のパワーを消費する」というシステムが設定を活かしたユニークなものです。
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とにかくテンポの速いアクションゲームで、ひたすら襲ってくる敵と戦いながらパワーを稼ぎマップを探索していきます。敵の撃ってくる弾が容赦なく、慣れないうちは背景と足場の区別が付きづらく、操作性も相まって高い難易度に感じます。ビジュアル面に関しても今から37年前と考えると、やはりインパクト抜群だったのではないかと思います。
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◆『夢幻戦士ヴァリス(ファミコン版)』
PC-88版と同じく1986年に発売されたファミコン版は、オリジナルから大きくシステムを変え、マップの探索がより重要なアクションRPGのようなシステムが特徴。また、パッケージにも大きく書かれているようにマルチエンディングシステムを採用しています。
迷路のようになっているマップ内を探索するのですが、ステージ1からかなり入り組んだ構造になっています。マップ内の家の中には回復アイテムや強化アイテム、マップなどが隠されており、一部のアイテムは何度でも取得できます。最初は敵に簡単に殺されますが、この仕様を知ってからは安定したプレイが可能になります。
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ステージが進めばさまざまなエリアが登場し、複雑に組み合わさったエリアの探索はより難しくなります。ただし、武器や防具のおかげで優子の能力もアップしていくので、道を探しながらクリアを目指す面白さは味わえます。かなり難易度は高く道に迷うので、方向音痴の筆者はコレクションのセーブ/ロード機能がなければ進めることが困難でした。
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◆『夢幻戦士ヴァリスII(MSX2)』
1989年に発売された続編タイトルです。ビジュアル面での大きな向上や「着せ替えシステム」と呼ばれる新要素。プレイヤーがゲーム内で発見した服に着替えることで、能力だけでなく見た目も変化していきます。
やはり見た目が変わるというのはモチベーションが上がるもの。パジャマ姿からセーラー服、ブレザー、そしてアーマー姿と、色々な変化を楽しめます。武器の強化もステータス画面から変えられるので、アイテム探しや戦闘スタイルを考える楽しさもあります。
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ステージ背景も過去作に比べて比較的見やすくなっています。もちろん敵は変わらず容赦ないのですが、それでも遊びやすさに関しては大きな進化を感じられる作品です。音源を選択できるのも、復刻へのこだわりを感じます。
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◆『ヴァリスIII(メガドライブ)』
1991年発売。1990年に発売されたPCエンジン版をベースにしたアレンジ版です。本作の最大の特徴はプレイアブルキャラクターが3人存在すること。主人公の優子だけでなく、鞭を使う魔界の戦士チャムと、魔法が得意なヴァルナがプレイ中に変更可能で、攻略にも大きな選択肢が生まれます。
さらに新たなアクションとして「スライディング」「ハイジャンプ」が登場。障害物や罠などを突破するために使う以外にも、マップ内に隠されたアイテムを探し出すのにも有効です。魔法攻撃の性能はキャラクターによって異なるものの、体力や魔法ゲージは3人で共有なのでしっかりとした探索や管理が重要です。
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攻撃範囲など大きく個性が異なるキャラクターは、プレイスタイルや状況によって大きく使い勝手が変化します。アクションはシリーズでおなじみのやりごたえですが、ステージに隠されたアイテムも多いので、しっかり探索すれば有利に戦えます。ただ、足元が滑る一部ステージがかなり難しいですね。
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◆『SUPERヴァリス 赤き月の乙女(スーパーファミコン)』
1992年に発売された『SUPERヴァリス 赤き月の乙女』は、PCエンジンの『ヴァリスIV』のアレンジバージョン。本作の主人公は優子ではなく、新たなヴァリスの戦士として選ばれたレナという少女です。
ゲームとしてはステージクリア型のオーソドックスなアクション。ステージ内で拾える攻撃や回復アイテムをストックできるのが特徴で、シリーズ恒例でもある「変身」もアーマーを使用することで行います。また、難易度やゲーム内容でクリア後にランクが決まるのですが、当時はこの発見したランクの数の多さでプレゼントが貰えるキャンペーンも行っていたようです。
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スーパーファミコンらしい美麗なドット絵は印象的。アイテムをいかに集めるかというのもスコアに大きく影響するため探索が大切なのですが、本作は「ステージにいる時間が長いとボスの体力が増えていく」というシステムがあるため、探索と攻略のバランスが求められます。
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シリーズの原点であるPC-88版の『夢幻戦士ヴァリス』をはじめとした作品が収録されている本コレクションには、多くのアレンジ・移植作が含まれています。同じ『夢幻戦士ヴァリス』であるものの、大きくゲーム性が異なるPC-88版とファミコン版の違いを楽しむこともできるなど、非常にバラエティに富んでいます。
幅広い年代の作品に分かれている作品群は、ゲームの進化と変化を味わえるのが大きな特徴。昔の作品ならではの難易度も、巻き戻し機能などでクリアまでじっくり楽しむことができるのも魅力的です。また、伝説とも言えるファミコン版プロモーションビデオが収録されているなどコレクションアイテムとしても重要ではないでしょうか。