Steamにて開催されていたウィンターセールも終わり、ゲーマーの皆様も2024年に遊ぶゲームに目星をつけ始めたのではないでしょうか。今年は『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』『鉄拳8』『Hades II』などなど多くのリリースが予定されており、ますますゲーム業界は盛り上がっていきそうです。
Game*Sparkでは昨年「オープンワールドサバイバルクラフト」ジャンルの特集として『7 Days to Die』『Project Zomboid』という2つの定番作品を紹介しました。Steamストアページでも今年リリース予定の同ジャンル作品は多く、サバイバル作品好きは今年も楽しめそうです。
特集3回目は、Steam早期アクセスで配信中の『SCUM』の魅力を紹介していきます!
『SCUM』は今年バージョン1.0へ?
クロアチアの開発スタジオGamepiresの手がける『SCUM』が発表されたのは2016年のこと。『Serious Sam』シリーズのCroteamが開発協力で参加し、Devolver Digitalがパブリッシャーを行う新作サバイバルとして注目を集め、2018年8月30日の早期アクセスでは、Devolver Digital最大のローンチタイトルとなるデビューを果たしました(その後Gamepiresの独立パブリッシング作品となり、2022年にはJagexが買収)。
「囚人たちが島でサバイバル生活する」という架空のテレビ番組をテーマにした作品で、島内に用意されたさまざまな物資を集めながら敵やライバルと戦い生き延びていくのが大きな目的。あくまで(悪趣味な)エンターテイメントであり、参加プレイヤーの後頭部には装置が埋められ、常に厳しい監視の目が届いています。
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それを象徴するのが本作のステータス画面です。プレイヤーの健康状態は常にモニタリングされており、体力やスタミナといったステータスだけでなく「栄養状態」「怪我の状態」など、非常に細かいデータをいつでも閲覧できます。現在のビルドではクラフトや料理、建築などのサバイバル要素も兼ね備えており、シングルとマルチプレイどちらでも楽しめます。
リリースから多くのアップデートが行われています。新たなアイテムやエリアの追加やバランス調整、マルチプレイ用のアンチチート導入やサーバー安定などだけでなく、武器システム変更、釣りなど水に関するシステム追加、体質システム改善、飛行機および商人の追加、放射能の脅威と菜園システムなど、さまざまな大型アップデートがおこなれています(最新大型アップデートは2023年12月)。
また、本作ならではのユニークなものとして、2018年11月には“全裸オプション”が追加。2019年6月の「Maneater」では女性プレイヤーモデル(おっぱいスライダー付き)が登場しています。さらにダニー・トレホやルイス・モンカダのモデルを選べるDLCなども登場し、見た目に関する要素にも力を入れています。
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そんな『SCUM』は現在バージョン1.0を目指して開発中。公式Xなどでも情報を更新しています。果たして1.0で正式版になるかは不明ですが、大きな節目の年になりそうです。
サバイバル生活はパラシュート降下から
さて、ここからは『SCUM』のゲームプレイを紹介していきます。これまで何度も大型アップデートが行われた本作は、ほぼ毎年のようにプレイ感が変わっているといっても決して言い過ぎではありません。もちろん、(更新された要素は多いものの)基本的な探索・戦闘・クラフトを楽しむゲームとしての基礎はそのままです。
ゲーム開始時にプレイヤーはまず自身の分身となるキャラクターを作ります。性別や見た目はもちろん、筋力などの基礎ステータスやさまざまなスキルに数値を割り振る必要があります。キャラ完成後は囚人としてのデータが表示され、その後プレイヤーは突然空中へと放り出されます。
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もちろんパラシュートは装備しているのですが、当然の話としてちゃんと着地しなければ即死か大ダメージは避けられません。また、運が悪ければ囚人服では耐えられないような寒冷地に降りることもあるでしょう。一応サバイバルに関するTIPSは表示されるのですが、決して親切ではないので最初は意味も分からず死んでしまうかもしれません。
こうしてはじまるサバイバル生活ですが、プレイヤーには衣服以外に何も用意されていません。過去のチュートリアルではここで自分の服でバッグを作るという工程が紹介されていましたが、現在は古い説明ということで削除されているようです。新たに追加されたゲーム内ガイドにはヒントがあるものの、少し分かりづらくなっています。昔の『SCUM』には“まず裸になる”という印象がある人もいるかも知れませんね。
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ここからはプレイヤーの思うままのサバイバルがスタートです。地図を見て集落を目指すも良し、最低限の装備を確保するためクラフトや探索をするのも良し、テレビの前の視聴者はプレイヤーの行動を楽しみにしていますよ!
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判断ミスは死につながる。細かい管理が楽しい!
『SCUM』は囚人同士のサバイバルを描いた作品ですが、脅威となるのは他のプレイヤーだけではありません(シングルプレイもできます)。この島には「パペット」と呼ばれるゾンビのようなものがいるのですが、彼らはゲームに参加して命を落とした人々。後頭部の装置によって死後も有益に使われているようです。
パペットはプレイヤーを見つけると奇声を上げ、こちらを全力で追いかけてきます。武器があれば対処は難しくないのですが、大勢で迫られるとかなりの脅威になるので注意が必要です。倒すことで彼らの衣服やアイテムが入手できるほか、切断できる装備があれば色々なパーツもゲット可能です、また、戦闘や探索をすることで名声も獲得できます。
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もしパペットとの戦闘で負傷をしたらすぐ治療をしなければなりません。怪我はメニュー画面のHPタブで確認可能で、出血なら包帯や布切れで治療すれば回復が早まります。もし最初の資材が少ない状態で深い出血状態になったら、衣服を破いてでも治療しなければなりません。他にもお腹が減っていたり、変なものを食べることでも状態異常が発生するので、適切な治療やそもそもの予防は大切です。
HPタブには体温や心拍数、血液量など多くの情報があります。隣の代謝タブには現在の栄養状態だけでなく、食べたものの消化に関する情報やステータスによる能力への影響なども確認できます。さらに、主人公のトイレに関する情報もしっかり記載されています。トイレの欲が限界まで来ると自動的に出ますが、下半身の装備が汚れてしまうので注意しましょう。
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慣れないうちは多くの情報が不明瞭ですが、食べ物を見れば細かな栄養素情報が見れたり、アイテムからクラフトできるものを逆引きすることも可能です。とはいえ決して親切な作品ではないため、何度も死んで覚えるだけでなく、困ったときは公式wikiなどの情報も頼りましょう。建築物も多く、既存の建物を拠点にするだけでなく自分の基地も作れます。
ちなみに、もし死んでしまってもリスポーンは可能ですが、ゲーム内のお金などのリソースが必要です。実際のところお金がなくてもリスポーンはできるのですが、その場合は預金の欄が借金状態に……。サーバー設定によって借金が限度になればそのキャラは復活不可能になります。
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死を避けて地道に装備を強化していく感覚が楽しい
厳しすぎるサバイバル生活ですが、これまで説明したのはあくまでシングルプレイでも起こり得るお話。マルチプレイではさらに血気盛んなプレイヤーの襲撃を警戒したりしなければなりません。死んだ場合も一定時間であればアイテムの回収が可能ですが、殺されたら大切なものを奪われるかもしれません。
もちろんマルチプレイならではの協力プレイも可能。一緒に建築したり、バンカーなどの高難度スポットに侵入したりと、一人では難しいことも比較的安全に楽しめるでしょう。探索でアイテムがあふれることも珍しくない作品なので、仲間と相談して大切なアイテムを選ぶこともできますね。
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マルチプレイは日本でもPingの軽いサーバーが多く、気軽に参加することもできます。もしくは外部サービスを利用してサーバーをレンタルすれば、ゲームをホストすることも可能です。なお、公式によればバージョン1.0でサーバーファイルが利用できるようになるということです。
筆者は基本的にシングルでプレイしていますが、それでも探索を重ねて装備を強化していくプレイや、巨大な警備ロボが徘徊するエリアを冒険したりと、サバイバルクラフト生活は十分満喫しています。どうしてもPvPが苦手な人も多いと思うので、そういうときはシングルプレイで楽しみましょう。
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ちなみにシングルプレイでも獲得できる名声やアイテム量、リスポーン時のコストなどを細かくセッティング可能です。幾度のアップデートで設定項目も増えているので、今の自分にあった遊び方を楽しめるのも魅力です(仕様変更で驚くことも多いですが……)。
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細かすぎる管理項目で有名な『SCUM』ですが、サバイバルクラフトとしてやれることはアップデートでさらに増加しています。今回紹介した以外にも改善された建築システムやエリアごとの危険度の設定など、生活面でもクラフト面でも大きな変化が起こっています。
2024年についにバージョン1.0を迎えるだけでなく、Xboxコンソール向けのリリースも発表された本作。今のうちにプレイしておいて感覚に慣れておくのもいいかもしれません。ただし、大規模アップデートの際にはデータがワイプされる事があるのでそちらも覚悟しておきましょう。