Steamにて「Steam Nextフェス:2月エディション」が開催中です。イベント期間中は、近日登場予定のゲームの体験版の配信や開発者によるライブストリーミングなどが行われます。
本稿では、その中でも筆者が注目しているゲームとして、KAMITSUBAKI STUDIOから2025年リリース予定のガールズトーク・ツーリングアドベンチャー『ガールズメイドプディング』の体験版を紹介します!
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人が消えてしまう町を旅する少女達
高評価アドベンチャー『ナツノカナタ』『午前五時にピアノを弾く』『ムーンレスムーン』で知られるKazuhide Oka氏の最新作は、“誰かに見られていないと、消えてしまう”不思議な世界が舞台です。
本作の主役を務めるのはスミビとニコミという2人の少女。彼女たちは謎の現象が発生した世界をバイクで旅しています。お互いが消えてしまわないように決して目を離さず、ツーリングで他愛もないような会話をしていく中で、やがて少しずつ世界の謎へと迫っていくようです。
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ゲームはバイクで色々な町を移動しながら、アイテム探索などを行っていく形式。探索中に入手した食材で「料理」を作ることで、2人の会話や物語が進行していきます。満腹度・体力・正気度などのパラメーター管理もありますが、こちらはオプションで軽減、もしくはオフにすることもできます。
体験版では、ゲーム序盤のエピソードをプレイ可能。なんとも不思議な世界観やスミビとニコミの会話と関係性、そして魅力的なBGMなどをしっかりと堪能できます!
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巡る、作る、会話する
『ガールズメイドプディング』は、俯瞰視点で描かれる町中でプレイヤーがバイクを操作して進行していきます。バイクは3段階の速度とオート移動が可能で、道中は分かれ道や行き止まりなども用意されています。ゲーム内ではまず、チュートリアルとして料理のやり方、パラメーター管理などの説明が行われます。
本作の基本的な流れは「料理を作って会話すること」です。旅の中で新しい場所を巡ったり、会話していく中で“話題”を見つけると、2人の会話イベントの発生条件が提示されます。手に入れた食材を元に指定された料理を作ることで、会話やイベントが進行していくのです。
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食材は町中にある家を探索する、道路に落ちている箱を拾うといったアクションで入手できます。手に入る食材は肉や魚、調味料などさまざま。2つの食材を組み合わせることで「ハンバーグ」「シーザーサラダ」などの料理が完成します。料理は会話のトリガーになるだけでなく、パラメーターを回復させる効果もあります。
旅の途中で気を付けなければならないのが、真夜中になる前に休める家を見つけることです。『ガールズメイドプディング』では、3つのパラメーターのどれかが0になる、もしくは真夜中に外にいるとゲームオーバーになってしまいます。無事に夜を明かすことで、また新しい一日とイベントが進んでいくのです。
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もちろん、これまでのKazuhide Oka氏作品と同じようにそこまでサバイバルが厳しいわけではなく、1つの町だけでも複数の探索・宿泊用の家は見つかります。ゆったりと世界を巡り、会話を楽しみ、ときに起こる突発イベントに対処しながら、ゲームは進んでいきます。
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少女は「あのときのプリン」に出会えるか
スミビとニコミの会話は、本当に他愛もないようなものから、世界の設定そのものに関わりそうなものまで、実に多彩な内容が楽しめます。2人は喫茶店の店員と常連という関係性ですが、少しずつ明かされていく関係や昔の話など、興味は尽きません。
本作の基本的なルールとして「会話はバイクで走っているときに進む」というものがあります。セリフの下のゲージは移動することで進行していくので、ツーリング中に会話しているという雰囲気を作り出しています。一応止まっていても会話を進める方法もありますが、なるべくバイクの移動とともに楽しみたいものですね。
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なお、この二人が旅をする理由は「もう一度、あのときのプリンが食べたい」というもの。話題の中でもプリンに関する内容が語られますが、本当に他愛もないような、それでいて大切なような思い出(?)が綴られます。Kazuhide Oka氏らしい、空気感を感じさせる絶妙なテキストは必見です。
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体験版は数日間プレイしたところで終了し、いくつかの地域と話題を楽しむことができました。この先の“人の消えた町”での二人きりのツーリングはどうなっていくのか、そしてスミビは「あのときのプリン」に出会えるのか、この先も楽しみな作品です。
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『ガールズメイドプディング』は、“見られていないと消える”というルールの中で、誰もいなくなった町での2人のツーリングと共に物語が進行していきます。少女2人の会話は、世界に何があったのかというものから、2人の趣味のようなものまで話題が広く、読めば読むほど世界観全体への理解が深まっていきます。
「バイクで走っているときだけ会話が進む」というシステムも重要で、会話が“何気ない移動中の一コマ”であるという雰囲気づくりに大きく貢献しています。体験版範囲ではまだまだ核心に迫れるような部分は少なそうですが、Kazuhide Oka氏の作品らしい風景や会話の距離感が浮かぶようなテキストはしっかり楽しめました。もちろん、ずもち氏によるアートや中川大二郎氏によるBGMもゲームの雰囲気にぴったりです。
『ナツノカナタ』『午前五時にピアノを弾く』『ムーンレスムーン』が好きな人はもちろん、ちょっと不思議な終末世界での“やや緩め”なトークを楽しみたい人にもオススメ。もちろん、体験版の先の今後がどうなるかというのもワクワクが止まりません!