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先日の『エアガイツ』レビュー記事でもお伝えしたように、『トバル No.1』『エアガイツ』などを手掛けたかつての「ドリームファクトリー」の一部スタッフが独立して立ち上げたスタジオ「娯匠」によるローグライク格闘アクションゲーム『CYBORG』がPC向けに2020年発売を目指し開発中です。
本稿では、同社のご厚意でお借りした『CYBORG』開発ビルドのプレイレポをお届けします。なお、本プレイレポは開発度30%程度の「開発中ビルド」のため、画像・映像はすべて仮のものであり、今後の開発により変更される部分があることをご了承ください。また、本作はキーボードでも操作可能ですが、今回のプレイではコントローラーを使用しています。
戦い続ける少女サイボーグの物語『CYBORG』
本作は、無機質極まりない世界を舞台に、プレイヤーにも推し量ることができない何らかの理由によりお互いが戦うことを強いられている少女サイボーグたちが、生き残るために戦う姿を描く、シングルプレイ向けのローグライク型3D格闘アクションゲームです。毎回ランダムでイベントや敵との対戦の配置が変わるステージを進み、パーツの修理や交換を繰り返しながら「ボス」を破壊していくのが目的となります。テーマとして「破壊の美学」があり、戦いの中でパーツは破損していき、少女たちの体がボロボロになっていくのが特色です。どれだけ傷ついても目的を達するか斃れるまで戦いを止めることはできず、最奥へと進むため主人公は倒した相手からパーツを奪い、自分のものとしていきます。
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プレイ中に手に入るパーツは、それぞれが別のスキルや能力を持つものからランダムに選ばれます。スキルも近接技から遠距離攻撃、カウンター技まで非常に多彩。パーツごとに戦闘スタイルも変わっていくため、交換する際にも慎重な選択が求められます。なお、本作では特定の道中イベントでしかパーツ消耗は癒せず、決して自動回復するようなことはありません。
難易度は比較的高く、少女サイボーグは何度も何度も道半ばに破壊され、新たな個体として戦い続けることになります。ボロボロになり、パーツを変えながら必死に戦い続ける彼女の姿には、静かな寂しさと同時に美しさを感じずにはいられません。
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高い駆け引きを生む戦闘とパーツシステム!
本作の戦闘は、部位ダメージのある1vs1の格闘アクション形式で、相手の頭部かボディを完全に破壊することで勝利となります。リングアウトやタイムなどは存在しないため、どちらかが倒されることでのみ決着となります。
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操作は、両手足それぞれに対応した4つの攻撃ボタン、スキル発動使用のためのボタン2つ、ガードに相当する「バリア」ボタンの計7つのボタンと移動キーを使用します。移動には「ステップ」があり、軸をずらすことやとっさに距離を変えることが可能です。また敵の攻撃に「バリア」か「ステップ」を合わせることで「ジャストバリアー」「ジャストステップ」が発動し、敵の硬直などを誘えるほか、パーツのパッシブ能力とあわせ、敵の攻撃に対して有利な展開に持ち込むこともできます。
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大技を叩き込むチャンスです
コマンドによる必殺技はありませんが、戦闘中攻撃を与えたり受けたりすることでパーツごとに設定されたスキルゲージが上昇し、各ゲージが貯まれば各々に設定されている、攻撃技や内蔵兵装などの「スキル」が発動可能になります。また、胴体には、チャージビームやグレネード連射を行い、状況を一変させる可能性を持った、強力な「スペシャルスキル」が設定されています。
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部位ダメージの影響として、各パーツが破損することでさまざまな悪影響が起こり「中破」ではパーツごとのスキルが使用不可能となり、「大破」ではそのパーツを使用した攻撃自体が不可能になります。脚部パーツは大破すると「ステップ」ができなくなるため、中破した場合はそれ以上ダメージを喰らわないように注意が必要です。プレイヤー側の頭部もしくは胴体が破壊された時はもちろん、その瞬間にゲームオーバーとなります。
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目指せ「ボス」退治!戦略性が問われるルート選択
本作はスタート時に「スピード」「ノーマル」「ヘビー」の3種類が選択可能で、それぞれ防御特性や使用技、通常攻撃モーションが異なります。開発ビルドではスピードが「ジャストバリア」「バリアスロー」無し、ヘビーが「ジャストステップ」無し、ノーマルは「すべての防御行動が使えるが少し性能が低い」となっています。使用した感じとしてはやはりノーマルはすべての行動が使えるため非常に使いやすい印象です。また、初期装備はタイプごとに固定で開始されます。
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ステージはチュートリアルと最初のバトル以降ほぼすべてがランダム配置で、プレイヤーはいくつかのルートの中から進むパネルを選択して進んでいきます。パネルには戦闘が発生するマスのほか、パーツを1ヶ所修理できる「リペア」、トークンで買い物ができる「ショップ」、パーツを2つランダムで獲得できる「倉庫」、トークンを獲得できる「戦績査定」など各種イベントが用意されています。そのほか、良いパーツが手に入るものの、強力な敵との戦いが待っている「ライバル」などのコマもあります。
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ステージごとに最後までマップを確認できるようになっているため、「ボス手前にショップがあるから戦績査定を通ってトークンを稼いでおこう」「強いパーツ装備しているからなるべく消耗しないようにリペアを多めに通ろう」などの戦略を立てることが可能です。もちろん腕に自身があればレベルの高いバトルに挑み、より強いパーツを求めることも自由です。
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マップを見て戦略を立て、戦いやすいようにパーツを集めていくのはとても重要です。ステージラストに待ち受けている「ボス」は全身を攻撃スキルを有したパーツで固めているだけでなく、攻撃力や耐久力も相応に高く、こちらの消耗は避けられないところ。十分な準備を整えて挑めるようにしたいところです。
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非常に多彩なスキルが魅力的!覚えることが生存に繋がる
パーツにはそれぞれ「アクティブスキル」と「パッシブスキル」があり、パーツごとにその能力はさまざまです。また、上位パーツになると攻撃力やHPの数値も高くなり、通常攻撃でも充分なダメージを期待できます。ただし、前述の通り入手できるパーツの種類はランダムのため、状況に合わせたパーツ選びが必要です。「得意なスタイル」は存在しても「間違いない最強装備」は得られないゲームでもあります。
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アクティブスキルは強力な一撃を叩き込む「パイルバンカー」、カウンター攻撃の「カウンター掌打」、遠距離攻撃の「ミサイルポッド」などがあります。ほかにも直接何らかの攻撃を出す代わりに攻撃力等を一時的に上げるバフスキルや、前方に飛ぶ攻撃範囲の広い「ドロップキック」など個性豊かな技が用意されています。「アクティブスキル」はそれぞれ発動に必要なチャージ数が異なるため、強力な技ばかり集めるといざというときに技を出しづらくなることもあるので注意が必要です。
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パッシブスキルには「敵パーツ破壊で一定時間スキルチャージアップ」「ジャストバリアで一定時間攻撃力アップ」などさまざまな効果があります。効果は重複するため、例えばジャストバリア時に効果が乗るパッシブばかり積むことで、防御からの反撃で一気に敵を破壊するようなスタイルにすることも可能です。
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ただし、本作ではどうしても手に入るパーツ自体はランダムで、戦闘での苦戦次第では簡単にパーツが大破してしまいます。なかなか狙い通りのビルドにはならないゲームですが、スキルの効果を覚えながら少しずつ理想に近づけていく感覚は独特で楽しいものがあります。
いかにして相手を壊し自分を守るか?
本作ではパーツ破壊の要素が非常に重要で、戦闘で生き残るためには「敵の部位を狙って破壊できる技」を覚えることが大切になります。出の早いローキックで相手の攻撃を潰しながら足を削る作戦や、「アッパーショット」などのスキルで一気に頭部を狙うのも戦略のひとつ。相手の持っているスキルも戦闘中に確認できるため、「これだけは喰らいたくない」と言う部分を優先的に潰すのも重要です。
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また、ダメージを喰らうことが、その後の攻略にも永続的に関わる消耗となる本作では、「バリア」「ステップ」を用いた防御行動も重要です。特に「バリア」を発動中に敵の攻撃が遅くなる「バリアスロー」は、上手く使えば容易に攻撃に転じることも可能な強力なものですが、バリア発動にはゲージを消費するため注意が必要。ゲージを使い切ってしまえば一定時間バリア発動ができなくなります。また、スキルの中には警告が表示こそされますが「バリア防御不可」「ステップ回避不可」のものがあり、ただ漫然と身を守っているだけでは捌ききれなくなるのも難しい部分です。
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開発ビルド版を触った率直な感想としては、スキルの優劣差が現状かなり大きい状態。攻撃を受けながら発動できる「ハイパーアーマー」持ちのスキルが非常に強く、敵のスペシャルスキルに合わせて発動すれば被害を最小限に抑えることも可能です。個人的にはヘビーのボディタイプが最初から持っているスペシャルスキル「サベージタックル」が今回のビルドでは最強スキルかなと思います。前述のハイパーアーマー付きで、挙動も敵をある程度ダッシュで追いかけてから発動するという当てやすさ、かつパーツ破壊力も高いため、どんなシーンでも重宝しました。
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一方で連続攻撃系のスキルはそれ単発では決定打に欠ける部分もあるため、ジャストバリアー後に確実に当てる事が安全に繋がるなど、多少テクニカルな部分があります。また、「スピード」タイプで開始すると「バリアスロー」がないため、カウンター技がほぼ死んでいる、という印象もあります。スピードタイプは現状だと少し難易度が高めでした。
ここまで紹介してきた『CYBORG』ですが、現在の開発ビルドでも本作のテーマである「破壊の美学」がとても良く表現できているゲームです。攻撃の結果が直接パーツの破壊表現に繋がるのは非常に爽快で、かつ破壊され、ほぼフレームとなったようなパーツで懸命に戦う少女サイボーグの姿はやはり美しいものだと思います。負けたらスクラップ置場に積まれるだけの主人公は、とにかくどんな手段をとってでも戦い続けるしかありません。
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それでも戦うしかない、生きるために。
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ステージ内の移動方式や防御行動の重要度の高さなどは、同社が開発として関わったPSP向け作品『グラディエータービギンズ』や、同社スタッフが過去に手がけていた『トバルNo.1』『エアガイツ』などの雰囲気を色濃く感じ、各作品のいい部分を集めて重厚ながら遊びやすく、爽快なゲームとして製作されているのを感じます。
また、遊ぶたびに手に入るパーツやステージ構成が異なり、それでいて消耗を抑えるための選択を迫られるゲームデザインは非常に戦略性が高く、魅力を感じました。ただし、ゲームの難易度が少し高めであることは否めません。ランダム性も強いため破壊された部分のパーツが出現せず、満身創痍で次の戦いに挑むことも珍しくありません。状況によっては多少の救済措置が欲しくなってしまう場合もあります。
いずれにせよ、遊んでいて思うのはとにかくこのゲームが「ストイック」であるということ。何度も何度も挑み自分なりの戦い方を磨き、それでも運や実力が及ばなかったらゲームオーバーになってまたやり直す、その反復行動が着実にプレイヤーの技術へのフィードバックとして結びついていく気持ちよさは特筆モノだと言えます。今後が非常に楽しみなゲームです。
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ゲーム中は画面に度々「ノイズ」のような演出も入ります。
刹那に垣間見える“乱れ”が示すのは果たして……。
なお、今後はマップに地雷などのオブジェクトが追加されたり、タレット設置などの新たなスキルも追加される予定。プレイを重ねるごとにゲームの幅が広がり、より遊びやすくなるような要素の追加も検討されています。また、本編はシングルプレイ用のゲームですが、将来的にはオマケのローカル対戦モードの搭載や、作成した少女サイボーグのデータをアップロードして他のプレイヤーと戦闘できるオンライン要素の追加も検討しているとのことです。
『CYBORG』は2020年内の発売を目指し開発中です。
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