ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)より2022年に発売された人気アクションゲームシリーズ最新作『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』。そのPC版が9月20日に発売されました。PC版追加機能では定番の細かい調節が可能なグラフィック設定の他、謎解きのヒントを“減らす”オプション等、オリジナル版にも実装予定の機能も先行で搭載されています。
今回のプレイレポートでは、そういったPC版でこそ気になる部分に焦点を当て本作をご紹介。なお本記事はSIEからゲームキーの提供を受けての執筆となります。また、記事内の画像は公式プレスキットおよびGPUにNVIDIA GeForce GTX 1080を使用した設定でのスクリーンショットを使用しています。
「神々の戦い」を描く暴力性と親子に焦点を当てた味わい深いストーリーの高評価作品
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プレイレポの前にまずは本作の概要を軽くおさらいしておきましょう。『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』は、2005年に初作が発売されたアクションアドベンチャーシリーズ『ゴッド・オブ・ウォー』の最新作。前作の2018年版『ゴッド・オブ・ウォー』から続く北欧を舞台とした新たな物語を描き、年月を経て親となったクレイトスと、その子アトレウスは世界に終焉をもたらすとされる戦いに備え「九界」を巡る旅に出ます。
シリーズの特徴である「神々の戦い」を描いた暴力的でダイナミックなアクションはもちろん健在。一方で新シリーズでは親子の関係性や、老若男女、獣や異形の怪物までも含めたキャラクター同士の繋がりの変化など、ストーリー面でも深い味わいを持つ作品として高い評価を受けていました。
以上のようにゲーム内容としては二重の意味で“神ゲー”が約束されている本作。ということで内容についてのレポートは過去の記事に任せ、早速PC版ならではの機能に触れていきましょう。
二昔前のPCでだってウルトラ設定で遊べちゃう!?
まずはやはり豊富な画質設定について。詳しい読者の方であれば冒頭の注意書きで違和感を感じたかもしれませんが、筆者のPCに積まれているGPU、GTX1080は一昔どころか二昔ぐらいは前の代物です。とは言え仕事に遊びに、まだまだ現役で利用している愛機。贔屓目もあるかもしれませんがある程度の負荷には耐えられるはず!というわけでPCゲーマーの悪い癖を鼻にもかけず初めは最上位設定。プリセットはウルトラ、スケーリングクオリティもネイティブでゲームをスタートしました。
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その際のスクリーンショットがこちら。正直な所冗談と虚勢混じりだった先の前置きでしたが、細かいテクスチャまでくっきりの大満足画質な上、フレーム飛びやカクつきもほとんど気になりませんでした。推奨スペックではRTX2060 Superが挙げられていましたが、それより少し性能では劣ると評価されるGTX1080でも概ね良好な画質で遊べる、期待以上の最適化具合と言えるのではないでしょうか。
一方で時折画面に線が見えたり、激しい視点移動には流石にカクつきの兆候が見られたりするのもまた事実。悪あがきはこれぐらいにして自機、そして自分のプレイ体験に最適な設定を探してみようと思います。
変更内容のリアルタイム反映で楽々最適設定探策!
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というわけでこちらが本作のグラフィック設定画面です。プリセットで4段階の画質設定が一括変更できるのはもちろん、テクスチャや光と影の描写、霧などのエフェクト等様々な項目を個別に設定することも可能になっています。また、同じSIEタイトルである『Horizon Forbidden West』のPC版と同様に、変更内容が即座にゲーム画面へと反映されて確認できるようになっており、初めてこの機能を使う筆者は大変画期的に感じました。
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そうして出来上がった、筆者の環境での最終的な設定がこちら。右下に表示されるVRAMの利用状況を参考に、プリセット「高」ベースでテクスチャを重要視した形に収めています。また、垂直同期機能をオンにすることで画面のちらつきが嘘のように無くなるなど、環境にあった設定の大切さを思い知らされました。こういった変更による違いを比べながら最適な設定を探る楽しみもPC版ならではと言えるでしょう。
ちなみに本作はPC版らしく無制限フレームレートやウルトラワイドスクリーン解像度へも対応。筆者の環境では持て余してしまう機能追加ですが、より高スペックなPC、モニターを用意すればさらにダイナミックかつスムーズな体験もできちゃいます。
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パズルのヒント減少は実感できず…!
長々とグラフィック設定について語りましたが、ここからはPC版で先行実装された機能に目を向けましょう。まずは冒頭で述べたパズルのヒントを減らすという一風変わった機能です。というのも本作、決められた手順通りに障害物をどかすなど時折謎解きを要求されるのですが、少しでも詰まった様子を見せると同行者たちがすかさずヒントを出してくれるのです。このプレイヤーにあまりにも親切すぎる仕様はコミュニティでも話題となり、開発者達にも意外な見落としだったと言わせるほどでした。
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というわけで件の「パズルのヒントを減らす」設定項目が追加されたわけですが、少なくとも筆者のプレイする限りでは特に変化は感じられませんでした…。時間の関係で序盤のパズルというにはおこがましい場所でしか検証できていませんが、少なくともその時点ではアトレウスが意味深なセリフを発するまでの時間や、その頻度に変わりはありません。
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もちろん機能が追加されている以上、今後の展開である程度歯ごたえのある謎解きが登場した際にはきちんと「ヒントを減らす」効果が力を見せてくれるのだとは思います。そういった違いの検証もまた今後のコミュニティでの話題になっていくでしょう。
少し話は逸れますがコミュニティの話題繋がりで、PSNアカウントとの連携が必須となる点についても触れておきましょう。利用登録が煩雑な海外諸地域では否定的な意見が目立つこの条件ですが、少なくとも日本においてはログインもQRコードをスマホアプリで読み取るだけで簡単に済み、それほど問題にならないのではというのが筆者の感想です。また、ログインによってトロフィーの取得やフレンドの管理といったプレイステーション準拠の機能が利用できるという利点もありました。
ただ、個人情報の取り扱いには責任が伴うのもまた事実です。筆者の感想はあくまで一意見と捉え、アカウント等の取り扱いは自己判断で行うよう、よろしくお願いします。
音声ガイドは執筆時点では英語のみ。一方単なるアクセシビリティ機能に留まらないポテンシャルも
さて、もう一つの先行実装機能として、ストーリーシネマティック中の音声ガイド機能がアナウンスされていました。先ほどは茶化し気味に紹介してはいましたが件の親切なパズル進行も含め、本作はアクセシビリティに対して丁寧な配慮がなされているのも特徴で、プレイ体験に支障があるプレイヤーの傾向に合わせたプリセット設定まで用意されています。
今回追加された音声ガイド機能は、視覚にバリアのある方向けにストーリー中の細かな映像表現を文章にして発話形式で伝え、より詳細な体験の提供を目指したものです。ただ、執筆時点ではガイド音声が英語のみに留まるようで、日本語を含めその他全ての言語で音声ガイドの項目が変更できませんでした。
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但し設定項目自体は他言語でも存在していることや、PC版での先行実装機能であることを考えれば、今後どこかのタイミングで英語以外の言語も実装されるのではないでしょうか。英語版ガイドを聞く限りでは、普通にプレイしていては見落としがちな要素を言語化してくれているという部分もあり、より詳細に情報を得たいというプレイヤーなら誰でも利用に一考の価値がある機能だと筆者は感じました。
操作デバイスはやはりデュアルセンスが一線を隔すか
最後に少しだけ操作デバイスについても触れておきましょう。当然PC版ではキーボードマウスによる操作も可能となっており、少なからず遠距離攻撃や狙い撃つようなアクションが存在する本作ではそれも大きな魅力と言えるでしょう。
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ただやはりこれまでのSIE作品の移植に漏れず、本作でもデュアルセンスコントローラーを使用してのプレイはそれ以外とは全く違った体験を生み出してくれます。特にハプティックフィードバック機能は、これでもかという程その存在を主張してゲームを盛り上げていました。既にお持ちの方はもちろん、持っていないという方も興味があるようであれば是非デュアルセンスコントローラーでのプレイを検討してみてください。
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タイトル:PC版『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』
対応機種: PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:WindowsPC(Steam)
発売日:2024年9月20日
著者プレイ時間:5時間
価格:7,590円
スパくんのひとこと
PC移植作の例に漏れない丁寧な作りに敬服スパ!